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8章 ダンジョンを守れ ~異種族間同盟~
ある女
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「順調、順調~。逆に順調すぎて心配になるくらいだよ~」
ある女は、一人酒場の隅でニヤリ…………と不気味に笑いながらそう呟いた。
「………………あの噂が本当なら…………」
自分の目的を果たせる。ウグイヴの砦の奥底に眠るという魔女ウルバス。ウルバスは数千年前に封印され、かつて、大災厄と呼ばれた魔女である。ウグイヴの砦をあえて拡大し、暴走させることで、魔女の封印を解く算段である。まあ、これはあくまで試験的なものであり、失敗したら、また別の方法を試せばいい。今回の目的は別にある。
「ユビネス大森林とセレニア皇国の掌握……………ふふふ…………」
女はあの時の光景を思い出し、思わず笑ってしまう。
「素直に人の事を信じすぎだよー…………本当に。普通、途中からやってきた新参者なんて警戒して当然。本当に愚かだよ~…………」
その後も暫く、女の笑いが止まることはなかった。
◇◆◇◆◇
「くっ─────ougsyui,release!『binding』!!」
フウシは、巨大なスケルトンに大して、魔法『束縛』を発動。魔力の糸がスケルトンに絡み付く。
「でかしたわっ! tunbera, alagop! 『bite hates』!!」
フウシの糸に新たに魔法を加え、魔力で編んだ糸に、圧力と鋭さを加える。そして、スケルトンの身体を──────切ることはなく、プチンッといとも容易く糸は切れてしまった。やはり、守りが固い。
「『発散』!!」
レクスは発散を発動。スケルトンの魔力の排出を試みる。しかし──────
「───────!? 魔力が循環して、元に戻ってる…………!?」
いくら排出してもその分がまた戻ってくるのだ。これではプラマイゼロ。全く意味をなさない。
「ケタケタケタ─────!」
今度はこっちの番だとでも言わんばかりにスケルトンは武器を振りかざす。大剣、大槍などが同時に振り下ろされる。しかし、動き自体はそれほど速くはないため、余裕でかわせる。
「『切る』!!」
レクスは、僅かな魔力で三日月状の刃を形成し、スケルトン達に向かって飛ばす。しかし──────カキィン! という甲高い音ともに弾き返されてしまった。いくらレクスのステータスが減少しているからといって(前の三分の一は戻ってきている)、ここまで攻撃が通らないなんて事はない……………はずだ。─────と。
「レクス、ちょっと、こっち来て、こっち!!」
イルミが何かを見つけたように、手招きする。イルミの足元には、先程の石碑もどき。あそこに何かがあるのだろうか。取り敢えず行ってみるレクス。
「……………? 何この文字」
恐らくレクスにとって読めない言語。多分ハイエルフの言語だろう。
「ミドクさーん! ちょっと来てください!!」
レクスは学園時代成績が優秀だったというミドクを呼ぶ。因みに、スケルトンは、丁度隙間に挟まってしまった武器をどうにか取ろうと頑張っているところだ。端から見ていてひどく滑稽な姿に見える。
「どうしたの? レクス」
「ミドクさん、これを見てください、これ」
レクスは読めない文字を指差す。
「…………mealt?」
ミドクに読めたということは、やはりハイエルフの言語だったのだろう。
「う~ん………こういうのは、ワチに任せた方が早いかも。ワチー! ちょっと!」
ミドクに呼ばれたワチは、小走りでミドクの元へ。そうしている間にも、スケルトンの武器が隙間から抜け、こっちに視線をロックオン。ゆっくりと一歩ずつこちらに近づいてくる。
「ワチ、これ分かる?」
「ふっ…………こんなもの、楽勝過ぎる…………」
カッコつけた口調でそう言うと、mealtの文字から迷うことなくaを消去。すると──────
サラサラサラサラ…………………
静かにスケルトンは溶けていった。レクスとイルミは、なぜいきなりスケルトンが跡形もなく消えたのか、理解できず驚いた。
「ワチ、こういう謎々系に強いのよ」
「ふっ………………」
さっきのは謎々系だったのか…………とハイエルフ語も読めないレクス達は呆然とそう思うしかなかった。
ある女は、一人酒場の隅でニヤリ…………と不気味に笑いながらそう呟いた。
「………………あの噂が本当なら…………」
自分の目的を果たせる。ウグイヴの砦の奥底に眠るという魔女ウルバス。ウルバスは数千年前に封印され、かつて、大災厄と呼ばれた魔女である。ウグイヴの砦をあえて拡大し、暴走させることで、魔女の封印を解く算段である。まあ、これはあくまで試験的なものであり、失敗したら、また別の方法を試せばいい。今回の目的は別にある。
「ユビネス大森林とセレニア皇国の掌握……………ふふふ…………」
女はあの時の光景を思い出し、思わず笑ってしまう。
「素直に人の事を信じすぎだよー…………本当に。普通、途中からやってきた新参者なんて警戒して当然。本当に愚かだよ~…………」
その後も暫く、女の笑いが止まることはなかった。
◇◆◇◆◇
「くっ─────ougsyui,release!『binding』!!」
フウシは、巨大なスケルトンに大して、魔法『束縛』を発動。魔力の糸がスケルトンに絡み付く。
「でかしたわっ! tunbera, alagop! 『bite hates』!!」
フウシの糸に新たに魔法を加え、魔力で編んだ糸に、圧力と鋭さを加える。そして、スケルトンの身体を──────切ることはなく、プチンッといとも容易く糸は切れてしまった。やはり、守りが固い。
「『発散』!!」
レクスは発散を発動。スケルトンの魔力の排出を試みる。しかし──────
「───────!? 魔力が循環して、元に戻ってる…………!?」
いくら排出してもその分がまた戻ってくるのだ。これではプラマイゼロ。全く意味をなさない。
「ケタケタケタ─────!」
今度はこっちの番だとでも言わんばかりにスケルトンは武器を振りかざす。大剣、大槍などが同時に振り下ろされる。しかし、動き自体はそれほど速くはないため、余裕でかわせる。
「『切る』!!」
レクスは、僅かな魔力で三日月状の刃を形成し、スケルトン達に向かって飛ばす。しかし──────カキィン! という甲高い音ともに弾き返されてしまった。いくらレクスのステータスが減少しているからといって(前の三分の一は戻ってきている)、ここまで攻撃が通らないなんて事はない……………はずだ。─────と。
「レクス、ちょっと、こっち来て、こっち!!」
イルミが何かを見つけたように、手招きする。イルミの足元には、先程の石碑もどき。あそこに何かがあるのだろうか。取り敢えず行ってみるレクス。
「……………? 何この文字」
恐らくレクスにとって読めない言語。多分ハイエルフの言語だろう。
「ミドクさーん! ちょっと来てください!!」
レクスは学園時代成績が優秀だったというミドクを呼ぶ。因みに、スケルトンは、丁度隙間に挟まってしまった武器をどうにか取ろうと頑張っているところだ。端から見ていてひどく滑稽な姿に見える。
「どうしたの? レクス」
「ミドクさん、これを見てください、これ」
レクスは読めない文字を指差す。
「…………mealt?」
ミドクに読めたということは、やはりハイエルフの言語だったのだろう。
「う~ん………こういうのは、ワチに任せた方が早いかも。ワチー! ちょっと!」
ミドクに呼ばれたワチは、小走りでミドクの元へ。そうしている間にも、スケルトンの武器が隙間から抜け、こっちに視線をロックオン。ゆっくりと一歩ずつこちらに近づいてくる。
「ワチ、これ分かる?」
「ふっ…………こんなもの、楽勝過ぎる…………」
カッコつけた口調でそう言うと、mealtの文字から迷うことなくaを消去。すると──────
サラサラサラサラ…………………
静かにスケルトンは溶けていった。レクスとイルミは、なぜいきなりスケルトンが跡形もなく消えたのか、理解できず驚いた。
「ワチ、こういう謎々系に強いのよ」
「ふっ………………」
さっきのは謎々系だったのか…………とハイエルフ語も読めないレクス達は呆然とそう思うしかなかった。
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