【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第八章 捏造された歴史

第22話 知らずに増える配下たち(3)

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 人間ごときに膝をついて構わないのか? 尋ねるルリアージェが椅子から立ち上がり、膝をついたライラを助け起こした。軽い精霊の少女を抱き上げ、疑問のままに首を傾げる。さらさら流れる銀髪に、ライラの手が触れた。

 パシン! その手を払ったジルが、強引にライラを奪い取ると放り出した。無造作な所作で黒い床に放られた少女は、重力を感じさせない動きで着地する。

「ジル!」

 叱る口調に、ジルは子供のように口を尖らせた。

「ルリアージェの契約者しもべはオレだけだ」

「はぁ……」

 大きく溜め息をついてしまう。先ほどまで過去の話をしていたジルは大人びて、永き時を生きた人外の貫禄があった。少なくとも子供を連想させる仕草や口調はなかったのに。今の彼は、お気に入りの玩具を取られそうな子供そのもの。

 ぎゅっと腕の中に抱き込まれ、整った顔が不安そうに近づく。頬と額にキスを落として、必死に抱きつく姿は幼子だった。魔性は突然生まれて一人で大きくなるため、基本的に性格が子供なのだ。嫉妬も幼くて、大好きな母に近づく兄弟を追い払う程度の感覚だった。分かっていても、美形が顔を寄せると心臓に悪い。

「まったく乱暴ね。男はいつでも自分勝手なんだから」

 苦笑いするライラは平然としている。彼女のけろりとした態度にほっとしながら、ルリアージェは続いて立ち上がったリオネルに目を向けた。

 長身の彼は『死神』の眷属である証なのか、ジルと同じ黒衣を身に纏う。その裾を裁いて一礼し、膝をついた。嫌な予感がして声をかけようとしたルリアージェは一足遅い。

「ま……っ」

「改めてご挨拶を。死神ジフィールの配下、『白炎のリオネル』と申します。ジル様と共に、ルリアージェ様にお仕えいたします」

 すでに誓いですらなかった。決定事項として淡々と告げられ、困惑してジルを振り返る。まだ腕の中にルリーアジェを抱いたまま、ジルが満足げに頷いた。

「オレの主はルリアージェだから、オレの配下はルリアージェの配下ってわけ」

 今度は嫉妬しないらしい。基準がよく分からないジルの感情を推し量ることを諦め、ルリアージェは肩を落とした。最後に残ったレンが面白そうに足を組んでこちらを見ている。

 まさか……嫌な予感にルリアージェが首を横に振った。

「残念ながら、おれは傍観者だから主をもてないんだよな。でも全面協力しますよ、ルリアージェ様」

 にこにこ笑いながら告げられ、からかわれた気分になる。
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