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5章 『一神教』の野望と王都の危機
VS悪魔 ー1
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それから、数日が経ちーーーー。
夕方の王都にて。
「うわあああぁぁぁ!!」
どこからか悲鳴が響き渡った。声からして男性。
その悲鳴をたまたま近くで聞いていた勇者パーティーは、急いでそこへ向かう。1人目の犠牲者が出てから、更に4人ほど犠牲者が出ている。もうこれ以上、犠牲者を出すわけにはいかない。
「こっちに来ないでくれええぇぇぇ!!」
「我もあまり無益な殺傷など、したくはないのだが。契約者の願いだ。恨むなら、そいつを恨むといい」
少しも申し訳無さそうに思っていない様子の上級悪魔ーーーーギエムが、その長い爪で男性に襲いかかる。男性を長い爪が切り裂くーーーー。
ガキイイイイィィィィィィ!!
「む?」
その前にニンファがすんでのところで受け止めた。ギエムは思わず一歩後ろに大きく引いた。ただの剣なら、一歩後ろに引くこともなかった。
「………………聖剣か。貴様、さては勇者だな?」
ギエムは、溶けた爪を見てそう言った。
ニンファの手には、聖剣が握られていた。普段はバトルハンマーを手に戦うのだが、それは自分が勇者であることは、あまり周りに知られたくないから。それと、もうひとつーーーー。
「はぁ!」
ニンファが一歩踏み込んで自分の間合いに入って剣を振るう。
「くっ、厄介な……………!」
溶けた自分の衣服を見て歯噛みするギエム。
やっぱり、いつ使っても魔力消費量が半端じゃないわ、これ…………。
そう。聖剣は常に魔力を流し続けるために、魔力を尋常じゃないくらいに消費するのだ。
「今の内に逃げろ」
フェルティーが、腰を抜かしていた男性にそう言う。
「は、はい! す、すいません、ありがとうございます!!」
男性は慌てたようにそう言うと、急いで逃げていった。この辺に人はあまりおらず、住民はほとんど避難したようだ。
「『攻撃力上昇』!」
アイリーンがニンファにバフをかけた。
「『四連撃』!」
ニンファがスキルを発動。ギエムは3つ目の斬撃までは避けきれたものの、4つ目を食らい、呻く。
「くっ…………『黒霧』!」
すると、ギエムの姿が黒霧に紛れて消えた。ニンファは、どこに消えたのかと必死に探すニンファ達。
「ニンファ、後ろだ!!」
そう叫んだ時には、もう遅かった。
「がああぁぁ!?」
長い爪で背中を切りつけられた。防具が砕け、衣服も破れて、肌が露になる。血が僅かに流れ落ちていた。ニンファが聖剣を振るうが、難なくかわされてしまう。
「彼の者に癒しを…………『治癒』!」
「………………ありがとう、アイリーン」
ニンファの傷口が塞がった。
それにしても…………ここじゃ、他のスキルが使えない。街の建物を破壊する恐れがある。
ニンファはそんなことを考えた。
「こうなったらしょうがない。少し危険ではあるが……………あれを使おう」
ニヤリ…………と不気味に笑ってそう言うギエム。すると、懐から怪しげな液体の入った小瓶を取り出す。その液体は赤色だった。
それを一気に飲み干すギエム。するとーーーー。
「フフフ…………。フハハハハ!! みなぎってくるぞ! 力が!!」
愉快そうに笑うギエム。魔力が膨れ上がっており、格段に強くなったのが分かる。
「ーーーーー!?」
次の瞬間、ギエムが消えた。
「がああぁぁ!?」
「フェルティー!!」
フェルティーの腹を、ギエムの爪が貫通していた。
「がはっ……………!?」
血を吐いて、倒れるフェルティー。倒れた瞬間、意識を失い、動くことも出来なくなった。
「彼の者に癒しを…………『治癒』!」
フェルティーの身体が淡い緑色の光りに包まれる。しかし、完全に傷口は塞がらない。
「くっ…………! アイリーン!! 近くに確かギルドがあったはず! そこまで行って助けを呼んできて!」
「で、でも、それじゃあ……………」
珍しく狼狽えるアイリーン。
「早くしないと手遅れになっちゃうわ! それに、ここの冒険者ギルドなら……………」
あのレクスとかいう青年がいるかもしれない。非常に不本意だし、本当は頼りたくなかったけど…………。私より強い。だから…………!
「お願いッ!」
「……………………わかった! 絶対に死なないでね!!」
アイリーンはそう言いながら、『攻撃力上昇』、『防御力上昇』など、あらゆるバフをかけていってくれた。
「貴様1人だけで、我が輩の相手をすると? 貴様に一体何が出来るというのか」
嘲笑うようにそう言うギエム。確かに、自分は手も足も出ないだろう。しかしーーーーせめて、足止めくらいはさせてもらおう。時間稼ぎだ。
「ーーーー『聖なる波動』!」
射程距離を調節して放った光線が、ギエムに襲いかかる。
「遅すぎるわ!」
ギエムは易々とそれを避けて、ニンファに襲いかかる。
「我の手に集え魔力よ、敵を食い殺す顎門となれ…………『毒蛇』!」
ギエムの手に魔力で形成された『毒蛇』が、ニンファに襲いかかった。
夕方の王都にて。
「うわあああぁぁぁ!!」
どこからか悲鳴が響き渡った。声からして男性。
その悲鳴をたまたま近くで聞いていた勇者パーティーは、急いでそこへ向かう。1人目の犠牲者が出てから、更に4人ほど犠牲者が出ている。もうこれ以上、犠牲者を出すわけにはいかない。
「こっちに来ないでくれええぇぇぇ!!」
「我もあまり無益な殺傷など、したくはないのだが。契約者の願いだ。恨むなら、そいつを恨むといい」
少しも申し訳無さそうに思っていない様子の上級悪魔ーーーーギエムが、その長い爪で男性に襲いかかる。男性を長い爪が切り裂くーーーー。
ガキイイイイィィィィィィ!!
「む?」
その前にニンファがすんでのところで受け止めた。ギエムは思わず一歩後ろに大きく引いた。ただの剣なら、一歩後ろに引くこともなかった。
「………………聖剣か。貴様、さては勇者だな?」
ギエムは、溶けた爪を見てそう言った。
ニンファの手には、聖剣が握られていた。普段はバトルハンマーを手に戦うのだが、それは自分が勇者であることは、あまり周りに知られたくないから。それと、もうひとつーーーー。
「はぁ!」
ニンファが一歩踏み込んで自分の間合いに入って剣を振るう。
「くっ、厄介な……………!」
溶けた自分の衣服を見て歯噛みするギエム。
やっぱり、いつ使っても魔力消費量が半端じゃないわ、これ…………。
そう。聖剣は常に魔力を流し続けるために、魔力を尋常じゃないくらいに消費するのだ。
「今の内に逃げろ」
フェルティーが、腰を抜かしていた男性にそう言う。
「は、はい! す、すいません、ありがとうございます!!」
男性は慌てたようにそう言うと、急いで逃げていった。この辺に人はあまりおらず、住民はほとんど避難したようだ。
「『攻撃力上昇』!」
アイリーンがニンファにバフをかけた。
「『四連撃』!」
ニンファがスキルを発動。ギエムは3つ目の斬撃までは避けきれたものの、4つ目を食らい、呻く。
「くっ…………『黒霧』!」
すると、ギエムの姿が黒霧に紛れて消えた。ニンファは、どこに消えたのかと必死に探すニンファ達。
「ニンファ、後ろだ!!」
そう叫んだ時には、もう遅かった。
「がああぁぁ!?」
長い爪で背中を切りつけられた。防具が砕け、衣服も破れて、肌が露になる。血が僅かに流れ落ちていた。ニンファが聖剣を振るうが、難なくかわされてしまう。
「彼の者に癒しを…………『治癒』!」
「………………ありがとう、アイリーン」
ニンファの傷口が塞がった。
それにしても…………ここじゃ、他のスキルが使えない。街の建物を破壊する恐れがある。
ニンファはそんなことを考えた。
「こうなったらしょうがない。少し危険ではあるが……………あれを使おう」
ニヤリ…………と不気味に笑ってそう言うギエム。すると、懐から怪しげな液体の入った小瓶を取り出す。その液体は赤色だった。
それを一気に飲み干すギエム。するとーーーー。
「フフフ…………。フハハハハ!! みなぎってくるぞ! 力が!!」
愉快そうに笑うギエム。魔力が膨れ上がっており、格段に強くなったのが分かる。
「ーーーーー!?」
次の瞬間、ギエムが消えた。
「がああぁぁ!?」
「フェルティー!!」
フェルティーの腹を、ギエムの爪が貫通していた。
「がはっ……………!?」
血を吐いて、倒れるフェルティー。倒れた瞬間、意識を失い、動くことも出来なくなった。
「彼の者に癒しを…………『治癒』!」
フェルティーの身体が淡い緑色の光りに包まれる。しかし、完全に傷口は塞がらない。
「くっ…………! アイリーン!! 近くに確かギルドがあったはず! そこまで行って助けを呼んできて!」
「で、でも、それじゃあ……………」
珍しく狼狽えるアイリーン。
「早くしないと手遅れになっちゃうわ! それに、ここの冒険者ギルドなら……………」
あのレクスとかいう青年がいるかもしれない。非常に不本意だし、本当は頼りたくなかったけど…………。私より強い。だから…………!
「お願いッ!」
「……………………わかった! 絶対に死なないでね!!」
アイリーンはそう言いながら、『攻撃力上昇』、『防御力上昇』など、あらゆるバフをかけていってくれた。
「貴様1人だけで、我が輩の相手をすると? 貴様に一体何が出来るというのか」
嘲笑うようにそう言うギエム。確かに、自分は手も足も出ないだろう。しかしーーーーせめて、足止めくらいはさせてもらおう。時間稼ぎだ。
「ーーーー『聖なる波動』!」
射程距離を調節して放った光線が、ギエムに襲いかかる。
「遅すぎるわ!」
ギエムは易々とそれを避けて、ニンファに襲いかかる。
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