【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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213.旅の食糧をたくさん買った

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 フェルを呼んでから食料を手分けして調達すると言われた。セティと僕は街に降りて、パンや魚を買う。その間にお肉をフェルが捕まえてくるのだ。セティが猪より鹿がいいと注文してたけど、フェルは分かるのかな。手を繋いだ僕はセティと一緒に街に向かった。

 入り口でセティが金属のタグを見せた。魔術師の登録タグなんだって。これがあれば、ほぼすべての街に入れる。僕も同じのを持っているから見せた。首にかけたタグを確認した門兵が、驚いた顔をする。むっとした顔のセティがタグを隠してしまった。

 街の中に入っても視線を感じて振り返ると、門兵がじろじろと僕達を見ていた。なんだか感じが悪い。嫌な人で、僕に悪いことをするんじゃないかと怖くなる。

「イシス、あの店に寄るぞ」

 きらきらする光石や黄金がある店に入った。何かを買うわけじゃなくて、少し眺めたら店を出る。飾ってあると小さくても光を浴びて眩しい。お母さんが洞窟に持っていた金よりずっと小さいのに、いっぱい数字が並んだ札がついてた。セティに聞いたら高いんだって。

 次は予定していたパンをたくさん買って、セティが裏通りでこっそり収納する。別のパン屋さんに行って、また買った。同じ店で買うと目立つし、前の荷物持ってないことがバレちゃう。それに僕達以外にもパンを買う人がいるから、全部買うのはいけないこと。

 お魚も同じようにいくつものお店を回り、野菜も買った。でもお肉は少しだけ。フェルが獲ってきてくれるのに、買って帰ったらしょんぼりしちゃう。途中で色鮮やかなジュースを売るお店を見つけて、目が離せなくなった。セティが笑って瓶に入れて買ってくれる。

 お菓子のお店に寄って、旅に持っていく甘い物を両手に抱えるほど選ぶ。それらを全部収納して、串焼きを手に広場の椅子に座った。ここではお膝に座る人は見ないから、僕もセティの隣に腰を下ろす。向かいは遠いからダメなんだって。前にベンチに座ったら攫われたから、手の届くところにいなさいと言われた。

 串焼きは貝と魚が両方刺さっていた。甘じょっぱい味がするタレを付けた串を頬張る。熱くてはふはふ言いながら噛んで飲み込んだ。美味しい。汚れた手は拭いてジュースを飲む。今日は黄色い果物のジュースだった。

 腰に下げた鞄から出したフリで、収納からセティが取り出したのは金色の鎖――これはお母さんがくれた鎖かな。

「タグを寄越してみろ」

「うん」

 首にかけた鎖を外して渡すと、セティは器用に鱗を外してしまった。タグだけになった鎖を返される。それを握り締めて見つめる先で、金の鎖に鱗を付け直した。鱗の穴に輪を入れて、輪に鎖を通すの。簡単そうだけど、たぶん僕は無理。それも首にかけてもらった。

「いいか? 金の鎖は服の下から出すなよ」

 セティと約束する。鱗がついた金の鎖は人に見せない。盗られちゃうんだって。悪い人がいるから見せると危ないと説明された。お父さん達が僕にくれた鱗だから、大切にしなくちゃ。
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