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第7章 吸血鬼の集う城
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無言で俯いているリスキアの姿に、アイザックは静かに息をついた。ベッド脇に腰掛けたまま、さきほどから身じろぎひとつしない。何か気に入らないことがあったか、心配事が起きたか。どちらにしても、深刻な事態なのだろう。自分からは弱音を吐かない恋人を知っているだけに、待つしかなかった。
「アイザック」
ようやく名を呼ばれ、黒い瞳を正面から見据える。暗い感情に揺らぐ瞳で、何かを言い淀んで唇を噛むリスキアを、アイザックがそっと抱き寄せた。倒れるように身を預けるリスキアを腕の中に閉じ込め、髪を縛っている紐を解く。黒く艶やかな髪を指で梳き始めた。
「……ライアンを選ぶのか?」
意味が分からない言葉に、アイザックの指の動きが止まる。それを違う意味に捉えたリスキアが、強く拳を握り締めた。
「俺は許さない!」
「……何の話をしているのか、わからないが」
「誤魔化すのか!? 一族復興の話を俺が知らないとでも……っ」
続けようとした言葉は、アイザックの接吻けで遮られた。温かい唇の感触に、自然と瞼が伏せられる。強い意志を示す黒瞳が見えないと、リスキアの顔立ちはシリルによく似ていた。整いすぎて人形のように冷たい。
「……は、ぁ……」
リスキアの濡れた唇から甘い声が漏れる。
「一族復興に興味はない。おれはリスキアの傍にいる。拒まれない限り、ずっと」
ゆっくり紡がれた声に、顔を上げたリスキアが息を呑む。澄み渡る緑の瞳に包まれるような、心地よさと優しさを感じて声が凍りついた。自分は何を言おうとしていたのか、彼らを疑うような言葉を吐いて……信頼と愛情を汚すなど……。
「ならば、証明しろ」
可愛くない物言いは、それでもリスキアの精一杯の甘えだった。恋人の我が侭に目を細め、アイザックは「いくらでも」と耳元で囁く。抱き締めた腕に力を込めれば、リスキアの手が首に絡みついた。
しっとり汗が滲む肌を抱き寄せ、黒髪に唇を押し当てる。何度も梳いた髪はさらりと指の間を滑り、アイザックは心地よさに目を細めた。
「ところで、何を怒っていた?」
尋ねられたリスキアが、腕の中で向き直る。黒い瞳は熱の余韻に潤んでいて、何度か瞬くと彼の唇から溜め息が漏れた。リスキアの指が、アイザックの頬へ伸ばされる。
「すまない、お前を疑った」
最初の謝罪を微笑で頷き受け止めると、安心したのか。リスキアの表情が和らいだ。頬に触れる指が首へ滑り、そっと離される。
「アイザック」
ようやく名を呼ばれ、黒い瞳を正面から見据える。暗い感情に揺らぐ瞳で、何かを言い淀んで唇を噛むリスキアを、アイザックがそっと抱き寄せた。倒れるように身を預けるリスキアを腕の中に閉じ込め、髪を縛っている紐を解く。黒く艶やかな髪を指で梳き始めた。
「……ライアンを選ぶのか?」
意味が分からない言葉に、アイザックの指の動きが止まる。それを違う意味に捉えたリスキアが、強く拳を握り締めた。
「俺は許さない!」
「……何の話をしているのか、わからないが」
「誤魔化すのか!? 一族復興の話を俺が知らないとでも……っ」
続けようとした言葉は、アイザックの接吻けで遮られた。温かい唇の感触に、自然と瞼が伏せられる。強い意志を示す黒瞳が見えないと、リスキアの顔立ちはシリルによく似ていた。整いすぎて人形のように冷たい。
「……は、ぁ……」
リスキアの濡れた唇から甘い声が漏れる。
「一族復興に興味はない。おれはリスキアの傍にいる。拒まれない限り、ずっと」
ゆっくり紡がれた声に、顔を上げたリスキアが息を呑む。澄み渡る緑の瞳に包まれるような、心地よさと優しさを感じて声が凍りついた。自分は何を言おうとしていたのか、彼らを疑うような言葉を吐いて……信頼と愛情を汚すなど……。
「ならば、証明しろ」
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「ところで、何を怒っていた?」
尋ねられたリスキアが、腕の中で向き直る。黒い瞳は熱の余韻に潤んでいて、何度か瞬くと彼の唇から溜め息が漏れた。リスキアの指が、アイザックの頬へ伸ばされる。
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最初の謝罪を微笑で頷き受け止めると、安心したのか。リスキアの表情が和らいだ。頬に触れる指が首へ滑り、そっと離される。
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