ぼっちな魔女の魔法人形

御伽 白

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怪しい男

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 店員さんから商品を買い取った私は簡単な調理法を教えてもらい、その場を後にしました。

 相変わらず、周囲の視線は、私を見ています。美人って目を惹くといいますけど、ここまで目を惹くものなんでしょうか。

 もしかして、私の魔法袋を狙っているのでは?

 全員が自分のことを狙っている犯罪者なのではないかと思ってしまいます。

 この町の治安を私は知りません。周囲を見渡せば、穏やかな町であることは分かります。

 子供達が、広場の隅で集まって遊んでいて、大人達もそれほどギラギラした印象がありません。町は、煉瓦で作られた少し背の高い建物で統一されていて、奇麗に手入れされています。

 感覚的なものですが、奇麗な街並みの場所は、比較的治安が良いものです。

 治安は街に出ると言います。子供が普通に出歩けない場所というのは、治安が悪いと言いますし。
 
 見た感じ、子供は親が側にいなくても元気で遊んでいます。
 
 なので、私のこの心配も杞憂であると思うのですが、そうは言っても周囲の目が気になります。

 さっきまでは優越感を感じていたのに、もしかしたらと思うだけで、不安感の方が強くなってしまいます。

「さっさと買い物を済ませて帰りましょう」

 用事を済ませてさっさと帰るに限りますね。人通りの多い場所で、大それたことは出来ないでしょうし。

 私はそう割り切って、買い物を続けました。あまり吟味する気も起きなくなってしまい、目についた野菜や肉などを手早く購入して魔法袋に詰め込んでいきます。

 屋台の人との会話もそこそこに品物を詰めていきます。

 この魔法袋面白い特性があって、中に手を入れると何があるのかをすぐに把握出来るのです。

 取り出すときに欲しいものをイメージすれば、取り出してくれる優れものです。

 それに現状、かなりの買い物しているはずですが、入らなくなる気配がありません。この中身って際限なく入るんでしょうか。

 ちなみに必要経費として、魔法袋にお金が入っているのですが、その枚数、なんと金貨100枚。

 物価を知る前にはよく聞く数だったのであまり大金という印象はなかったのですが、ここで買い物をしてみて分かります。

 金貨は買い物で基本的に使わないということに。

 当たり前の話で、食事を買いに行って10万円単位で買い物をしません。

 この町の屋台相場は、大体、鉄貨と呼ばれる鉄のお金です。これが代替、100円ぐらいの価値になります。

 私の持っているゼウル硬貨は、全て、威厳のあるおじさんが、雷を纏っている絵が彫られています。

 かなり精巧に作られていて、鉄貨も同じように加工されています。

 基本的に高くても銀貨で、物価としては、日本よりも少し高いぐらいです。

 なので普通は金貨なんて1枚あれば、食材を購入するのに十分な金額です。
 
 100枚って、石油王みたいな金銭感覚してますよ。こんな金額を知り合ったばかりのメイドに渡せるイーリスって、とんでもなくお金持ちなのでは? と思わずにはいられないほどです。

 この町に来て、イーリスの言葉だけを信用するのは危険という結論に達しました。

 彼女は、あれで万能の力を持つ魔女ですから、一般市民と価値観の違いが大きすぎます。

 他国への抑止力としても機能しているという魔女。

 彼女にとって当たり前に出来ることも多いのでしょう。
 
 一流アスリートが、軽いアップをする。と言って一般人が軽いと思うかと言われればやはり、認識に差異が生まれるということです。

 さらには、交友関係の狭い引きこもりですからね。

 そりゃあ、ガラパゴスみたいに独自の価値観が生まれますよね。

 とはいえ、早くにこの事実に気づけたのは幸いです。適当に色々な物を買いあさったおかげで、袋の中の食材は、潤沢にあります。

 調味料もよく分からなかったので、一通り、購入しました。

 普通なら使わない銀貨を数枚使用していますからね。数万円の買い物をしています。

 本当は何を買うか少しは吟味したかったのですが、あまり時間をかけてお金持ちだと思われても嫌ですからね。

「さて、とりあえずは、これで食材は大丈夫でしょうかね。後は、ご主人様の依頼されていた魔物の素材」

「本当に絶世の美女のメイドさんがいるじゃないか」

 私が、市場を出るとそんな呟きが私の近くで聞こえました。

 細身の黒髪の男ですが、整った顔立ちをしているのにどこか胡散臭い印象を感じる男です。

 なんというか、人が良さそうな印象に見えるのに、本心が見えない顔という印象です。

 貼り付けたような笑顔をしています。なんというか、詐欺師っぽい。しかも、この男の人、スーツを着ているのです。

 町の人々の服装は、洋風のシンプルなつくりのものが多いです。私のメイド服ももう少しレースなどを抑えれば一般的に見えます。

 その中でスーツを着た男というのは、異世界においてかなり目立つ格好と言えます。

 スーツの男は、じっとこちらを見て、含みのある笑みを浮かべます。

 その瞳は、何か別の物を見ているかのような不思議な紫の瞳をしています。
 
「初めまして、私は、キリシャという。よろしくね。ホムンクルス・コアのフレンさん?」
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