300 / 345
第3章
第301話 そもそもスキルとはなんなのだろうか
しおりを挟む
「結論から言おう。アキさん、いや秋良君の言うスキルは、本来ゲームには実装されていないものだ」
向かい合って座る槍剣さんが、真剣な顔のまま僕へとそう言い切る。
僕の隣には家に呼んでくれた実奈さんが座っていて、こんな時でも特に表情を変えることなく紅茶を飲んでいた。
「待ってください。実装されてない? いや、それはおかしいですよ」
だって僕のスキル欄には、彼に伝えたふたつのスキルが表示されてたのを何度も見てから、来たんだから。
だから、あのスキル……<選定者の魔眼>と<喚起>が無いなんてありえないんだ。
「それと、もうひとつ。君のスキル欄にある<予見>も、実装はしていないものだね」
「えええ!?」
「つまり、君の持つ<選定者の魔眼>は構成すら私達の理解を超えているスキルなんだ。そもそも、<採取><鑑定><予見><千里眼>のスキルに加えて、魔力の流れを視る力まで加わっているスキルなんて、バランスブレイカーもいいところだ」
詳しく話を聞けば、<採取>には適切な採取方法を知らせる機能が備わっていて、<鑑定>には耐性の強弱が分かるようになる機能がある。
それに加え、<集中>で鑑定する対象をより細かく設定することができれば、弱点を知ることは可能らしい。
しかしその力に加え、未来を視る力や、遠くを視る力、魔力を視る力も含まれるとなると、嘆きたくなる理由はなんとなくわかる。
――だってこれ、目を使うスキルはほとんど網羅してるって言っても過言じゃないから。
「い、一応<千里眼>は持ってなかったので、<千里眼>の機能は無いみたいですけど……」
「そういう問題じゃないんだ。秋良君が内容を明かしてくれるまで、我々には<選定者の魔眼>というスキル名と、その簡易的な説明しか確認できていなかったことが問題なんだ」
……それはつまり、どういうことだろう?
機能が問題、というよりも、それ以前に“運営側すら、内容が不明なスキルが生まれている”ということが問題、ということなんだろうか?
いや、機能も問題なんだろうけどさ。
「良い機会だし、秋良君にも教えておこうか。このスキル制システムの根幹を」
「根幹、ですか?」
「ああ、そうだ。基本的にスキルというのは全て、運営側が用意したモノが基本になっている。これは<剣術>や<採取>などのありふれたスキルだけでなく、<忍術>や<針糸術>もこれに含まれている」
「……複合スキルも全部ってことですか」
「そういうことだね。ただし、複合スキルは基礎スキルとは違い、“名前が決まっていないスキル”なんだ。習得条件を満たしたプレイヤーの“無意識下にあるワード”を掬い上げ、スキルへと反映させる。これが複合スキルの真実だよ」
なるほど……。
無意識下にあるワードでスキルの名前が決まるなら、同じ内容のスキルだったとしても、プレイヤーひとりひとりで違う名前が付く可能性が高い。
だれも持っていないスキルを入手すれば、その人はきっと優越感に似た感情を抱くだろうし、そのスキルを大事に育てようとするはず。
だって、自分以外だれも持っていない、自分だけのスキルなんだから。
「さらに、名前だけじゃなく、無意識下からもうひとつ持ってくるものがある」
「……まだあるんですか?」
「うん。それはね、スキルの傾向だよ」
「傾向?」
「例えばそうだね……秋良君の知り合いで、同じスキルを利用してるのはトーマ君とシンシさんだね。<立体機動>と<針糸術>は元々同じ“名前のないスキル”だ。ただ、そこに行き着くまでのアプローチの仕方が異なるからか、同じスキルでも“別のスキル”として認識されている」
ん、んー……?
えーっと、確かトーマ君の<立体機動>は、<疾駆>と<操糸術>が元になっていて、縦横無尽に糸を使っての高速移動を可能にするスキルだったはず。
対してシンシさんのスキル、えーっと<針糸術>? は、針と見えない糸を使って相手を切り裂いたり、防御に使ったりするスキルだったはず。
ウォンさんの情報では、<小剣術>と<裁縫>、<細工>が元って言ってたね。
大きなカテゴリーに分けると、<立体機動>は移動系で、<針糸術>は戦闘系って感じだ。
「そう、2人のスキルはまるで別物みたいに感じるだろうね。けれど、もっと簡単に考えてみれば分かるはずだ。――2人とも糸を使うスキルなんだ。もっと言えば、糸を付けた針を飛ばし、操作するスキルなんだ」
「い、言われて見れば確かに……」
「それを決定づけているのが“スキルの傾向”というわけだ。トーマ君は“飛ばした糸を操るスキル”を<疾駆>と組み合わせ、移動スキルとして認識した。しかし、シンシさんは<小剣術>と合わせ、戦闘スキルとして認識したんだ。その結果、同じスキルでも片方は移動に適したスキルになり、もう片方は戦闘に適したスキルへと変化したんだよ」
ひとつの話に結が付いたからか、お義父さん(仮)は「ふう……」と息を吐いて紅茶を飲んだ。
僕もそんな彼に倣って、実奈さんが入れてくれていた紅茶を一口……うん美味い。
オリオンさんが入れてくれたものと比べると、少し雑味を感じてしまうところはあるけれど、僕が自分で入れたらもっと酷いことになるし、そうやって考えれば十分過ぎるほどに上手いし美味い。
お茶請けに、と出されたクッキーをひとつ摘まんでみれば、サクッとした食感と同時に、ほんのりとした甘みが口に広がり……紅茶が進むね!
「アキ、美味しい?」
「うん。美味しいよ」
「そう」
ただの確認と言わんばかりの短い受け答え。
けれど、彼女の声にちょっとした喜びの色が感じられた気がした。
いや、気のせいかもしれないけどね?
「うーむ、まるで私のことを忘れられてるみたいな雰囲気だねぇ。まあ、あまり感情を見せない娘のことをこれだけ分かってくれている子が彼氏なら、私は大手を振って応援したいからね、うんうん」
「ん」
「いや、当然みたいに頷かないで。否定して否定」
「……?」
なんで? と首を傾げる実奈さんに僕は大きく溜息を吐き、続けて出てきそうな言葉を紅茶と一緒に飲み込んだ。
まさに外堀を埋められているような気がするけど、実奈さんは本当にそれで良いんだろうか……と彼女の顔を見ても、相変わらずの無表情がそこにあるだけだった。
「さて、話を戻そうか。先ほどまでの話は、本来の複合スキル……私たち運営側からすれば“名前のないスキル”の話だ。内容は理解できているね?」
「はい、大丈夫です」
「うんうん、やはり君は聡い子だね。ならこの先の話は、もうなんとなく予想がついたのではないかな?」
そう言ってお義父さん(仮)は、まっすぐに僕を見る。
まるで試されているような……いや、きっとこれは試されているんだろう。
なぜかは分からないけれど。
だから僕は目を閉じて、頭の中でお義父さん(仮)の言葉を思い出していく。
僕の不思議なスキルから、なぜこの話になったのか……それが答えなんだろう。
「複合スキルと呼ばれてる“名前のないスキル”は、一見個人個人で作り上げたスキルに見えて、そうじゃないってことですよね。理由としては、さっき言われていた“運営側が用意したモノ”だから。――でも、僕のスキルは用意したモノじゃない」
「うん。そうだね」
「最初に言われてましたよね。本来ゲームには実装されていないって。だから内容も、発現した理由も分からない、と」
「大正解だよ。うんうん、素晴らしい」
「あ、ありがとうございます。でも、そうなると僕のスキルって、ゲーム的には良くないものじゃないですか?」
運営の想定外、本来のゲームの規格外……すごく簡単に言えば、バグのようなものだ。
それを意図的にではないにしろ、利用してしまっている。
もっといえば、イベントの大ボスをそのスキルの力で倒してしまっている。
正直、これは知らなかったにせよ反則だ。
真面目に……いや、僕も真面目にプレイしてるんだけど、そういう意味じゃなく、ゲームの規格内でプレイしてる人に対して、とても卑怯な行為だ。
だからこそ、このスキルは……消してもらって、イベントMVPのアイテムなんかも返却させてもらう方がいい。
「――なんてことを考えてないかい?」
まったくもって同じことを考えていた僕に、お義父さん(仮)はドヤ顔みたいな表情で胸を張り、「これでも脳科学者だからね」と、本格的なドヤ顔を作って見せた。
脳科学者だから思考が読める……なんてことはないんだろうけれど、僕の性格を知っている人なら、予想はしやすいものだったのかもしれない。
もちろん、読まれたからといって、意見を変えるつもりもないんだけど。
「ええ、その通りです。でも、それが一番良いでしょうし」
「ふむ。確かに運営とバグ利用プレイヤーとして考えるなら、それが最善の方法だろうね。公式で上げている動画を削除し、お詫びの告知を出した後、秋良君のデータを抹消し、君が以降ログイン出来ないようにする。そして、イベント参加のプレイヤーには何かしらの補填をつける、と」
そう、それが一番良い……というよりも、一番誠実な対応だろう。
違反プレイヤーには処罰を与え、それにより間接的とはいえ被害を受けたプレイヤーに補填をする。
なんらおかしいことはない。
ごく当たり前の、リアルな世界だ。
「でも、そうするつもりはないよ」
「――え?」
「君のスキルは、君があの世界で君自身として生きようと、生き抜こうとした結果、生まれたスキルだ。それが結果として、僕らの用意したデータの中に無いものだっただけ。……いやぁ、僕らもまだまだだね。脳科学者と名乗っておきながら、君の脳や意識がどう動き、どうしてあのスキルが生まれたのかが全く分からない。それはつまり、人の脳にはまだまだ知らないことがいっぱいあるって証拠。だからさ、僕は運営とバグ利用プレイヤーなんて考えはしてないんだ。この間も言ったよね? 秋良君は“非常に良いサンプル”なんだって。まぁ、もっともサンプルと思ってデータを見てるのは僕ぐらいだろうけれど、データを削除しないって思ってるのはみんな一緒じゃないかな? だって、あのゲームは“普通のゲームじゃない”からさ」
言いながら表情をころころ変え、途中には遠くを見つめて半ば諦めの境地すら見せながらも、お義父さん(仮)はそう言い切った。
その言葉に妙な説得力を感じたのは、以前、聞いた事のあるフレーズが含まれていたからかもしれない。
“普通のゲームじゃない”――それはかつて、僕がアインスさんから聞いたことのある言葉だった。
向かい合って座る槍剣さんが、真剣な顔のまま僕へとそう言い切る。
僕の隣には家に呼んでくれた実奈さんが座っていて、こんな時でも特に表情を変えることなく紅茶を飲んでいた。
「待ってください。実装されてない? いや、それはおかしいですよ」
だって僕のスキル欄には、彼に伝えたふたつのスキルが表示されてたのを何度も見てから、来たんだから。
だから、あのスキル……<選定者の魔眼>と<喚起>が無いなんてありえないんだ。
「それと、もうひとつ。君のスキル欄にある<予見>も、実装はしていないものだね」
「えええ!?」
「つまり、君の持つ<選定者の魔眼>は構成すら私達の理解を超えているスキルなんだ。そもそも、<採取><鑑定><予見><千里眼>のスキルに加えて、魔力の流れを視る力まで加わっているスキルなんて、バランスブレイカーもいいところだ」
詳しく話を聞けば、<採取>には適切な採取方法を知らせる機能が備わっていて、<鑑定>には耐性の強弱が分かるようになる機能がある。
それに加え、<集中>で鑑定する対象をより細かく設定することができれば、弱点を知ることは可能らしい。
しかしその力に加え、未来を視る力や、遠くを視る力、魔力を視る力も含まれるとなると、嘆きたくなる理由はなんとなくわかる。
――だってこれ、目を使うスキルはほとんど網羅してるって言っても過言じゃないから。
「い、一応<千里眼>は持ってなかったので、<千里眼>の機能は無いみたいですけど……」
「そういう問題じゃないんだ。秋良君が内容を明かしてくれるまで、我々には<選定者の魔眼>というスキル名と、その簡易的な説明しか確認できていなかったことが問題なんだ」
……それはつまり、どういうことだろう?
機能が問題、というよりも、それ以前に“運営側すら、内容が不明なスキルが生まれている”ということが問題、ということなんだろうか?
いや、機能も問題なんだろうけどさ。
「良い機会だし、秋良君にも教えておこうか。このスキル制システムの根幹を」
「根幹、ですか?」
「ああ、そうだ。基本的にスキルというのは全て、運営側が用意したモノが基本になっている。これは<剣術>や<採取>などのありふれたスキルだけでなく、<忍術>や<針糸術>もこれに含まれている」
「……複合スキルも全部ってことですか」
「そういうことだね。ただし、複合スキルは基礎スキルとは違い、“名前が決まっていないスキル”なんだ。習得条件を満たしたプレイヤーの“無意識下にあるワード”を掬い上げ、スキルへと反映させる。これが複合スキルの真実だよ」
なるほど……。
無意識下にあるワードでスキルの名前が決まるなら、同じ内容のスキルだったとしても、プレイヤーひとりひとりで違う名前が付く可能性が高い。
だれも持っていないスキルを入手すれば、その人はきっと優越感に似た感情を抱くだろうし、そのスキルを大事に育てようとするはず。
だって、自分以外だれも持っていない、自分だけのスキルなんだから。
「さらに、名前だけじゃなく、無意識下からもうひとつ持ってくるものがある」
「……まだあるんですか?」
「うん。それはね、スキルの傾向だよ」
「傾向?」
「例えばそうだね……秋良君の知り合いで、同じスキルを利用してるのはトーマ君とシンシさんだね。<立体機動>と<針糸術>は元々同じ“名前のないスキル”だ。ただ、そこに行き着くまでのアプローチの仕方が異なるからか、同じスキルでも“別のスキル”として認識されている」
ん、んー……?
えーっと、確かトーマ君の<立体機動>は、<疾駆>と<操糸術>が元になっていて、縦横無尽に糸を使っての高速移動を可能にするスキルだったはず。
対してシンシさんのスキル、えーっと<針糸術>? は、針と見えない糸を使って相手を切り裂いたり、防御に使ったりするスキルだったはず。
ウォンさんの情報では、<小剣術>と<裁縫>、<細工>が元って言ってたね。
大きなカテゴリーに分けると、<立体機動>は移動系で、<針糸術>は戦闘系って感じだ。
「そう、2人のスキルはまるで別物みたいに感じるだろうね。けれど、もっと簡単に考えてみれば分かるはずだ。――2人とも糸を使うスキルなんだ。もっと言えば、糸を付けた針を飛ばし、操作するスキルなんだ」
「い、言われて見れば確かに……」
「それを決定づけているのが“スキルの傾向”というわけだ。トーマ君は“飛ばした糸を操るスキル”を<疾駆>と組み合わせ、移動スキルとして認識した。しかし、シンシさんは<小剣術>と合わせ、戦闘スキルとして認識したんだ。その結果、同じスキルでも片方は移動に適したスキルになり、もう片方は戦闘に適したスキルへと変化したんだよ」
ひとつの話に結が付いたからか、お義父さん(仮)は「ふう……」と息を吐いて紅茶を飲んだ。
僕もそんな彼に倣って、実奈さんが入れてくれていた紅茶を一口……うん美味い。
オリオンさんが入れてくれたものと比べると、少し雑味を感じてしまうところはあるけれど、僕が自分で入れたらもっと酷いことになるし、そうやって考えれば十分過ぎるほどに上手いし美味い。
お茶請けに、と出されたクッキーをひとつ摘まんでみれば、サクッとした食感と同時に、ほんのりとした甘みが口に広がり……紅茶が進むね!
「アキ、美味しい?」
「うん。美味しいよ」
「そう」
ただの確認と言わんばかりの短い受け答え。
けれど、彼女の声にちょっとした喜びの色が感じられた気がした。
いや、気のせいかもしれないけどね?
「うーむ、まるで私のことを忘れられてるみたいな雰囲気だねぇ。まあ、あまり感情を見せない娘のことをこれだけ分かってくれている子が彼氏なら、私は大手を振って応援したいからね、うんうん」
「ん」
「いや、当然みたいに頷かないで。否定して否定」
「……?」
なんで? と首を傾げる実奈さんに僕は大きく溜息を吐き、続けて出てきそうな言葉を紅茶と一緒に飲み込んだ。
まさに外堀を埋められているような気がするけど、実奈さんは本当にそれで良いんだろうか……と彼女の顔を見ても、相変わらずの無表情がそこにあるだけだった。
「さて、話を戻そうか。先ほどまでの話は、本来の複合スキル……私たち運営側からすれば“名前のないスキル”の話だ。内容は理解できているね?」
「はい、大丈夫です」
「うんうん、やはり君は聡い子だね。ならこの先の話は、もうなんとなく予想がついたのではないかな?」
そう言ってお義父さん(仮)は、まっすぐに僕を見る。
まるで試されているような……いや、きっとこれは試されているんだろう。
なぜかは分からないけれど。
だから僕は目を閉じて、頭の中でお義父さん(仮)の言葉を思い出していく。
僕の不思議なスキルから、なぜこの話になったのか……それが答えなんだろう。
「複合スキルと呼ばれてる“名前のないスキル”は、一見個人個人で作り上げたスキルに見えて、そうじゃないってことですよね。理由としては、さっき言われていた“運営側が用意したモノ”だから。――でも、僕のスキルは用意したモノじゃない」
「うん。そうだね」
「最初に言われてましたよね。本来ゲームには実装されていないって。だから内容も、発現した理由も分からない、と」
「大正解だよ。うんうん、素晴らしい」
「あ、ありがとうございます。でも、そうなると僕のスキルって、ゲーム的には良くないものじゃないですか?」
運営の想定外、本来のゲームの規格外……すごく簡単に言えば、バグのようなものだ。
それを意図的にではないにしろ、利用してしまっている。
もっといえば、イベントの大ボスをそのスキルの力で倒してしまっている。
正直、これは知らなかったにせよ反則だ。
真面目に……いや、僕も真面目にプレイしてるんだけど、そういう意味じゃなく、ゲームの規格内でプレイしてる人に対して、とても卑怯な行為だ。
だからこそ、このスキルは……消してもらって、イベントMVPのアイテムなんかも返却させてもらう方がいい。
「――なんてことを考えてないかい?」
まったくもって同じことを考えていた僕に、お義父さん(仮)はドヤ顔みたいな表情で胸を張り、「これでも脳科学者だからね」と、本格的なドヤ顔を作って見せた。
脳科学者だから思考が読める……なんてことはないんだろうけれど、僕の性格を知っている人なら、予想はしやすいものだったのかもしれない。
もちろん、読まれたからといって、意見を変えるつもりもないんだけど。
「ええ、その通りです。でも、それが一番良いでしょうし」
「ふむ。確かに運営とバグ利用プレイヤーとして考えるなら、それが最善の方法だろうね。公式で上げている動画を削除し、お詫びの告知を出した後、秋良君のデータを抹消し、君が以降ログイン出来ないようにする。そして、イベント参加のプレイヤーには何かしらの補填をつける、と」
そう、それが一番良い……というよりも、一番誠実な対応だろう。
違反プレイヤーには処罰を与え、それにより間接的とはいえ被害を受けたプレイヤーに補填をする。
なんらおかしいことはない。
ごく当たり前の、リアルな世界だ。
「でも、そうするつもりはないよ」
「――え?」
「君のスキルは、君があの世界で君自身として生きようと、生き抜こうとした結果、生まれたスキルだ。それが結果として、僕らの用意したデータの中に無いものだっただけ。……いやぁ、僕らもまだまだだね。脳科学者と名乗っておきながら、君の脳や意識がどう動き、どうしてあのスキルが生まれたのかが全く分からない。それはつまり、人の脳にはまだまだ知らないことがいっぱいあるって証拠。だからさ、僕は運営とバグ利用プレイヤーなんて考えはしてないんだ。この間も言ったよね? 秋良君は“非常に良いサンプル”なんだって。まぁ、もっともサンプルと思ってデータを見てるのは僕ぐらいだろうけれど、データを削除しないって思ってるのはみんな一緒じゃないかな? だって、あのゲームは“普通のゲームじゃない”からさ」
言いながら表情をころころ変え、途中には遠くを見つめて半ば諦めの境地すら見せながらも、お義父さん(仮)はそう言い切った。
その言葉に妙な説得力を感じたのは、以前、聞いた事のあるフレーズが含まれていたからかもしれない。
“普通のゲームじゃない”――それはかつて、僕がアインスさんから聞いたことのある言葉だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる