9 / 20
3章
3
しおりを挟む
氷の破片の形をした、立花にとってはお守りでもある忠誠の証。それは彼女が天災地変に正式に入った時に、トップ────零から授かったものだ。
彼女はその時からこれを肌身離さず持ち歩いている。これを所持していれば、例え捉えられても零にはその居場所が分かる。さっきのように結界を切り開くことも。
言ってしまえば破片は、GPS機能がついた社員証。立花はこれを重宝している。今はこうして零と離れているが、これさえあれば零と共にいる気がして心強い。
今回の仕事は、この学園に侵入して麓の様子を報告せよ、というもの。あの忌々しいツラをまた拝まなければいけないのは癪だが、零の言うことならば従うのみ。
それに今回が初めての仕事らしい仕事。
今までは先輩に同行して仕事の様子をそばで見たり、サポートしていた。
だから今回、現場に1人で赴く日が来てそれなりにはりきっていた。監察対象が気に食わないと言えども。
立花はしばらく校舎全体を眺めていたが、東校舎に向かって歩き始めた。彼女がかつて通っていた場所。
その近くには寮があり、ヘアピンを持って黒い笑みを浮かべた、人間のくせにやたら狂暴な女のことを思い出した。
風紀委員の1年生である蒼に能力で箱に閉じ込められ、暴言を吐いたあの女にヘアピンを箱に突き刺してきた。正確には小刀に化けたヘアピンを。
あの時を思い出すと恐怖で震え、嫌な汗が背中を伝う。絶対あれは本気で殺すつもりの勢いだった。
────ほう…。やたら強い人間の女…。そんな者があの学園にいるのか。風紀委員寮にそのような寮長がいたとは初耳だ。
────実は私も初めて見ました。あの女寮長の存在はどうやら、あまり知られていないようで。
不思議な女だ。人間のくせしてあのお方に興味を持たれるなんて。
在籍時、大して話さなかった元ルームメイトやクラスメイトに聞いてみたら、そんな人は知らないと言われた。女子寮の寮長たちに聞いたら知っていたが、細かく追求しようとしたら仕事があるからとそれ以上相手にしてもらえなかった。
よく考えると”人間のくせに”という言葉を多用している。それはあの女が人間離れしているようだからか。
(もしそうだったら? 人間じゃないとしたらあの女は一体何者?)
立花が真っ先に思いついたのは大熊。いや、それこそ人間ではないのだけど。
もしもの時は人間と精霊の力量の差を顧みずに立ち向かってくるかもしれない。あのヘアピンを変化させて。あながち、熊というのは間違っていないかもしれない。
(脅威になる前に始末してしまおうか)
心の隅に滑り込んできた。体中の血液が熱くなってドクドクと波打ち、冬にも関わらず全身が熱くなってきた。
戦闘モードに入りつつあり、そのうち体から湯気が立ち昇りそうだ。だがそれを解除し、不敵な笑みで寮を見上げた。
(今回をやめておくわ。学園の襲撃が決まったら、今度は私が恐怖のどん底に落とす。せいぜいその時までのんきに過ごしなさい。風紀委員、女寮長…)
彼女はその場を離れ、再び東校舎へ向かう。
授業中だろうか。校舎近くに来ても静かだ。思えば授業というのはひどく退屈で、なんの面白みもなかった。
教科書は棒読み、板書してあることをただノートに書き写すだけ、教師の話は耳を右から左へ。成績は悪くなかったが、何のために授業を受けているのか目的は分からなかった。
(さて。久しぶりに教室へ行きましょうか)
立花は再び巾着を取り出した。これがあれば自分の姿を見えなくすることも可能だ。しかし、手の甲を軽く引っかいて血をわずかに流す必要がある。当然痛くてひりひりして気になるが、一時的なもの。彼女は息をついて、氷の破片を手の甲に軽く押し当てた。
「そんなことしたら痛いぞ。精霊だから傷跡なんて残らないが、痛かった思い出は記憶から消えない」
「誰っ!?」
突然聞こえた声は、手にしている氷のように冷たい。
振り向くとそこには、腕を組んで冷たく見下ろす男がいた。
彼のことは知っているが、直接会ったことも話したこともない。
襟足が長めの黒髪に紫のネクタイ。間違いない、彼は。
「11年生の彰…」
「俺のことを知っているのか」
彼は意外にも、ごく普通な態度を取った。女嫌いの噂のある男だから、睨みつけられるかと思った。
と言うかそれ以前に、これは不法侵入者に対して取る態度なのだろうか。立花は手を下ろした。
「何よ。もう1人の問題児が」
「お前が言えた義理か。嫌がらせで退学した女が」
「はぁ!?」
「小者ごときでも退学っつー珍しい処分を受けたら有名人だ。校内中であんたのやったことが噂になっていたぜ。…まぁ、噂は75日。すぐに消滅したがな」
彰は片頬を上げ、嘲笑した。立花の神経は逆なでされ、腹の底から怒りの炎が湧き上がってくる。
「…それが何? わざわざそんなことを言いにきたのかしら。だったらとっとと失せてちょうだい。こちとら学生とは違って立派な仕事があるの。邪魔されちゃ報酬がなくなるわ」
「俺が暇を持て余してここに来たとでも思っているのか。バカめ、学業をおろそかにして脳漿が腐ったか。あ、元からかもしれんな」
無表情で煽っている。精霊の中でもトップクラスの美しい外見とは裏腹に、話すことはいちいち癪にさわる。
彼女は氷の破片を懐にしまい、手を入れたまま冷たくアゴを持ち上げた。
「さっきの聞こえなかったかしら────とっとと失せろォ!!」
立花は2本のクナイを握り、語気を強めて彰に向かって飛ばした。しかし彼は取り乱すことなく、その場から動こうとしない。
(フン。組織に入ってから叩き込まれたクナイの扱い…無防備なヤツは避けられない!!)
立花は鼻で笑う。クナイが彼に到達すると、2本とも彰の心臓に刺突し鮮血が吹き出す。彼は膝と手をついて崩れ落ち、煽っていた口からは血が吐き出る────。
しかしそれは立花の脳内の映像であり、実際にそうはならなかった。
彰は確かにクナイを避けようとしなかった。クナイを素手で掴んでみせたのだ。先ほどと表情を何1つ変えずに。
とんでもない反射神経。立花はクナイを、銃に装填された弾丸のごとく投げたのだ。なのにそれをいともたやすく…。
「なんで…外したことはなかったのに…」
それなりに鍛錬を積み上げていた。悔しい。特に立花は負けず嫌いであった。
すると彰が立花の方を向いてクナイを持ち、構えた。その瞳には殺気がこもっている。今の彼女にはそう見えた。
(し…し、死ぬのなんて怖くない…! 精霊だから簡単には死なない。私が死ぬのは零様のおそばだけ…!)
心の中では強がっていながら、全身が震え出していた。ビクビクしていると、彰は構えを解いて立花の足元にクナイを投げた。力なく放られたそれは、無様に転がる。
立花は慌てて拾い上げ、彰のことを見上げる。腰を抜かさずに済んだが、クナイを持つ手はまだ震えている。
「死に場所、か。永遠の命を持つ精霊には随分と縁遠そうな言葉だ。天災地変のお前は死と隣り合わせかもしれんが」
彰はそれだけつぶやくと、立花に背を向けた。
これでやっと邪魔者が消える。
そうほっとしたのも束の間。立花は帰せないとばかりに腕を伸ばした。
「ちょ…待ちなさい!」
彰は迷惑そうな色を含んだ顔で振り向いた。眉間にシワが寄っている。
「なんだよ…失せろだとか待てだとか。俺はそんなに都合のいい男じゃない」
「そんなのどうでもいいわ。あんた…言ったわね。死に場所とか天災地変って…それは適当に言っているのかしら? それとも────」
あの組織に入ってから、外部の者に素性を話していない。会う事すらなかったが。
今まで関わったことのない男がそんなことを知っているはずがない。
だが彰は、見事なまでに立花を裏切った。
アゴを引き、歯をわずかにのぞかせ、瞳をスッと細めた。
「別に? お前の考えていることを読み取っただけだ」
「はぁ!? そんなことできるわけないでしょ! デタラメばかり並べていると、今度こそ心臓を貫くわよ」
「デタラメならお前が言っているじゃないか。さっきのクナイ投げの腕前はなんだ。言葉だけは殊勝だな。俺のツレの方がよっぽど筋がいい」
「へぇ…? 一匹狼にもツレだなんて呼べる人がいるとはね」
「なめるなよ。俺はお前と違って他人を全て拒否ってきたわけじゃねぇ…」
彰はニヒルな笑みだけを残し、校舎に向かって歩き出した。
取り残された立花は、憎しみの目で彼の背中を睨みつけ、爪が食い込みそうなほど拳を握った。
彼女はその時からこれを肌身離さず持ち歩いている。これを所持していれば、例え捉えられても零にはその居場所が分かる。さっきのように結界を切り開くことも。
言ってしまえば破片は、GPS機能がついた社員証。立花はこれを重宝している。今はこうして零と離れているが、これさえあれば零と共にいる気がして心強い。
今回の仕事は、この学園に侵入して麓の様子を報告せよ、というもの。あの忌々しいツラをまた拝まなければいけないのは癪だが、零の言うことならば従うのみ。
それに今回が初めての仕事らしい仕事。
今までは先輩に同行して仕事の様子をそばで見たり、サポートしていた。
だから今回、現場に1人で赴く日が来てそれなりにはりきっていた。監察対象が気に食わないと言えども。
立花はしばらく校舎全体を眺めていたが、東校舎に向かって歩き始めた。彼女がかつて通っていた場所。
その近くには寮があり、ヘアピンを持って黒い笑みを浮かべた、人間のくせにやたら狂暴な女のことを思い出した。
風紀委員の1年生である蒼に能力で箱に閉じ込められ、暴言を吐いたあの女にヘアピンを箱に突き刺してきた。正確には小刀に化けたヘアピンを。
あの時を思い出すと恐怖で震え、嫌な汗が背中を伝う。絶対あれは本気で殺すつもりの勢いだった。
────ほう…。やたら強い人間の女…。そんな者があの学園にいるのか。風紀委員寮にそのような寮長がいたとは初耳だ。
────実は私も初めて見ました。あの女寮長の存在はどうやら、あまり知られていないようで。
不思議な女だ。人間のくせしてあのお方に興味を持たれるなんて。
在籍時、大して話さなかった元ルームメイトやクラスメイトに聞いてみたら、そんな人は知らないと言われた。女子寮の寮長たちに聞いたら知っていたが、細かく追求しようとしたら仕事があるからとそれ以上相手にしてもらえなかった。
よく考えると”人間のくせに”という言葉を多用している。それはあの女が人間離れしているようだからか。
(もしそうだったら? 人間じゃないとしたらあの女は一体何者?)
立花が真っ先に思いついたのは大熊。いや、それこそ人間ではないのだけど。
もしもの時は人間と精霊の力量の差を顧みずに立ち向かってくるかもしれない。あのヘアピンを変化させて。あながち、熊というのは間違っていないかもしれない。
(脅威になる前に始末してしまおうか)
心の隅に滑り込んできた。体中の血液が熱くなってドクドクと波打ち、冬にも関わらず全身が熱くなってきた。
戦闘モードに入りつつあり、そのうち体から湯気が立ち昇りそうだ。だがそれを解除し、不敵な笑みで寮を見上げた。
(今回をやめておくわ。学園の襲撃が決まったら、今度は私が恐怖のどん底に落とす。せいぜいその時までのんきに過ごしなさい。風紀委員、女寮長…)
彼女はその場を離れ、再び東校舎へ向かう。
授業中だろうか。校舎近くに来ても静かだ。思えば授業というのはひどく退屈で、なんの面白みもなかった。
教科書は棒読み、板書してあることをただノートに書き写すだけ、教師の話は耳を右から左へ。成績は悪くなかったが、何のために授業を受けているのか目的は分からなかった。
(さて。久しぶりに教室へ行きましょうか)
立花は再び巾着を取り出した。これがあれば自分の姿を見えなくすることも可能だ。しかし、手の甲を軽く引っかいて血をわずかに流す必要がある。当然痛くてひりひりして気になるが、一時的なもの。彼女は息をついて、氷の破片を手の甲に軽く押し当てた。
「そんなことしたら痛いぞ。精霊だから傷跡なんて残らないが、痛かった思い出は記憶から消えない」
「誰っ!?」
突然聞こえた声は、手にしている氷のように冷たい。
振り向くとそこには、腕を組んで冷たく見下ろす男がいた。
彼のことは知っているが、直接会ったことも話したこともない。
襟足が長めの黒髪に紫のネクタイ。間違いない、彼は。
「11年生の彰…」
「俺のことを知っているのか」
彼は意外にも、ごく普通な態度を取った。女嫌いの噂のある男だから、睨みつけられるかと思った。
と言うかそれ以前に、これは不法侵入者に対して取る態度なのだろうか。立花は手を下ろした。
「何よ。もう1人の問題児が」
「お前が言えた義理か。嫌がらせで退学した女が」
「はぁ!?」
「小者ごときでも退学っつー珍しい処分を受けたら有名人だ。校内中であんたのやったことが噂になっていたぜ。…まぁ、噂は75日。すぐに消滅したがな」
彰は片頬を上げ、嘲笑した。立花の神経は逆なでされ、腹の底から怒りの炎が湧き上がってくる。
「…それが何? わざわざそんなことを言いにきたのかしら。だったらとっとと失せてちょうだい。こちとら学生とは違って立派な仕事があるの。邪魔されちゃ報酬がなくなるわ」
「俺が暇を持て余してここに来たとでも思っているのか。バカめ、学業をおろそかにして脳漿が腐ったか。あ、元からかもしれんな」
無表情で煽っている。精霊の中でもトップクラスの美しい外見とは裏腹に、話すことはいちいち癪にさわる。
彼女は氷の破片を懐にしまい、手を入れたまま冷たくアゴを持ち上げた。
「さっきの聞こえなかったかしら────とっとと失せろォ!!」
立花は2本のクナイを握り、語気を強めて彰に向かって飛ばした。しかし彼は取り乱すことなく、その場から動こうとしない。
(フン。組織に入ってから叩き込まれたクナイの扱い…無防備なヤツは避けられない!!)
立花は鼻で笑う。クナイが彼に到達すると、2本とも彰の心臓に刺突し鮮血が吹き出す。彼は膝と手をついて崩れ落ち、煽っていた口からは血が吐き出る────。
しかしそれは立花の脳内の映像であり、実際にそうはならなかった。
彰は確かにクナイを避けようとしなかった。クナイを素手で掴んでみせたのだ。先ほどと表情を何1つ変えずに。
とんでもない反射神経。立花はクナイを、銃に装填された弾丸のごとく投げたのだ。なのにそれをいともたやすく…。
「なんで…外したことはなかったのに…」
それなりに鍛錬を積み上げていた。悔しい。特に立花は負けず嫌いであった。
すると彰が立花の方を向いてクナイを持ち、構えた。その瞳には殺気がこもっている。今の彼女にはそう見えた。
(し…し、死ぬのなんて怖くない…! 精霊だから簡単には死なない。私が死ぬのは零様のおそばだけ…!)
心の中では強がっていながら、全身が震え出していた。ビクビクしていると、彰は構えを解いて立花の足元にクナイを投げた。力なく放られたそれは、無様に転がる。
立花は慌てて拾い上げ、彰のことを見上げる。腰を抜かさずに済んだが、クナイを持つ手はまだ震えている。
「死に場所、か。永遠の命を持つ精霊には随分と縁遠そうな言葉だ。天災地変のお前は死と隣り合わせかもしれんが」
彰はそれだけつぶやくと、立花に背を向けた。
これでやっと邪魔者が消える。
そうほっとしたのも束の間。立花は帰せないとばかりに腕を伸ばした。
「ちょ…待ちなさい!」
彰は迷惑そうな色を含んだ顔で振り向いた。眉間にシワが寄っている。
「なんだよ…失せろだとか待てだとか。俺はそんなに都合のいい男じゃない」
「そんなのどうでもいいわ。あんた…言ったわね。死に場所とか天災地変って…それは適当に言っているのかしら? それとも────」
あの組織に入ってから、外部の者に素性を話していない。会う事すらなかったが。
今まで関わったことのない男がそんなことを知っているはずがない。
だが彰は、見事なまでに立花を裏切った。
アゴを引き、歯をわずかにのぞかせ、瞳をスッと細めた。
「別に? お前の考えていることを読み取っただけだ」
「はぁ!? そんなことできるわけないでしょ! デタラメばかり並べていると、今度こそ心臓を貫くわよ」
「デタラメならお前が言っているじゃないか。さっきのクナイ投げの腕前はなんだ。言葉だけは殊勝だな。俺のツレの方がよっぽど筋がいい」
「へぇ…? 一匹狼にもツレだなんて呼べる人がいるとはね」
「なめるなよ。俺はお前と違って他人を全て拒否ってきたわけじゃねぇ…」
彰はニヒルな笑みだけを残し、校舎に向かって歩き出した。
取り残された立花は、憎しみの目で彼の背中を睨みつけ、爪が食い込みそうなほど拳を握った。
0
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる