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第17章 4歳の特別なお祝い
302.可能な限り仕事は分散させる
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即位記念祭の3ヵ月前になると、死んだ目をしたルキフェルに遭遇する。即位記念祭を記録する魔法陣や水晶の調達、ここ10年の魔王史の編纂と出版準備、研究発表の準備も忘れてはいけない。各地の研究者と様々な分野での情報交換を行う予定だった。
毎回懲りずに仕事を後回しにして溜め込むので、ベールが手伝いに入った。この辺も10年に一度の恒例なので、アスタロトは慣れた様子で調整していく。一番祭りを楽しんでいる大公は、ベルゼビュートだろうか。着飾るためのドレスを選び、注文した夫の服を取りに行って、息子のための服を手縫いで精霊達に作らせた。
自分で縫わないところが彼女らしい。と言っても、ベルゼビュートが縫ったら大惨事になるのは目に見えていた。以前にほつれた袖を直そうとして、裏側まで縫い合わせたのは有名だ。それだけなら解けばやり直せたのに、解く際に布をざっくり切断して大騒ぎになった。
本人も裁縫の才能がないと諦めたようで、それ以降は注文したり侍女に繕いを任せている。アラクネ達の税金計算を担当した見返りに、ドレスを注文する物々交換だった。お陰でここ数百年、アラクネの納税に関する計算は正確だ。
「ルキフェルの負担が大きくないか?」
「魔王史の編纂など、10年前からきちんと整理していれば問題ありません。研究にかまけて放置するから、こうなるんですよ」
アスタロトは取りつく島もない。ぴしゃりと「ルキフェルが悪い」と言い切った。だが彼の研究が世間で称賛されているのも事実であり、民に利益がある研究なら仕方ないのでは? とルシファーは食い下がった。あれこれ相談した結果、記録用の水晶調達をアスタロトが担う。
品質のよい水晶程長く映像を留められるようで、大きさと透明度が要求される。普段は装飾品などで使う程度の量しか掘り出さない。今後は永続的に必要となる可能性が高いので、アスタロトは巨人族に仕事として割り当てることを決めた。
彼らの大まかな仕事は木々の伐採や、それに伴う木材加工。以前は石材の運搬も請け負っていたが、転移魔法陣で石を転送できるため、仕事が減っていた。魔王城の施策によって仕事を奪ったのだから、補填が必要だ。岩の運搬や掘り起こしをしていた巨人族なら、水晶を探す仕事はお手の物だろう。
金属系の素材ならドワーフが得意だし、スプリガンも鉱石に詳しい。だが掘り起こすだけなら、力仕事だった。小人系のスプリガンは向いていない。適材適所に魔族の配置を行うのは、文官トップであるアスタロトの役割だった。
「巨人族なら問題ないな」
「すぐに委託契約を結んで、発掘をお願いしましょう」
水晶の場所は精魂族が詳しい。小さく半透明のエレメントは、なぜか巨人族と相性がよかった。近くにいると落ち着くと言って、よく触れ合っている。最高の人事と委託契約書に署名押印したルシファーは、掘削の許可を出した。
「食べ物は足りてるか?」
「コカトリスが不足しています。何しろ乱獲騒動が解決しておりませんので」
絶滅危惧種扱いになっていたのを思い出し、眉を寄せる。軍を動かしベルゼビュートも見張りに精霊を狩りだしたのに、まだ敵が見つかっていない。誰が捕獲したのか、今後の捕獲をやめさせなければ絶滅してしまうだろう。
「結局分からないのか」
「調査を始めて数ヵ月ですから、まだ時間がかかるでしょうね」
魔族の寿命から考えたら、数ヵ月程度は瞬きの時間に等しい。ルシファーは唸りながらも承諾しかけ……ふと妙案を思いついた。
「なあ、ワイバーンやコカトリスの群れに、個体計測の魔法陣を仕掛けたらどうだ?」
「意味が分かりませんが、お話を伺います」
省略しすぎたルシファーの提案に首を傾げたものの、聞く姿勢を見せたアスタロト。しばらく聞いたのち、その案は修正して採用が決まった。
毎回懲りずに仕事を後回しにして溜め込むので、ベールが手伝いに入った。この辺も10年に一度の恒例なので、アスタロトは慣れた様子で調整していく。一番祭りを楽しんでいる大公は、ベルゼビュートだろうか。着飾るためのドレスを選び、注文した夫の服を取りに行って、息子のための服を手縫いで精霊達に作らせた。
自分で縫わないところが彼女らしい。と言っても、ベルゼビュートが縫ったら大惨事になるのは目に見えていた。以前にほつれた袖を直そうとして、裏側まで縫い合わせたのは有名だ。それだけなら解けばやり直せたのに、解く際に布をざっくり切断して大騒ぎになった。
本人も裁縫の才能がないと諦めたようで、それ以降は注文したり侍女に繕いを任せている。アラクネ達の税金計算を担当した見返りに、ドレスを注文する物々交換だった。お陰でここ数百年、アラクネの納税に関する計算は正確だ。
「ルキフェルの負担が大きくないか?」
「魔王史の編纂など、10年前からきちんと整理していれば問題ありません。研究にかまけて放置するから、こうなるんですよ」
アスタロトは取りつく島もない。ぴしゃりと「ルキフェルが悪い」と言い切った。だが彼の研究が世間で称賛されているのも事実であり、民に利益がある研究なら仕方ないのでは? とルシファーは食い下がった。あれこれ相談した結果、記録用の水晶調達をアスタロトが担う。
品質のよい水晶程長く映像を留められるようで、大きさと透明度が要求される。普段は装飾品などで使う程度の量しか掘り出さない。今後は永続的に必要となる可能性が高いので、アスタロトは巨人族に仕事として割り当てることを決めた。
彼らの大まかな仕事は木々の伐採や、それに伴う木材加工。以前は石材の運搬も請け負っていたが、転移魔法陣で石を転送できるため、仕事が減っていた。魔王城の施策によって仕事を奪ったのだから、補填が必要だ。岩の運搬や掘り起こしをしていた巨人族なら、水晶を探す仕事はお手の物だろう。
金属系の素材ならドワーフが得意だし、スプリガンも鉱石に詳しい。だが掘り起こすだけなら、力仕事だった。小人系のスプリガンは向いていない。適材適所に魔族の配置を行うのは、文官トップであるアスタロトの役割だった。
「巨人族なら問題ないな」
「すぐに委託契約を結んで、発掘をお願いしましょう」
水晶の場所は精魂族が詳しい。小さく半透明のエレメントは、なぜか巨人族と相性がよかった。近くにいると落ち着くと言って、よく触れ合っている。最高の人事と委託契約書に署名押印したルシファーは、掘削の許可を出した。
「食べ物は足りてるか?」
「コカトリスが不足しています。何しろ乱獲騒動が解決しておりませんので」
絶滅危惧種扱いになっていたのを思い出し、眉を寄せる。軍を動かしベルゼビュートも見張りに精霊を狩りだしたのに、まだ敵が見つかっていない。誰が捕獲したのか、今後の捕獲をやめさせなければ絶滅してしまうだろう。
「結局分からないのか」
「調査を始めて数ヵ月ですから、まだ時間がかかるでしょうね」
魔族の寿命から考えたら、数ヵ月程度は瞬きの時間に等しい。ルシファーは唸りながらも承諾しかけ……ふと妙案を思いついた。
「なあ、ワイバーンやコカトリスの群れに、個体計測の魔法陣を仕掛けたらどうだ?」
「意味が分かりませんが、お話を伺います」
省略しすぎたルシファーの提案に首を傾げたものの、聞く姿勢を見せたアスタロト。しばらく聞いたのち、その案は修正して採用が決まった。
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