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114.夫婦のキスを見られてしまったわ
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到着したアルムニア公国の首都は、いつも通りの賑わいだった。お祖母様が、昔より繁栄してるわねと笑う。お祖母様が知っている頃は、規模が半分ほどだとか。子どもだった昔の記憶みたい。
外交や軍事で移動の多い仕事をするなら別だけど、一般的な貴族女性は滅多に住んでいる都を出ない。お祖母様の時代はなおさらね。私だって、離婚しなければ同じだったわ。モンテシーノス王国を出たのは、幼い頃に帝国へお祖父様達に会いに行った時くらい。
特に封建的な王国だったから、貴族令嬢や夫人は家を守るのが役割と考えられてきた。本当に窮屈だわ。外へ出たからそう感じるけれど、あの閉鎖された社会で暮らしていたら、疑問すら覚えなかった。
「リリアナもエルも、たくさん外出してお友達を作って、広い世界を見て欲しいわ」
「お義母様も一緒です」
にっこり笑うリリアナが可愛くて、額に口付けた。揺れる馬車は街を抜け、大公屋敷に入っていく。オスカルが順番にエスコートの手を伸ばした。リリアナを優先してもらい、私はエルを抱いて降りた。お祖母様とお母様は、ひいお祖父様や将軍閣下がエスコートする。
「大叔父様はどうなさったの?」
「書類処理が終わらなくて、閉じ込めてきた」
くすくす笑うオスカルの説明によれば、処理が間に合わなければ結婚式に呼ばないと脅したんですって。お気の毒だけど、仕事を溜めたのは大叔父様だから、仕方ないわね。
案内された部屋で、ゆっくりと寛ぐ。馬車も寝台になっているから楽だけど、揺れない地面っていいわ。船に乗れば同じように陸が恋しくなると本で読んだけれど、まだ経験したことはない。カルレオン帝国は海に面しているし、アルムニア公国も港があった。けれどモンテシーノス王国にはなかったの。
海自体は遠目に見たことがあるけれど。そう話したら、新婚旅行は海へ行くことになった。リリアナにも海を見せたいんですって。エルも初めての海ね。
「失礼、ティナ。昼食は一緒に食堂でいいかい?」
ノックして顔を見せたオスカルに、笑顔で「もちろん」と返事をした。馬車旅で疲れていると思ったのかしら。視線を向けた先で、リリアナとエルが昼寝をしている。ぐっすりと眠っているのを確認して、距離を詰めた。立ち上がって首に手を回し、背を抱き寄せる腕に身を任せる。
触れるだけのキスで我慢できず、二人でもう一度重ねて深い口付けを交わした。名残惜しそうに、オスカルが私の唇を指先でなぞる。
「っ!」
びくりと肩を揺らしたオスカルの視線を追って、リリアナと目が合う。蜂蜜色の瞳を持つ義娘は、私とオスカルを交互に見て目を逸らした。恥ずかしさに距離を置いたら、顔が赤くなるのが分かる。見られてしまったわ。
「お義父様とお義母様が仲良くて嬉しいの」
取り繕うようにぽろりと溢れた彼女の声、逆に恥ずかしさが増した。
外交や軍事で移動の多い仕事をするなら別だけど、一般的な貴族女性は滅多に住んでいる都を出ない。お祖母様の時代はなおさらね。私だって、離婚しなければ同じだったわ。モンテシーノス王国を出たのは、幼い頃に帝国へお祖父様達に会いに行った時くらい。
特に封建的な王国だったから、貴族令嬢や夫人は家を守るのが役割と考えられてきた。本当に窮屈だわ。外へ出たからそう感じるけれど、あの閉鎖された社会で暮らしていたら、疑問すら覚えなかった。
「リリアナもエルも、たくさん外出してお友達を作って、広い世界を見て欲しいわ」
「お義母様も一緒です」
にっこり笑うリリアナが可愛くて、額に口付けた。揺れる馬車は街を抜け、大公屋敷に入っていく。オスカルが順番にエスコートの手を伸ばした。リリアナを優先してもらい、私はエルを抱いて降りた。お祖母様とお母様は、ひいお祖父様や将軍閣下がエスコートする。
「大叔父様はどうなさったの?」
「書類処理が終わらなくて、閉じ込めてきた」
くすくす笑うオスカルの説明によれば、処理が間に合わなければ結婚式に呼ばないと脅したんですって。お気の毒だけど、仕事を溜めたのは大叔父様だから、仕方ないわね。
案内された部屋で、ゆっくりと寛ぐ。馬車も寝台になっているから楽だけど、揺れない地面っていいわ。船に乗れば同じように陸が恋しくなると本で読んだけれど、まだ経験したことはない。カルレオン帝国は海に面しているし、アルムニア公国も港があった。けれどモンテシーノス王国にはなかったの。
海自体は遠目に見たことがあるけれど。そう話したら、新婚旅行は海へ行くことになった。リリアナにも海を見せたいんですって。エルも初めての海ね。
「失礼、ティナ。昼食は一緒に食堂でいいかい?」
ノックして顔を見せたオスカルに、笑顔で「もちろん」と返事をした。馬車旅で疲れていると思ったのかしら。視線を向けた先で、リリアナとエルが昼寝をしている。ぐっすりと眠っているのを確認して、距離を詰めた。立ち上がって首に手を回し、背を抱き寄せる腕に身を任せる。
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「っ!」
びくりと肩を揺らしたオスカルの視線を追って、リリアナと目が合う。蜂蜜色の瞳を持つ義娘は、私とオスカルを交互に見て目を逸らした。恥ずかしさに距離を置いたら、顔が赤くなるのが分かる。見られてしまったわ。
「お義父様とお義母様が仲良くて嬉しいの」
取り繕うようにぽろりと溢れた彼女の声、逆に恥ずかしさが増した。
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