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08 守秘義務

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 妹が言うには、学園ハーレムを築くには『秘密にすること』がとても大事なことらしい。
 まぁ、考えてみれば当たり前のことだ。
 誰か人を好きになる、または愛するということは、裏を返せば、その人のことを独占したいという気持ちの表れでもあるからだ。

 その独占欲がハーレムにとっては大きな障害になる。
 
 ただし、一人の男のもとに複数の女が集まるとなると、それぞれの関係を完全に隠すことなんて不可能だ。『秘密にすること』なんて決してできない。

 だから、ここでいう『秘密にすること』は男女関係に当てはまることではないということ。

「そりゃぁ、世間体はかなり悪いよなぁ……」

 俺は授業中、小さな声でぼそりと声を漏らす。
 もうすぐでお昼ということもあり、いい具合に集中力も切れてきた模様。
 
『絶対に周りの生徒たちに感付かれないようにねっ』

 妹からの指令の一つだ。

 この指令が一番難しいことであるのは間違いないだろう。
 今の俺の実力で果たして、それが可能なのだろうか……

 俺は斜め右にいる、水瀬雫の後ろ姿を眺めながら今後の計画について考える。

 今日の彼女は黒い長髪を一つにまとめてポニーテールにしている。
 首筋が露わになって、うなじもはっきりと見える……
 はっきり言おう。
 めちゃエロい。

 妹からも言われているように、ハーレムを築くのに大事なことの一つとして、女の子とのスキンシップが挙げられる。
 まぁ、ハーレムといったらエロいことを当然のようにするわけだから、考えるまでもないことなのだが……

「よしっ……。さっそく今日からスキンシップを始めますかぁぁ……」

 俺はあくびを一つして、水瀬雫との関係の深さをより深いものとするために、考えをめぐらすのだった。
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