【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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146.醜い欲を抱く神(SIDEセティ)

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*****SIDE セティ



 可愛さと純粋さに付け込んで、襲った。いや、ぎりぎりで我慢したが、あまりにいじらしい事を考えているものだから……暴走しかけた。自覚はある。明日の朝、外野がうるさいだろうと考えながら、イシスの柔らかい肌を指先で辿る。

 ぐっすり眠るイシスに、自分がすでに神族になっている自覚はなかった。神族は眠気や食欲はほとんどない。ただゲリュオンのように食欲に特化したり、ガイアみたいに眠ることに価値を見出した者もいるが。本来は必要ない欲だった。

 その意味で行けば、オレのイシスに対する性欲はおかしい。執着と嫉妬、独占欲……様々な醜い欲が湧き出た。イシスの前に立つと、どの神も己の醜さに絶望するのではないか。そう思わせるほど無邪気で無垢な存在が、オレに愛されたいと望むのだ。心の中で必死に手を伸ばして叫ぶ姿に、絆されない方が変だろう。

 寝かしつけたイシスの頬や髪を触りながら、一晩中飽きずに彼の顔を見ていた。ガリガリに痩せた子供は食べてまろい頬を得た。神族となった体は十分に青年と呼ぶ成長を遂げたのに、こうしてすっぽりと腕の中に収まる。儀式の間に抱きしめていた影響か、それとも抱き締められたいイシスの願いの所為か。どちらにしてもオレには都合がよかった。

 この子供を手放す気はない。逃がしてやれる時期は過ぎてしまったのだ。貪り、喰らい、しゃぶり尽くすまで……いや、骨になっても手を離してやれないだろう。魂の最後の一欠片までオレのものだ。

 双子であるガイアは、オレに向けられたイシスの声を聞いてしまう。朝からがっつり叱られた。悪態を突いてみても、分が悪いのはオレだった。そこにヴルムまで加わり、一方的な劣勢だ。ファフニールは早朝から狩りに出たが、八つ当たりを兼ねていたらしい。まあ、得たばかりの息子が隣で食われかけていれば、精神的に辛かっただろう。悪い事をした。

 次からは声や気配が届かない場所で襲う。奇妙な決意をしたところに、イシスが割って入った。オレと皆がケンカしていると思ったらしい。愛らしい発想だが……オレは嫌なことに気付いてしまった。

 この無垢な子供に、どうやって手を出したらいい? 大人しく最後まで身を任せてくれると思うが……それが愛情を交わす行為だと教えれば、そのまま別の奴にも適用しそうだ。大好きなドラゴンやガイアとも行うと言われたら、違いをどうやって理解させるか。

 思わぬ壁に唸る。オレだけと限定するか。イシスにはそれが一番効果が高そうだ。しかし誰かが「大好きな人とする行為だ」と告げたら、トムやボリスをその対象にしない保証はなかった。性教育なら何とでもしてやるが、情緒の育成はどうすれば……頭を悩ませるオレに解決策を提示したのは、意外な奴だった。
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