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呪われた聖女は愛する人に抱かれて永遠の眠りにつく

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視点がよく切り替わります。
読みづらいかもしれませんが、ご了承下さい(><)
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聖女は永遠の眠りについた…
しかし、その顔は愛する人に抱かれて最後を看取ってもらいとても幸せそうな顔をしていた。


***
聖女が暮らしているこの国ヴァルハン王国は建国歴200年と言う浅い歴史にも関わらず世界で最も大きな大国だ。

その始まりは神に愛されて生まれた一人の聖女と勇者…後のヴァルハン王国始まりの王が人類を脅かしていた魔王を倒し、その広大で魔物・魔獣が蔓延る人が住めない大地を二人が力を合わせて浄化・討伐したことがヴァルハン王国の始まりだと言われている。

聖女と勇者はその力を大いに奮い約50年と言う短い期間でその広大な大地を浄化・討伐し、ヴァルハン王国を建国した。

それ以降王族では時折勇者の素質を持つ子供が生まれ、聖女は一定期間経つとヴァルハン王国のどこかで生まれるようになった。

そして、ヴァルハン王国の大地の浄化が終わってから150年、聖女の張った結界は今も神に祈ることで魔物・魔獣の力を弱めヴァルハン王国内とその周辺の森は国の驚異となる者は発生せず穏やかで平和になっている。
さらに聖女が願うことで作物を育てるのに適した気温、天候に変化しヴァルハン王国の生活は安定し、国全体が活気に溢れている。

そんなヴァルハン王国は他国から移住してくる民がいるほど良い国だ。

しかし、それは聖女の犠牲…寿命を引き換えに平和で幸せな暮らしが成り立っている。

それを知っているのは王族と一部の上級貴族しか知られていない。
そして、知っている上で聖女の力を大いに利用し自分たちの利益にしていた。
それ故、情報改変などにより騙されている民達は聖女という存在はお伽話の中だけだと思い、この住み良い環境は全て、王と貴族のおかげだと思っている。
ちなみに聖女がいるというのを知らない貴族達は民達と同じように王達に騙されている。

ヴァルハン王国の貴族達と勇者の子孫である王族はこの150年と言う短い期間なのにも関わらず目も当てられないほどに腐ってしまっていた。

***

ヴァルハン王国の宮廷、
そこでは現在王と一部の上級貴族達が聖女について話し合いを行なっている。

「王、新しい聖女が見つかりました。」
そう王に報告するのはこの国の公爵であり、宮廷魔導師魔導師長を務めている男だ。
この男の厄介な所はあらゆる物を見通す事が出来る力を持っていることだ。
その力を生かして聖女を探し出し、逃げ出さないようにあらゆる手段…家族の人質、誘拐など…を行い雁字搦めに拘束して聖女を捕まえる。

利益のためなら血も涙も心もない男だ。
…いや、ここにいる奴ら全員が言える事だが…。

「そうか、よくやった。しかし、今回は随分と時間がかかったな。」

そうでっぷりと太り、首周りや指に宝石をジャラジャラと身につけている王はニヤニヤ笑いながらいう。

「そうですね。今回は現聖女が通常よりも長く生きているのが原因だと思われます。」

「あぁ、現聖女はあんなに酷使してこき使ってやったのに未だに生きているのは不思議だな。まぁ、新しい聖女が見つかったということは現聖女もそろそろくたばることだろう。」

現在の聖女の年齢は25歳。今までの聖女は20歳まで生きている者はほぼいなかった。
彼女がこの国の王に見つかり捕らえられたのは10歳の頃それから15年が経つ。
大体の聖女達は早くて7歳遅くて12歳で王達に捕われて平均8年でその命を落とす。
何故現在の聖女は今までの聖女より長生きなのか王は疑問には思ったがまぁ、どうせそろそろ死ぬだろうと思い新しい聖女に気を取られていた。

「王よ、今の聖女がそろそろ死ぬとは思いますが一応新しい聖女とどこかで出会い、手を取り合って逃げ出す可能性もありますのでそうそうに殺めた方がよろしいかと。」

そう発言するのはこの国の宰相。無能な王の替わりにほとんどの政務をこなす裏の支配者だ。
とにかく有能で、そして冷徹。
しかし、そんな冷徹な仮面の裏側は無能な王よりも国を思う気持ち…愛する気持ちがとても強い。

一人の犠牲で国の民達が守れるならと聖女を生贄にするほどに…。

最初に国を作った聖女に関しては尊敬の念を持ってはいるが、ただそれだけ。
今の聖女、そして新しく現れた聖女やこれから現れるだろう聖女に関してはなんの感情も持っていない。
何かしらの感情を持つ意味がないと思っているからだ。
きっと聖女を人だとは思っていないのだろう。

「あぁ、それもそうだな。さすが宰相だ!では、魔導師長よサクッとやってくれ。」

「承知致しました。」

そうして聖女に関しての話し合いは幕を閉じて王と魔導師長は新しい聖女の元へ、宰相は政務へと戻っていった。

***

ヴァルハン王国の王宮敷地内の隅の隅、そこにある古びた宮殿に私は住んでいる。

この古びた宮殿は初代聖女と勇者が一緒に暮らしていたと言われており、その証拠に宮殿の隣にはこの国唯一の神殿が建てられている。
初代聖女はここで朝から昼ごろまで神に祈りと願いを捧げていたらしい。
そして私も初代聖女と同じくそこで毎日朝早くから昼ごろまで、神への祈りと願いを私の寿命と引き換えに捧げている。

しかしそれももう終わるだろう。

私の寿命が尽きかけている。

そう思ったのは今日の神への祈りと願いを捧げ終えた後だった。
いつもだったら昼前には終わるのに今日は初めて昼過ぎまで時間がかかった。
さらには体の震えが止まらず私は立ち上がる事が出来ずにその場で蹲っていた。

ふと自分の腕を見る。
しわくちゃで肉付きがなく骨と皮だけのような腕。

そして隣を見ると私がここに来るまでに使っていた杖がある。

その杖は私が10歳の頃にここに来て、それから15年間私を世話してくれていた人が作ってくれた物。
年齢が2歳しか変わらないのにずっと2人で手を取り合って生きてきた。

…あぁそうだ、こんな所で倒れている場合じゃないな。あの人が心配してしまう。

私は気力を振り絞り震える手で杖を掴み、震える足を叱咤して立とうとする。
しかし、上手くいかず杖が床を滑りその場で前のめりになり倒れそうになった所で私を呼ぶ声と足音が聞こえた。

***

「アイリーン!」

神殿の扉を開けた瞬間体をフラフラとさせて立ち上がろうとしているアイリーンの姿が見えて俺は急いで走り出す。

このままだと倒れて頭をぶつけてしまうかもしれない…!

あとちょっとでアイリーンの所にたどり着きそうになったその瞬間アイリーンが杖を滑らせて前のめりに倒れそうになった。

俺はますます慌てて滑り込み間一髪でアイリーンが床にぶつかることを阻止した。

…危なかった。

「アイリーン大丈夫?」

そう声をかけながら俺の上に倒れ込んだアイリーンの様子を見る。

ガリガリに痩せ細った体…年齢にそぐわないしわがれた顔…
アイリーンをこんな風にした王家や貴族に果てしない怒りを感じる。

しかし、本当に間に合ってよかった…。
いつもなら昼前には終わるのにいつまで経っても神殿から出てこないアイリーンが心配になって本来なら聖女と王族以外立入禁止の神殿内に入ったのは正解だった。

「ラース?」

うっすらと目を開けたアイリーンは掠れた声で俺の名を呼ぶ。

「アイリーン…無事で良かった…」

アイリーンの琥珀色の瞳がしっかりと俺の事を捉えていて安堵と共に泣きそうになった。

しかしそれを堪えていつものようにアイリーンのおでこにキスをする。

アイリーンの寿命を少しでも伸ばすために…

俺には王家や貴族に隠している魔法があった。
それは自分の生命力を相手に受け渡す事ができる魔法…

生命力は生活習慣で回復することができるが寿命はどんなに頑張っても回復する事が出来ない。
だが、なんの力なのかよくわからないが他人から受け渡した生命力は寿命に還元される。

この事を誰かに聞いた訳でも無いのになぜか俺は知っていた。

だから俺はいつもアイリーンが祈りと願いを捧げた後こうして俺の生命力をアイリーンに受け渡していた。

「ラース…ありがとう。少し楽になったよ。」

いつもとは様子の違うアイリーンに焦りを覚えていた俺は必死で俺の生命力を受け渡していた所にアイリーンがそう声をかけた。

「…まだ駄目だ。」

「ううん。もう大丈夫。これ以上やったらラースも動けなくなるよ。」

…確かにこのままだとアイリーンを部屋まで運べなくなってしまう。
だけど、今の様子からしてまだ生命力をアイリーンに渡した方がいいだろう。

「…分かった。アイリーンを部屋まで運んでからまた俺の生命力を渡すよ。」

「ラース。本当にもう大丈夫だよ?」

まだ何かいうアイリーンを無視して俺はアイリーンを横抱きにして神殿を後にした。


部屋に付きアイリーンをベットの上に寝かせるとアイリーンの体調が急激に悪化した。

「…!!?アイリーン!!」

「あっ…ゲホッ…ラース…なに…これ…くるし…」

咳込み微量の血を吐き出したアイリーンが俺に向かい手を伸ばす。
俺は血の気が引き青ざめた顔をしながらそれでも急いでその手を掴んだ。

その時俺は気づいた。

アイリーンの腕に黒い蛇のような痣が這っていたのに…。

これは…有名な呪術だ…。
余りにも危険すぎる為に禁術とも呼ばれている。

だけどこの禁術が使える者は数が限られてる筈だ。
魔力の消費が激しいため魔力を大量に保持した者。
さらに一度呪う相手と接触し、その人の髪や爪など体の一部が必要となる。

そうなってくるとアイリーンにこの術をかけた者が自ずと分かってくる。

聖女の存在を知っており容易に接近、接触でき、そして魔力を大量に保持している人物。
そんな人物はこの国では一人しかいない。

この国の宮廷魔導師と呼ばれている奴だ…。

この術は一度かけられたら必ず死に至るという呪いの禁術。

蛇のような黒い痣が体中を這ってどんどんと数を増やし1日経つ頃には全身が黒くなる。そしてその瞬間呪われた相手は息を止める。

そんな呪いを何故聖女である彼女にかけられたのか…。

聖女が失われればこの国は容易に崩壊する。
…それとももう新しい聖女が見つかったのか?
だから今の聖女が邪魔だから消そうとしているのか?

そう考えついた瞬間俺はいい知れない怒りに包まれた。

体の弱ったアイリーンはこの呪いが全身に回る前にその息を止めてしまうだろう。

解呪の方法はない…。

どうしようも出来ず俺はアイリーンの手を両手で握り締め歯を食いしばり涙を堪える。
しかし、思うように止められずその頬に涙が伝いアイリーンの手の甲に落ちた。

「ラース…泣かないで…。」

アイリーンの掠れた声が聞こえて俺は顔を上げる。

「元々、私はもう長くなかった…。ラースがいてくれたからここまで長く生きれたの…。15年間ラースと共に生きれて私は本当に幸せだったよ。」

掠れた、振り絞った声音でそうアイリーンは告げると両手で握り締めた両手が急に熱くなった。

「…アイリーン!?」

驚き目を見開く俺に彼女は少し微笑んだ。

「幸せだった…。でも、本当は寿命が尽きるまで生きたかったの…。それなのに呪いで殺されるなんて嫌。あいつらの思い通りになんてなりたくない。だから、私が持っている力と寿命ラースにあげるね。私の分まで生きて。」

「なっ!!やめろアイリーン!!」

慌てて両手を離そうとしたが、アイリーンがもう片方の手でそれを抑える。
体の弱っているアイリーンの手を乱暴に振り解くことも出来ず俺は涙を溢す。

「酷いよアイリーン…。俺は君がいなきゃ生きていけない…。君がいない世界でどうやって生きていけばいいんだ。」

「…ごめんねラース。本当にごめん。でも、私はラースに生きてて欲しいの。私の分まで幸せになって欲しい…。」

熱くなっていた両手が徐々に収まり、アイリーンの手の冷たさが伝わってくる。

「君がいなきゃ、俺は幸せにはなれない…。」

もう堪えることも出来ず溢れ出した涙が止まらない。
そんな俺の様子を見ているアイリーンが困った表情をした後、嬉しそうに微笑んだ。

「そんなに思って貰えるなんて私は幸せ者だなぁ…。ねぇ、ラース最後に一度抱きしめて欲しいな…。」

そんなアイリーンの最後のお願いに答える為に俺は繋いだ両手を離しアイリーンの上体をゆっくりと起こした後俺はベットに座り膝の上にアイリーンが乗るようにして抱きかかえた。

もう、どうしようも出来ない…。

呪いで死にたくないと願う彼女は残りの寿命を俺に受け渡してその命を削っていく。
彼女の目はもう開けていられないのか既に閉じていて手も冷え切っている。
アイリーンが生きていると確認できるのは微かな吐息と呼吸するときに揺れる肩のみ。

それを何度も確認しながら俺はアイリーンの頬に触れた。
その時アイリーンの口が僅かに動く。

「…アイリーン?」

「…ラース…愛してる…次…生まれ変わるなら…普通の…女の子になりたいなぁ…。」

それが最後の言葉と分かった瞬間彼女の体にヒビが入る。
今にも崩れそうなその体が消えないように俺は慌てて強く抱きしめる。
しかし、アイリーンの体は服だけを残して消え去ってしまった。

最後に見た彼女の顔は口角を上げて本当に幸せそうな微笑みを見せていた。

「…なんで自分が死ぬ間際なのにあんな表情でいられるんだよ。」

しばらく呆然と彼女が消えた光景を見ていたが
彼女の姿が跡形もなく消え去ってもう顔を見れず、声も聞くことが出来なくなってしまったと頭が理解すると俺の心は様々な負の感情に覆われていき、残ったアイリーンの服にゆっくりと顔を埋めて耐えきれず慟哭する。

湧いてくるのは姿さえ残さずに逝ったアイリーンに対する深い悲しみ、助けられなかった自分への不甲斐なさや悔しさ。 あんな腐った奴らに抵抗やアイリーンを連れて逃げ出すことすら出来なかった自分の弱さによる怒り。

色んな感情がごちゃ混ぜになり、時間が経つほどにその感情は俺の心をどす黒く染め上げていく。
それはアイリーンから貰った清純なる力さえも染め上げていく程に。

そして最後に残ったのはアイリーンを追い詰めたこの国の王族と上級貴族たちに対する復讐心のみ。

その心はこの国を破滅へと導くことも厭わない程に強い。

俺はそんな気持ちに従い、あいつらがいる場所を目指し立ち上がった。

***

ヴァルハン王国は新たな魔王の手によって建国歴200年という短い期間でその幕を閉じた。

そしてヴァルハン王国が建国される前の状態にまた戻りその領土はまた魔王の支配下になる。

空は黒い雲に覆われ、森は陰鬱とした深い霧に包まれる。
弱体化していた魔獣・魔物はこの世界の中でも最強クラスまでに強くなった。

突如現れた魔王に世界は混乱に包まれ、いつ自分の国が襲われるのか戦々恐々とする。

しかし、待てども待てども魔王は襲ってこず逆に今まで様々な害を及ぼしていた魔獣・魔物が自国から徐々に消えていった。

そう、全て旧ヴァルハン王国に向かってしまったのだ。

何故そのような現象が起きているのか、研究の為に勇気ある強者が旧ヴァルハン王国に向かうが聖女が張ったと言われている結界の境界から先が何故か進めなくなっていた。

旧ヴァルハン王国の中に入れるのは魔獣・魔物のみ。
そして一度入ったら二度出てこれなくなる。
研究をして分かったことはそれのみだった。

結界を張っていた旧ヴァルハン王国にどのようにして魔王が現れたのか。

何故全ての魔獣・魔物が旧ヴァルハン王国に向かっていったのか。

全ては謎に包まれたままである。

しかし、魔王が現れたことによって旧ヴァルハン王国以外の国は平和に包まれたということは時間が経つにつれて徐々に人々は理解し始めた。

そして魔王が現れてからまた200年という歳月が経った。

***

「迎えにきたよ、アイリーン…いや、アイリス」

そう告げるのは黒髪に赤の目をした麗しい青年。

私は継母と義姉二人の意地悪に耐えきれず今日の舞踏会でこの邸に誰もいない日を狙い午前0時の鐘が鳴った瞬間に扉を開けた。

そしたら目の前にこの人がいたのだ。

「えっと…あなたは?」

「そっか…覚えていないんだね…俺はラースと言うんだ。」

そう名前を言われた瞬間、脳内に様々な光景が駆け巡る。

気がつくと私は涙を流していた。

「ラース…?」

名前を呼びながら彼の顔を…目を見る。

すると彼はとても嬉しそうに愛しそうに私を見て微笑んだ。

あぁ、なんで私は彼のことを忘れてしまったのだろう。
こんなに大切な人なのに。

私は彼に抱きついた。

「今まで、忘れてしまってごめんなさい…ラース…。」

「アイリーン…思い出してくれたの?」

「えぇ…ラース、私をあなたの住む所に連れてって。」

顔を上げて彼の目を見ながら微笑むとラースは思わずといったように強く抱きしめる。

「勿論だよアイリーン。今度こそ二人で幸せになろう。」


そうして、私はラースに連れ出されて彼の住む旧ヴァルハン王国の王城へと向かった。

そこでは色々大変なこともあったけど、それでも前世での辛い出来事や生まれ変わった後の16年と比べると大したことなくて…

まぁ、ラースがいてくれればそれだけでつらいこともつらくなくなるんだけどね。

これから先も大変なことやつらいこと、苦しい時があってもラースと一緒にいれば乗り越えていける。

「ねぇ、ラース。私、ラースと出会えて本当に良かった。前世の分も含めて沢山幸せになろうね!」


                ~fin~

***

蛇足的 人物紹介

ラース 年齢 27歳   髪色 金 瞳 青
彼は勇者の素質を持っており、それに気づかずアイリーンにその生命力を渡していた。
彼は現王の不貞の子であり、庶子。
それを隠す為にアイリーンの世話係として隅に追いやられる。
ちなみに世話係として連れられた12歳の頃はまだ侍女がいたが年を追うごとに減っていき、彼が20歳になる頃にはアイリーンと二人きりになってしまう。

魔王(ラース)  年齢 200歳 髪色 黒 瞳 赤
心を黒く染め上げたラースが復讐の為に王族、上級貴族の所に向かうその途中に闇の神がその心の色を気に入りラースの元に現れる。そして、元々持っていたラースの勇者の力とアイリーンから貰った聖女の力を黒く染め上げ、さらに自身の加護をラースに与えた。
その影響で髪色は黒く、瞳は赤く変わってしまう。
復讐を成し遂げたラースは心が落ち着き、生まれ変わったアイリーンが安全に暮らせるように自分の魔力を餌にして魔獣・魔物を旧ヴァルハン王国に呼び寄せ、聖女の結界があった場所に新たな結界を張り、魔獣・魔物のみが入ってこれるようにする。
ちなみにアイリーンがアイリスとして生まれ変わった16年間ラースは自分の国に迎え入れる為に色々な準備をしていた。

アイリーン 年齢 25歳(アイリス 年齢 16歳)
髪色 薄ピンク
瞳  グレー  (アイリスも同じ髪色と瞳)
10歳の頃王国騎士団と名乗る騎士たちに誘拐のように連れさらわれ、その後家族を人質に聖女の役割を無理やりこなす。
生まれ変わった後のアイリス時代はまるでシンデレラのように酷い扱いを受ける。
とても幸薄いヒロイン。

初代勇者と聖女
実は幼馴染の二人。
闇の神により力を与えられた魔王はその長すぎる時を生きてきたため狂い始めていた。
そんな中、光の神によって加護を与えられた二人は魔王を倒す為に旅に出る。
そしてその知らせを受けた魔王の眷属達もその二人に協力する旨を伝える。
魔王と共に生きてきた彼らもいつか自分達も狂うのではないかと恐怖していたのだ。

そうして魔王と協力してくれた眷属達も一緒に浄化して魔王戦は終幕した。

ラースがアイリーンに行っていた生命力の受け渡しは実はもっと効率的なやり方があり、それが体液の交換だった。
だから、初代聖女は50年間勇者と共に生きることが出来た。

そして、それも含めて初代勇者と聖女は光の神に様々な啓示を貰っておりそれについて書き記した書物があったが全て隠蔽されてしまう。
二人が亡くなった後に残った一人息子が愚息だった為、邪な思いを持つ貴族達が増え為だ。

そうしてヴァルハン王国は腐りきってしまった。

***
短編に書けなかった設定をここで放出してみましたw
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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