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本編
第179話 自由すぎる振る舞い
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幼竜マクシミリアンを抱き上げたアゼリアを、イヴリースが抱き寄せた。婚約者の胸に手を当てた竜が忌々しいが、雌の子竜だ。あまり目くじらを立てるのも大人げない。仕方ないと諦めたイヴリースに何を感じたのか、マクシミリアンは大きな目を見開いて飛び付いた。
アゼリアのふくよかな胸をよじ登り、イヴリースの肩に乗って得意げに胸を逸らした。子猫ほどの小型サイズなので重さも感じないが、なぜか懐かれているらしい。
「出迎え痛み入る」
イヴリースが口を開くと、転移の衝撃から立ち直ったブリュンヒルデが夫の尻を蹴飛ばした。狐尻尾の下を上手に爪先で突いた彼女は、優雅に一礼する。姿勢を正した国王ノアールが挨拶した。
「ルベウス国王ノアールだ。王妃ブリュンヒルデとともに、お初にお目にかかる」
先程の泣き顔が嘘のように立派な挨拶だった。妻が手綱を握る限り、ルベウスは安泰のようだ。いっそ女王と王配にした方が収まりが良い気もするが……王族の直系がノアールだという複雑な状況も手伝って今の形だった。
「クリスタ国王ベルンハルトです。こちらは婚約者のアンヌンツィアータ公爵令嬢ヴィルヘルミーナ嬢……互いに利のある関係を築きたいものですね」
そつなく挨拶をこなす面々に対し、端的過ぎたイヴリースが少し浮く。だがここをフォローするのが宰相メフィストだった。
「サフィロス国はすでにお目通りしていますので、深い挨拶は省かせていただきましょう。先日詳細を取り決めた条約をご確認ください。30分後に最終確認と調整を行い、調印を執り行いたいと思います」
他国であるにもかかわらず、勝手に取り仕切ったメフィストに、各国の王は無言で同意した。そのつもりで来たのだし、あまり長居できる状況でもない。
パチンと指を鳴らすメフィストが長椅子を数カ所に並べ、それぞれの王族に腰掛けるよう促した。互いの話し声が届かない絶妙な距離に配置された長椅子に、イヴリースがゆったり腰掛ける。当然のようにアゼリアを横抱きにして膝に乗せた。
羨ましそうなヴィルヘルミーナに、迷いを振り切ったベルンハルトが手招きする。彼女の手を取って、そっと横抱きにした。同じように膝に乗せたことで、微笑んだ兎耳令嬢の手が首に絡みつく。距離の近さに固まるベルンハルトだが、慌てて書類に目を通し始めた。
ブリュンヒルデは自分が腰掛けて、肘掛けに足を乗せて仰向けになった夫を膝枕にした。条約の書類を読み聞かせ、時々注釈を入れて理解させる。これがこの夫婦の日常らしい。
他国に来たとは思えないほど寛ぐ各国の王に、ベリル国王は頬を笑み崩した。こんなことなら、妻を呼び寄せておけばよかったと後悔する。
「お父様、お客様ですのね。お茶を用意させますわ」
異常な状態を気に留めない少女が顔を覗かせ、ひらりとワンピースの裾を翻す。まだ12~3歳の少女は、長い髪をポニーテールにしていた。尻尾のように髪を揺らし、侍女に指示を出す。そのまま父であるベリル国王の隣に座り、書類に目を通す父に寄りかかった。
アゼリアのふくよかな胸をよじ登り、イヴリースの肩に乗って得意げに胸を逸らした。子猫ほどの小型サイズなので重さも感じないが、なぜか懐かれているらしい。
「出迎え痛み入る」
イヴリースが口を開くと、転移の衝撃から立ち直ったブリュンヒルデが夫の尻を蹴飛ばした。狐尻尾の下を上手に爪先で突いた彼女は、優雅に一礼する。姿勢を正した国王ノアールが挨拶した。
「ルベウス国王ノアールだ。王妃ブリュンヒルデとともに、お初にお目にかかる」
先程の泣き顔が嘘のように立派な挨拶だった。妻が手綱を握る限り、ルベウスは安泰のようだ。いっそ女王と王配にした方が収まりが良い気もするが……王族の直系がノアールだという複雑な状況も手伝って今の形だった。
「クリスタ国王ベルンハルトです。こちらは婚約者のアンヌンツィアータ公爵令嬢ヴィルヘルミーナ嬢……互いに利のある関係を築きたいものですね」
そつなく挨拶をこなす面々に対し、端的過ぎたイヴリースが少し浮く。だがここをフォローするのが宰相メフィストだった。
「サフィロス国はすでにお目通りしていますので、深い挨拶は省かせていただきましょう。先日詳細を取り決めた条約をご確認ください。30分後に最終確認と調整を行い、調印を執り行いたいと思います」
他国であるにもかかわらず、勝手に取り仕切ったメフィストに、各国の王は無言で同意した。そのつもりで来たのだし、あまり長居できる状況でもない。
パチンと指を鳴らすメフィストが長椅子を数カ所に並べ、それぞれの王族に腰掛けるよう促した。互いの話し声が届かない絶妙な距離に配置された長椅子に、イヴリースがゆったり腰掛ける。当然のようにアゼリアを横抱きにして膝に乗せた。
羨ましそうなヴィルヘルミーナに、迷いを振り切ったベルンハルトが手招きする。彼女の手を取って、そっと横抱きにした。同じように膝に乗せたことで、微笑んだ兎耳令嬢の手が首に絡みつく。距離の近さに固まるベルンハルトだが、慌てて書類に目を通し始めた。
ブリュンヒルデは自分が腰掛けて、肘掛けに足を乗せて仰向けになった夫を膝枕にした。条約の書類を読み聞かせ、時々注釈を入れて理解させる。これがこの夫婦の日常らしい。
他国に来たとは思えないほど寛ぐ各国の王に、ベリル国王は頬を笑み崩した。こんなことなら、妻を呼び寄せておけばよかったと後悔する。
「お父様、お客様ですのね。お茶を用意させますわ」
異常な状態を気に留めない少女が顔を覗かせ、ひらりとワンピースの裾を翻す。まだ12~3歳の少女は、長い髪をポニーテールにしていた。尻尾のように髪を揺らし、侍女に指示を出す。そのまま父であるベリル国王の隣に座り、書類に目を通す父に寄りかかった。
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