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第六章 幻妖の森
第18話 幻妖の森の迷子たち(5)
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「さっき解放した、オレの配下だ。ルリアージェの紹介はきちんと済ませたぞ?」
言外にルリアージェが覚えてないだけと言い訳しながら、空中に円を描く。刻を戻す魔術は使えないが、過去を写す魔術なら使用可能だ。円の中を鏡のようにして、リオネルの封印を解いた際の記憶を映し出した。
真剣に見つめた後、ルリアージェは「また増えた」とぼやくが、ジルは聞こえないフリを貫く。彼がジルの配下なら、ルリアージェに付き纏う魔性は増えたと表現するのが正しい。好き嫌いに関わらず、使役するかの選択肢も与えられず、ただ数が増えてしまった。
「……ジル」
「なんだ?」
「その、まだ……(配下は)いるのか?」
言い淀んだルリアージェの言葉の裏を読んで、ジルは満面の笑みで頷いた。
「ああ、あと2人ほど」
「……そうか」
あと2人も増えるのか。必要な魔力が満ちれば、ジルは遠慮なく配下を解放するだろう。大災厄と一緒に封じられるような上級魔性が付き纏うのは間違いない。
仰いだ空は青紫の葉で見えなかった。揺れながら移動する木々の足音を聞きながら、美女は大きな溜め息を吐く。嘆く彼女の上に木漏れ日が届き、まぶしさに目を閉じた。
ああ、なんて運が悪いのだろう。調査のつもりだった金剛石は砕けてしまうし、国宝破壊で指名手配される。さらに金剛石に封印された魔性に付き纏われる……ここまで運が悪い人間もそうはいない筈。
「それで、どこへ移動する?」
まったく文脈を気にせず、興味をもったことに邁進する。魔性らしい自分勝手さを発揮するジルへ、ルリアージェはひとつの選択肢を示した。
「安全な場所」
しばらく休みたい美女の答えに、大災厄たる魔性はしばらく考え込み……ひとつ頷いた。
「わかった、じゃあ移動しますか」
ルリアージェの手を取ると、足元に魔法陣を展開する。この幻妖の森に飛んだ時より模様は複雑で、幾重にも重なって新たな模様を作り出した。
確かに転移の魔法陣は複雑だ。始点と終点、高さ、時間、さまざまな要因を計算に加えて演算した結果が描き出される。だがこれほど緻密な魔法陣は、人間には描けなかった。陣を展開する魔力が足りないからだ。
……どこへ飛ぶ気だ?
知っている座標が1000年で変わっている可能性を口にしていたから、計算が複雑になり、より安全策を講じるのも理解できた。しかし細かすぎる。
幾重にも円を広げる模様が青白い光を放ち、尋ねようと口を開いたルリアージェが言葉を発するより早く、彼らの姿は森から消えていた。
言外にルリアージェが覚えてないだけと言い訳しながら、空中に円を描く。刻を戻す魔術は使えないが、過去を写す魔術なら使用可能だ。円の中を鏡のようにして、リオネルの封印を解いた際の記憶を映し出した。
真剣に見つめた後、ルリアージェは「また増えた」とぼやくが、ジルは聞こえないフリを貫く。彼がジルの配下なら、ルリアージェに付き纏う魔性は増えたと表現するのが正しい。好き嫌いに関わらず、使役するかの選択肢も与えられず、ただ数が増えてしまった。
「……ジル」
「なんだ?」
「その、まだ……(配下は)いるのか?」
言い淀んだルリアージェの言葉の裏を読んで、ジルは満面の笑みで頷いた。
「ああ、あと2人ほど」
「……そうか」
あと2人も増えるのか。必要な魔力が満ちれば、ジルは遠慮なく配下を解放するだろう。大災厄と一緒に封じられるような上級魔性が付き纏うのは間違いない。
仰いだ空は青紫の葉で見えなかった。揺れながら移動する木々の足音を聞きながら、美女は大きな溜め息を吐く。嘆く彼女の上に木漏れ日が届き、まぶしさに目を閉じた。
ああ、なんて運が悪いのだろう。調査のつもりだった金剛石は砕けてしまうし、国宝破壊で指名手配される。さらに金剛石に封印された魔性に付き纏われる……ここまで運が悪い人間もそうはいない筈。
「それで、どこへ移動する?」
まったく文脈を気にせず、興味をもったことに邁進する。魔性らしい自分勝手さを発揮するジルへ、ルリアージェはひとつの選択肢を示した。
「安全な場所」
しばらく休みたい美女の答えに、大災厄たる魔性はしばらく考え込み……ひとつ頷いた。
「わかった、じゃあ移動しますか」
ルリアージェの手を取ると、足元に魔法陣を展開する。この幻妖の森に飛んだ時より模様は複雑で、幾重にも重なって新たな模様を作り出した。
確かに転移の魔法陣は複雑だ。始点と終点、高さ、時間、さまざまな要因を計算に加えて演算した結果が描き出される。だがこれほど緻密な魔法陣は、人間には描けなかった。陣を展開する魔力が足りないからだ。
……どこへ飛ぶ気だ?
知っている座標が1000年で変わっている可能性を口にしていたから、計算が複雑になり、より安全策を講じるのも理解できた。しかし細かすぎる。
幾重にも円を広げる模様が青白い光を放ち、尋ねようと口を開いたルリアージェが言葉を発するより早く、彼らの姿は森から消えていた。
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