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青電車乗車
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この世界は不思議だ。
電車を乗り継いで進めば進むほど、空の光が強くなる。
かと言って、夏のようにギラギラした光では無い。
ふんわりした、体と心を包み込むような優しい光だ。
男性は、電車旅の途中でホームに降りる度に暖かい気持ちになっていた。
…なっていたはずなのだが、今回の駅はいつもの心地よさが感じられない。
男性は以前、モトクマから監査の話を聞いた事があった。
ユメノ鉄道の社員さんが、きちんと報告書作成しているか見回る事があるのだと。
その時は電車内に緊張感が伝わり、一般の乗車客までピリピリしてしまうらしい。
これが。
今のこの状態がまさにそれなのか。
今回の無人駅のホームには、山の神様直属の部下であり、ユメノ鉄道の社員さんでもあるオコゼの皆さんが3名いらっしゃっている。
まるでここが水の底でもあるかのように、オコゼさん達は空中を泳いでいた。
男性は目が合わないように、必死で真逆の方向に首を向け、一点をひたすら見続けた。
いつもであればモトクマとおしゃべりするのに夢中で、あっという間に電車が来るはずなのだが、今回は全然電車が現れない。
こんなに時間を長く感じたのは久しぶりだ。
緊張で七不思議石よりもガチガチに固まっている男性を見て、ギンはホームの端まで連れて行って話しかけた。
「大丈夫か?熊の兄ちゃん。心配すんな。俺もモトクマもついてる。(小声)」
ギンは男性の背中にそっと手を当てた。
手の暖かさが背中を通して、男性の心まで伝わっていく。
ギンの手が背中をさする度に、緊張がほぐれていくのを感じた。
「ありがとうございます、ギンさん。次の電車でも頑張れそうです。(小声)」
「おう、そりゃ良かった。電車の中は狭いから、今みたいにコソコソ話しはできないからな。今のうち俺らに言いたい事があったら言っとけ?(小声)」
モトクマも耳の中で、そうだよと言っている。
「えっとじゃー。モトクマに質問なんだけど、次の昔話ってどんな話なの?先に知っておきたいんだ。(小声)」
オコゼの監査の目が光っている中、次回は目立ったサポートは期待できず、ほとんど男性1人で解決しなければならない。
本当はひとりで抱え込む事はよく無いのだろうが、ある程度の責任感は持って行動するべきだろう。
あらかじめ出来ることはやっておきたいのだ。
「分かった。えーっとねえ、昔話の題名は“傘かぶり石”って言うの。旅人のお坊さんが、民家に泊めてもらったお礼に、悪い山オジを退治しに行って石になっちゃうお話だよ。(小声)」
「何それ、バッドエンドじゃん。(小声)」
「ん、なんだ?バッドエンドなのか?(小声)」
モトクマは男性の耳に隠れて喋っているため、男性には聞こえるが、ギンには聞こえていなかった。
「まぁ、俺はいいや。熊兄がわかれば。(小声)」
「くまにい?」
「くまにぃ?」
男性とモトクマの声がそろった。
「熊の兄ちゃん。略して熊兄だ!いいだろ?そう呼んでも。」
ギンは照れて、かるく体当たりをしてきた。
男性は嬉しくなり、満面の笑顔で頷く。
……ガタン……ゴトン。
フアァーン!
男性の緊張もほぐれた所で、丁度よくホームに次の電車がやってきた。
電車はとても可愛らしい、ポップな青色をしている。
「よし、2人とも行こうか!」
「おうよ!」
「いざ!秋田の昔話“傘かぶり石”の世界へー!(小声)」
3人は元気よく、乗車待ちの列へと向かって行った。
電車を乗り継いで進めば進むほど、空の光が強くなる。
かと言って、夏のようにギラギラした光では無い。
ふんわりした、体と心を包み込むような優しい光だ。
男性は、電車旅の途中でホームに降りる度に暖かい気持ちになっていた。
…なっていたはずなのだが、今回の駅はいつもの心地よさが感じられない。
男性は以前、モトクマから監査の話を聞いた事があった。
ユメノ鉄道の社員さんが、きちんと報告書作成しているか見回る事があるのだと。
その時は電車内に緊張感が伝わり、一般の乗車客までピリピリしてしまうらしい。
これが。
今のこの状態がまさにそれなのか。
今回の無人駅のホームには、山の神様直属の部下であり、ユメノ鉄道の社員さんでもあるオコゼの皆さんが3名いらっしゃっている。
まるでここが水の底でもあるかのように、オコゼさん達は空中を泳いでいた。
男性は目が合わないように、必死で真逆の方向に首を向け、一点をひたすら見続けた。
いつもであればモトクマとおしゃべりするのに夢中で、あっという間に電車が来るはずなのだが、今回は全然電車が現れない。
こんなに時間を長く感じたのは久しぶりだ。
緊張で七不思議石よりもガチガチに固まっている男性を見て、ギンはホームの端まで連れて行って話しかけた。
「大丈夫か?熊の兄ちゃん。心配すんな。俺もモトクマもついてる。(小声)」
ギンは男性の背中にそっと手を当てた。
手の暖かさが背中を通して、男性の心まで伝わっていく。
ギンの手が背中をさする度に、緊張がほぐれていくのを感じた。
「ありがとうございます、ギンさん。次の電車でも頑張れそうです。(小声)」
「おう、そりゃ良かった。電車の中は狭いから、今みたいにコソコソ話しはできないからな。今のうち俺らに言いたい事があったら言っとけ?(小声)」
モトクマも耳の中で、そうだよと言っている。
「えっとじゃー。モトクマに質問なんだけど、次の昔話ってどんな話なの?先に知っておきたいんだ。(小声)」
オコゼの監査の目が光っている中、次回は目立ったサポートは期待できず、ほとんど男性1人で解決しなければならない。
本当はひとりで抱え込む事はよく無いのだろうが、ある程度の責任感は持って行動するべきだろう。
あらかじめ出来ることはやっておきたいのだ。
「分かった。えーっとねえ、昔話の題名は“傘かぶり石”って言うの。旅人のお坊さんが、民家に泊めてもらったお礼に、悪い山オジを退治しに行って石になっちゃうお話だよ。(小声)」
「何それ、バッドエンドじゃん。(小声)」
「ん、なんだ?バッドエンドなのか?(小声)」
モトクマは男性の耳に隠れて喋っているため、男性には聞こえるが、ギンには聞こえていなかった。
「まぁ、俺はいいや。熊兄がわかれば。(小声)」
「くまにい?」
「くまにぃ?」
男性とモトクマの声がそろった。
「熊の兄ちゃん。略して熊兄だ!いいだろ?そう呼んでも。」
ギンは照れて、かるく体当たりをしてきた。
男性は嬉しくなり、満面の笑顔で頷く。
……ガタン……ゴトン。
フアァーン!
男性の緊張もほぐれた所で、丁度よくホームに次の電車がやってきた。
電車はとても可愛らしい、ポップな青色をしている。
「よし、2人とも行こうか!」
「おうよ!」
「いざ!秋田の昔話“傘かぶり石”の世界へー!(小声)」
3人は元気よく、乗車待ちの列へと向かって行った。
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