【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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181.お魚は炭になったけど

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 お魚がなくなったことをお母さんに謝る。折角冷たい水に入って捕まえてくれたのに。しょんぼりした僕に、お母さんが笑った。

『イシスが思うほど、冷たくない。水のドラゴンだから寒さには強いからね』

 眠るボリスの横に僕を咥えておいた。それからお願いがあると言われる。僕頑張れるから、いっぱいお願いしていいよ。

『目が覚めるまでボリスの側にいておあげ、それから魚を捕まえたら焼いてくれるかい?』

「うん! 僕頑張る」

 セティが僕達の警護役になったので、お母さんは川の前に座って尻尾で魚を捕まえ始めた。釣るんじゃなくて、叩いて失神させるんだって。複雑な説明に首を傾げたら、お母さんの尻尾が水を叩いた。ぷかっとお腹を見せて浮いた魚を、器用に横に飛ばす。お母さん器用だね。

 血で赤くなった鱗は拭いても平気だと言われたので、シェリアと手分けして拭くことにした。お鍋を横に避けて、別の鍋でお湯を沸かす。半分くらい煮えたお湯にまた水を足して、バケツに手を入れたセティが「いいよ」と言った。僕が前に着ていて、もう着られない小さな服を濡らしてからボリスを拭く。

 赤い血がいっぱい取れた。固まっている部分もお湯でごしごしすると取れる。お風呂みたいに温かいから、僕やシェリアの手も冷たくならないね。でもボリスを直接お風呂に入れたら早いと思う。

「セティ、お風呂に入るんじゃダメなの?」

「お風呂は疲れるだろう。今のボリスを入れたら沈んじゃうぞ」

「それはやだ! お兄ちゃんだから、僕が頑張るね」

「私も」

 シェリアがいるから早く終わりそう。セティも一緒に手伝ってくれた。3人で拭いたらドラゴンのボリスもすぐ綺麗になる。あとは反対側なんだけど、ボリスがごろんと転がってくれないかな。トムの籠に戻ったガイアは欠伸しながらこっちを見てる。

「ガイア、ボリスを治してくれてありがとう」

 遅くなったけどお礼を言う。ひらひらと小さな手を振ったガイアは神様だ。ボリスを治してくれた分だけ、たくさんお祈りしてお礼しなくちゃ。魚を捌く準備をするセティの横で、ガイアにたくさんお祈りした。

「魚拾ってこい」

 僕はシェリアと手を繋いで、転ばないように川原を歩く。石がごろごろしているから、暗いと危ないよね。それからお月様で光る魚を見つけてバケツに入れた。シェリアと笑いあいながら魚を拾って、一緒にバケツを持ち上げた。

 重い。シェリアは小さい子だから、僕がたくさん持たなくちゃ。そう思ったのに、シェリアの方が力持ちだった。ひょいっと持ち上げた彼女は重さを感じてないみたいに、すたすた歩く。僕はバケツの持ち手を掴んで付いていくだけ。

「仕方ないさ、イシスは元人間で、シェリアは魔獣だからな」

 でも僕だって大きくなったのに。ぷっと唇を突き出して膨れていると、上空でばさっと羽の音がした。慌てて見上げた僕の目に、上から降る月光を遮る大きなドラゴンが映る。大きくて光るのがお父さんで、隣の暗く見えるのがフェリクスお兄さんだった。

「お帰り!! お父さん、フェリクスお兄さん」

 叫んで走ろうとした僕に、セティが危ないから降りてから行けと注意した。お父さん達に踏まれたら大変だもんね、気を付ける。
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