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「猫好きなの?」
彼女にそう声をかけられた時、宗介は自分の顔が火が出るくらいに熱くなったのを感じた。
それはバスケの練習試合を終えた帰り道でのことだった。
夏が過ぎ、陽が落ちるのも早くなったと言うのに気温はまだ高い。テレビで騒がれ始めた温暖化現象というのが現実味を帯びてきているようだ。
宗介は、練習試合でいつも以上消費したエネルギーを補給しようとコンビニで鮭おにぎりとあんパン、そして牛乳を買った。変な組み合わせだが炭水化物と糖分、カルシウム、そして水分を摂るには最高の組み合わせだ。学友たちに食べ歩く姿を見られるのは面倒なのでコンビニ近くの公園に寄った。広いが人気がない。やたらと自然を意識しているのか、人口の川と木々が多く、遊具が少ない。夏は近所の子供たちが川で遊んだり出来るだろうから需要としては高いだろう。
宗介は、ゴミや鳥のフンで汚れていないベンチを見つけて座ると早速、鮭のおにぎりの封を開けて口に運んだ。塩分が身体に沁み渡り、米の甘みが舌に溶ける。身体が疲れているからだろうが親が作ってくれたおにぎりよりも数倍美味い気がする。
宗介は、おにぎりを齧りながら教育実習生にどう接触しようかと考えている、と。
目の端に茶色い影が映った。
宗介は、視線を落とすと小さな茶トラ猫がこちらを見ていた。顔の形の整ったビー玉のような緑色の丸い目で、鍵しっぽというのだったか、尻尾の先端が歪に曲がっている。
茶トラ猫は、じっとこちらを見ている。
その視線が自分ではなく、自分が手に持ったおにぎりを見ているのに気づくのに一拍の間が必要だった。
「欲しいのか?」
そう聞いたところで猫が頷くはずがない。
ただ、じっとこちらを見ているだけだ。
宗介は、肩を竦めると手に持ったおにぎりをそっと足元に置く。
「落ちたから食べれないや」
態とらしくそう言うとあんパンの封を開けて齧り、牛乳にストローを刺して飲んだ。
茶トラ猫は、少し警戒しながらも宗介の足元まで寄ってくる。そしておにぎりの匂いを小さな鼻で嗅ぐと食べ始めた。
「塩分が高いから程々にな」
目を細めて見下ろしながらあんパンの甘味を味わった。
「猫好きなの?」
背後から聞こえた少し低い声に宗介の心臓が肋骨を破るそうな程に高鳴る。
振り返ると・・・教育実習生がそこにいた。
宗介は、あまりにも予期しなかったことに軽くパニックになる。
なぜ、彼女がここに⁉︎
見られた⁉︎
えっ?なに⁉︎ハメられた⁉︎
様々な考えが脳内を駆け巡る。
そんな宗介の思考など読み取れるはずもなく、教育実習生は、口元に柔らかい笑みを浮かべて言う。
「猫好きなの?」
柔らかく丸いが少し低い声で教育実習生が聞いてくる。
宗介の頬が火が出るくらいに熱くなる。
「いえ、そう言う訳では・・・」
何故かしどろもどろと答えてしまう。
「そうなんだ・・・」
教育実習生は、何も言わずに宗介の隣に座る。
その瞬間、花のような甘い香りが宗介の鼻腔を擽る。香水だろうか、様々な女子と接触してきたがこんな甘く、魅惑的な匂いは嗅いだことがない。
宗介は、自分の心臓が大きく高鳴るのを感じた。
こんなことは生まれて初めてだ。
教育実習生は、美味しそうにおにぎりを食べる茶トラ猫をにこやかに見て、その背中を摩る。
宗介は、じっと彼女を見る。
狙っていたにも関わらず彼女のことをしっかりと視界に収めたのは今が初めてだった。
可愛らしい。
それが彼女に抱いた第一印象だ。
少し茶色の入った明るい髪を肩まで伸ばし、目は二重で大きく、輪郭は少し丸くて愛嬌がある。鼻梁は綺麗に整っていて唇も分厚く、綺麗な形をしている。顔立ちだけ見ていると華奢な印象だが、肩幅は広く、健康そうな身体付きで身に纏っている実習用のワイシャツとスラックスがとても良く似合っている。女性としての美しさはシーに劣るが十分に魅了的な女性、それが彼女の印象だ。そして夕日に照らされた彼女の顔は赤リンゴのように真っ赤で、とても愛らしかった。
「てっきり毎日、この子に餌を上げにきているのかと思ったよ」
教育実習生は、気持ちよさそうに猫の背中を摩る。
茶トラ猫も気持ちが良いのか、食べるのをやめて彼女の手首に顔を擦り付ける。
何故だろう?その仕種がひどく腹立った。
しかし、その気持ちを抑え、チャンスと言わんばかりに宗介は彼女に声を掛ける。
「せ・・・先生はどうしてここに?」
「・・・君を追ってきたのよ」
えっ・・・と宗介は、驚きつつも心の中で拳を握る。
自分を追ってきた・・・つまりそれは自分に興味があると言うことだ。つまりこの教育実習生は俺のことを・・。
しかし、そんな宗介の浅はかな考えは見事に覆される。
教育実習生は、顔こそ笑顔であるがその目に怒りを浮かべていた。いや、怒りというよりもこれは・・叱りだ。
「こんな時間にコンビニ寄って、しかも公園を寄り道するような生徒を注意しにきたのよ」
彼女の発した言葉は小中学校含めての学生生活で初めて受けるもの・・・注意だ。
口を開けば称賛の言葉しかなかった教師の口から自分は初めて注意されたのだ。
宗介の顔が先程とは違う意味で赤くなる。
あまりの恥ずかしさに。
しかし、すぐに思い直す。
「注意ってあなた先生じゃないでしょ!」
そう彼女は教育実習生だ。
生徒を注意する資格なんてないはずだ。
しかし、教育実習生はひかない。
むしろ笑顔を強めて宗介を睨む。
「確かに私はまだ教員資格は持ってないわ。でも貴方よりも大人になの。悪いことしようとしている子どもを注意する必要があるの」
その見た目に反する低い声の為か、彼女の言葉には強い力が込められていた。
宗介が何も言い返せなくなるくらいに。
「・・・学校に告げ口ですか?」
「告げ口して欲しいの?」
教育実習生は、揶揄うようにいう。
宗介は、一瞬、間を置いてから肩を竦める。
「どうぞご勝手に」
「あら強気ね」
教育実習生は、形の良い目を大きく開く。
「別にこんな程度なら本当に注意でしょう。それに脅されるような悪いことは何もしてない。コンビニで万引きした訳でもなければその猫を虐待してた訳でもない」
「塩分多いご飯上げるのは虐待よ」
「嗜好品程度でしょ」
宗介は、あんパンを食べ終え、牛乳を飲み干す。
「買い食いと寄り道は今日限りにします。2度としません。これでよろしいですか?」
宗介は、疲れたように目を細めて言う。いい加減、このやり取りにも飽きたし、この女を口説く思いも萎えてきた。シーに嫌がらせをする程度の為の労力としてはあまりに見合わない。
「そうねえ」
教育実習生は、顎を摩る。
「それじゃあ学校には言わないわ。その代わり付き合ってくれる?」
「えっ?」
宗介は、思わず間の抜けた声を上げる。
まさか、飽きらめてすぐに目的を達成?
しかし、宗介の考えを読み取った教育実習生は即座に首を振る。
「何、勘違いしてるのよ。付き合って欲しいのはこの子の世話よ」
そう言って彼女は、茶トラ猫の頭を撫でる。
「エサあげちゃったんだから飼い主探すまで面倒みなさい。私も付き合うから」
そう言って彼女は、笑った。
俺は、あまりのことに口を閉めることを忘れてしまった。
「あっそうだ」
彼女は、茶トラを撫でながら逆の手の人差し指を立てる。
「私のことは先生って呼ばなくていいわ」
「はっいや、そうはいかないでしょう?」
この女は、一体何を言ってるのだ?宗介は、予期しない彼女の行動に呆れてしまうと同時に自分がいつの間にか彼女のペースに飲まれていることに気づいて動揺する。
そんな宗介の気持ちを知ってから知らずか、教育実習生はにっこりと笑う。
「私は、アイって言うの。よろしくね宗介君」
それが彼女と、アイとの初めての接触であった。
彼女にそう声をかけられた時、宗介は自分の顔が火が出るくらいに熱くなったのを感じた。
それはバスケの練習試合を終えた帰り道でのことだった。
夏が過ぎ、陽が落ちるのも早くなったと言うのに気温はまだ高い。テレビで騒がれ始めた温暖化現象というのが現実味を帯びてきているようだ。
宗介は、練習試合でいつも以上消費したエネルギーを補給しようとコンビニで鮭おにぎりとあんパン、そして牛乳を買った。変な組み合わせだが炭水化物と糖分、カルシウム、そして水分を摂るには最高の組み合わせだ。学友たちに食べ歩く姿を見られるのは面倒なのでコンビニ近くの公園に寄った。広いが人気がない。やたらと自然を意識しているのか、人口の川と木々が多く、遊具が少ない。夏は近所の子供たちが川で遊んだり出来るだろうから需要としては高いだろう。
宗介は、ゴミや鳥のフンで汚れていないベンチを見つけて座ると早速、鮭のおにぎりの封を開けて口に運んだ。塩分が身体に沁み渡り、米の甘みが舌に溶ける。身体が疲れているからだろうが親が作ってくれたおにぎりよりも数倍美味い気がする。
宗介は、おにぎりを齧りながら教育実習生にどう接触しようかと考えている、と。
目の端に茶色い影が映った。
宗介は、視線を落とすと小さな茶トラ猫がこちらを見ていた。顔の形の整ったビー玉のような緑色の丸い目で、鍵しっぽというのだったか、尻尾の先端が歪に曲がっている。
茶トラ猫は、じっとこちらを見ている。
その視線が自分ではなく、自分が手に持ったおにぎりを見ているのに気づくのに一拍の間が必要だった。
「欲しいのか?」
そう聞いたところで猫が頷くはずがない。
ただ、じっとこちらを見ているだけだ。
宗介は、肩を竦めると手に持ったおにぎりをそっと足元に置く。
「落ちたから食べれないや」
態とらしくそう言うとあんパンの封を開けて齧り、牛乳にストローを刺して飲んだ。
茶トラ猫は、少し警戒しながらも宗介の足元まで寄ってくる。そしておにぎりの匂いを小さな鼻で嗅ぐと食べ始めた。
「塩分が高いから程々にな」
目を細めて見下ろしながらあんパンの甘味を味わった。
「猫好きなの?」
背後から聞こえた少し低い声に宗介の心臓が肋骨を破るそうな程に高鳴る。
振り返ると・・・教育実習生がそこにいた。
宗介は、あまりにも予期しなかったことに軽くパニックになる。
なぜ、彼女がここに⁉︎
見られた⁉︎
えっ?なに⁉︎ハメられた⁉︎
様々な考えが脳内を駆け巡る。
そんな宗介の思考など読み取れるはずもなく、教育実習生は、口元に柔らかい笑みを浮かべて言う。
「猫好きなの?」
柔らかく丸いが少し低い声で教育実習生が聞いてくる。
宗介の頬が火が出るくらいに熱くなる。
「いえ、そう言う訳では・・・」
何故かしどろもどろと答えてしまう。
「そうなんだ・・・」
教育実習生は、何も言わずに宗介の隣に座る。
その瞬間、花のような甘い香りが宗介の鼻腔を擽る。香水だろうか、様々な女子と接触してきたがこんな甘く、魅惑的な匂いは嗅いだことがない。
宗介は、自分の心臓が大きく高鳴るのを感じた。
こんなことは生まれて初めてだ。
教育実習生は、美味しそうにおにぎりを食べる茶トラ猫をにこやかに見て、その背中を摩る。
宗介は、じっと彼女を見る。
狙っていたにも関わらず彼女のことをしっかりと視界に収めたのは今が初めてだった。
可愛らしい。
それが彼女に抱いた第一印象だ。
少し茶色の入った明るい髪を肩まで伸ばし、目は二重で大きく、輪郭は少し丸くて愛嬌がある。鼻梁は綺麗に整っていて唇も分厚く、綺麗な形をしている。顔立ちだけ見ていると華奢な印象だが、肩幅は広く、健康そうな身体付きで身に纏っている実習用のワイシャツとスラックスがとても良く似合っている。女性としての美しさはシーに劣るが十分に魅了的な女性、それが彼女の印象だ。そして夕日に照らされた彼女の顔は赤リンゴのように真っ赤で、とても愛らしかった。
「てっきり毎日、この子に餌を上げにきているのかと思ったよ」
教育実習生は、気持ちよさそうに猫の背中を摩る。
茶トラ猫も気持ちが良いのか、食べるのをやめて彼女の手首に顔を擦り付ける。
何故だろう?その仕種がひどく腹立った。
しかし、その気持ちを抑え、チャンスと言わんばかりに宗介は彼女に声を掛ける。
「せ・・・先生はどうしてここに?」
「・・・君を追ってきたのよ」
えっ・・・と宗介は、驚きつつも心の中で拳を握る。
自分を追ってきた・・・つまりそれは自分に興味があると言うことだ。つまりこの教育実習生は俺のことを・・。
しかし、そんな宗介の浅はかな考えは見事に覆される。
教育実習生は、顔こそ笑顔であるがその目に怒りを浮かべていた。いや、怒りというよりもこれは・・叱りだ。
「こんな時間にコンビニ寄って、しかも公園を寄り道するような生徒を注意しにきたのよ」
彼女の発した言葉は小中学校含めての学生生活で初めて受けるもの・・・注意だ。
口を開けば称賛の言葉しかなかった教師の口から自分は初めて注意されたのだ。
宗介の顔が先程とは違う意味で赤くなる。
あまりの恥ずかしさに。
しかし、すぐに思い直す。
「注意ってあなた先生じゃないでしょ!」
そう彼女は教育実習生だ。
生徒を注意する資格なんてないはずだ。
しかし、教育実習生はひかない。
むしろ笑顔を強めて宗介を睨む。
「確かに私はまだ教員資格は持ってないわ。でも貴方よりも大人になの。悪いことしようとしている子どもを注意する必要があるの」
その見た目に反する低い声の為か、彼女の言葉には強い力が込められていた。
宗介が何も言い返せなくなるくらいに。
「・・・学校に告げ口ですか?」
「告げ口して欲しいの?」
教育実習生は、揶揄うようにいう。
宗介は、一瞬、間を置いてから肩を竦める。
「どうぞご勝手に」
「あら強気ね」
教育実習生は、形の良い目を大きく開く。
「別にこんな程度なら本当に注意でしょう。それに脅されるような悪いことは何もしてない。コンビニで万引きした訳でもなければその猫を虐待してた訳でもない」
「塩分多いご飯上げるのは虐待よ」
「嗜好品程度でしょ」
宗介は、あんパンを食べ終え、牛乳を飲み干す。
「買い食いと寄り道は今日限りにします。2度としません。これでよろしいですか?」
宗介は、疲れたように目を細めて言う。いい加減、このやり取りにも飽きたし、この女を口説く思いも萎えてきた。シーに嫌がらせをする程度の為の労力としてはあまりに見合わない。
「そうねえ」
教育実習生は、顎を摩る。
「それじゃあ学校には言わないわ。その代わり付き合ってくれる?」
「えっ?」
宗介は、思わず間の抜けた声を上げる。
まさか、飽きらめてすぐに目的を達成?
しかし、宗介の考えを読み取った教育実習生は即座に首を振る。
「何、勘違いしてるのよ。付き合って欲しいのはこの子の世話よ」
そう言って彼女は、茶トラ猫の頭を撫でる。
「エサあげちゃったんだから飼い主探すまで面倒みなさい。私も付き合うから」
そう言って彼女は、笑った。
俺は、あまりのことに口を閉めることを忘れてしまった。
「あっそうだ」
彼女は、茶トラを撫でながら逆の手の人差し指を立てる。
「私のことは先生って呼ばなくていいわ」
「はっいや、そうはいかないでしょう?」
この女は、一体何を言ってるのだ?宗介は、予期しない彼女の行動に呆れてしまうと同時に自分がいつの間にか彼女のペースに飲まれていることに気づいて動揺する。
そんな宗介の気持ちを知ってから知らずか、教育実習生はにっこりと笑う。
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