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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
レクス、目を覚ます
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『相変わらず強固だね…………この黒い糸は』
レクスは苦笑しながらそんなことを言った。というか、以前よりも更に黒い糸の強度が増している気がするのだ。今では、レクスの『切る』ですら耐えてみせるほどになった。これでは手の施しようもない。なので、じっと待ってる以外にロクな方法がない。
『しかも、糸の数も増えてるし…………』
レクスの周りには、一歩も身動きがとれないほど多くの糸が張り巡らされていた。動いた瞬間、スッパリいかれてしまうのは目に見えている。
『どうにかなんないかな…………これ』
レクスがため息混じりににそんなことを呟く。──────と。
『ん…………?』
レクスは目を疑った。黒い糸が、段々なくなっているのが目に見えたからだ。さらさらと上から何かが降り注ぎ、黒い糸を消していっている。
このまま行けば、脱出も十分可能になるだろう。しかし──────
『うわっ…………』
それでも、残り続けている黒い糸は何本もあった。上から降り注ぐものでも、消えていないらしい。
『今なら切れるかな…………』
弱体化はしているはずだ。再生しなければ、大丈夫だ。再生したら…………また別の手立てを考えるしかない。
『切る!!』
レクスは、『切る』を発動。対象は黒い糸だ。すると─────先程の圧倒的な強度が嘘のようにサクッと切れた。
◇スキル『走砲』が失われました
レクスの目の前に、表示された画面。この画面にレクスは驚きを隠せなかった。それと同時に、あることに気づく。
『まさか、この糸って…………』
自分のスキルと繋がっているのではないかとレクスは考えた。この糸を切れば、スキルも失われる。この黒い糸は何がなんでもレクスを弱体化させたいらしい。
『…………日常動作は、大丈夫なのかな?』
日常動作が失われるのはあまりに大きい代償だ。今まで自分を助けてくれたかけがえのないスキル。それを失いたくはない。しかし…………そのせいで自分が死んでみんなを悲しませるわけにはいかない。
レクスは悩みに悩んだ挙げ句─────
『………………仕方ないか』
レクスはそう言って溜め息を吐くと、『切る』を続けて発動する。その度に、レクスの目の前に画面が表示された。
◇スキル『呪縛剣』が失われました
◇スキル『絶腕』が──────
◇スキル『超重斬撃』が───────
◇スキル『共鳴』が──────
◇スキル『消化』が──────
次々に失われていくスキル。しかし、自分の命に比べれば、安いものである。レクスはどんどん黒い糸を切っていき─────ラスト一本。レクスは『切る』を発動し、最後の一本を迷うことなく切り裂いた。
◇ステータスがダウンしました
最後の黒い糸を切ると、先程とは違う内容。今まで消えていたのは全てスキルだったが、最後はステータスも道連れにされてしまったようだ。
(まあいいか…………またあげればいいんだし)
レクスはそう思い、苦笑した。
『…………おお、段々光が─────』
レクスの頭上に光が差し始めて、段々とまばゆくなっていく。やがて光はレクスの視界を覆い尽くし─────レクスの意識はそこでなくなった。
◇◆◇◆◇
「うぅん………………」
レクスが目を覚ますと、見知らぬ天井が視界に入った。どうやらここまで運ばれて来たらしい。エレナ達には苦労をかけたことだろう。
「…………レクス………!」
「お兄ちゃん!」
「レクス!」
レクスが目覚めた瞬間、みんなが一斉にレクスに抱きついた。安堵のあまり、みんな涙を流す。
「ごめん、みんな…………心配かけたね」
レクスはそう言って微笑んだのだった。
レクスは苦笑しながらそんなことを言った。というか、以前よりも更に黒い糸の強度が増している気がするのだ。今では、レクスの『切る』ですら耐えてみせるほどになった。これでは手の施しようもない。なので、じっと待ってる以外にロクな方法がない。
『しかも、糸の数も増えてるし…………』
レクスの周りには、一歩も身動きがとれないほど多くの糸が張り巡らされていた。動いた瞬間、スッパリいかれてしまうのは目に見えている。
『どうにかなんないかな…………これ』
レクスがため息混じりににそんなことを呟く。──────と。
『ん…………?』
レクスは目を疑った。黒い糸が、段々なくなっているのが目に見えたからだ。さらさらと上から何かが降り注ぎ、黒い糸を消していっている。
このまま行けば、脱出も十分可能になるだろう。しかし──────
『うわっ…………』
それでも、残り続けている黒い糸は何本もあった。上から降り注ぐものでも、消えていないらしい。
『今なら切れるかな…………』
弱体化はしているはずだ。再生しなければ、大丈夫だ。再生したら…………また別の手立てを考えるしかない。
『切る!!』
レクスは、『切る』を発動。対象は黒い糸だ。すると─────先程の圧倒的な強度が嘘のようにサクッと切れた。
◇スキル『走砲』が失われました
レクスの目の前に、表示された画面。この画面にレクスは驚きを隠せなかった。それと同時に、あることに気づく。
『まさか、この糸って…………』
自分のスキルと繋がっているのではないかとレクスは考えた。この糸を切れば、スキルも失われる。この黒い糸は何がなんでもレクスを弱体化させたいらしい。
『…………日常動作は、大丈夫なのかな?』
日常動作が失われるのはあまりに大きい代償だ。今まで自分を助けてくれたかけがえのないスキル。それを失いたくはない。しかし…………そのせいで自分が死んでみんなを悲しませるわけにはいかない。
レクスは悩みに悩んだ挙げ句─────
『………………仕方ないか』
レクスはそう言って溜め息を吐くと、『切る』を続けて発動する。その度に、レクスの目の前に画面が表示された。
◇スキル『呪縛剣』が失われました
◇スキル『絶腕』が──────
◇スキル『超重斬撃』が───────
◇スキル『共鳴』が──────
◇スキル『消化』が──────
次々に失われていくスキル。しかし、自分の命に比べれば、安いものである。レクスはどんどん黒い糸を切っていき─────ラスト一本。レクスは『切る』を発動し、最後の一本を迷うことなく切り裂いた。
◇ステータスがダウンしました
最後の黒い糸を切ると、先程とは違う内容。今まで消えていたのは全てスキルだったが、最後はステータスも道連れにされてしまったようだ。
(まあいいか…………またあげればいいんだし)
レクスはそう思い、苦笑した。
『…………おお、段々光が─────』
レクスの頭上に光が差し始めて、段々とまばゆくなっていく。やがて光はレクスの視界を覆い尽くし─────レクスの意識はそこでなくなった。
◇◆◇◆◇
「うぅん………………」
レクスが目を覚ますと、見知らぬ天井が視界に入った。どうやらここまで運ばれて来たらしい。エレナ達には苦労をかけたことだろう。
「…………レクス………!」
「お兄ちゃん!」
「レクス!」
レクスが目覚めた瞬間、みんなが一斉にレクスに抱きついた。安堵のあまり、みんな涙を流す。
「ごめん、みんな…………心配かけたね」
レクスはそう言って微笑んだのだった。
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