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56.私が母になります!
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お菓子を食べ過ぎた反省に、エル様が教えてくれた林へ向かう。クロエとコレットが一緒で、護衛の騎士が少し離れて着いてきた。
森は人の手が入っていない自然だけれど、林は整備された場所だ。きちんとした道が整備され、歩きやすかった。一周するとお昼に戻れそうだ。毎日歩いてもいいかな、そう思いながらゆっくりと足を進めた。
ところどころで兎やリスなどの小動物をみかける。鳥の数も多くて、さまざまな声が聞こえた。
「すごいわね」
「はい、気持ちが落ち着きます」
クロエ達と雑談をしながら、円を描くような道を歩く。途中で、妙な箱を発見した。
「あれ、何かしら」
木箱だ。服を入れるには小さく、気になって中を覗いた。これは子猫? みぃと声を上げる毛玉は、差し伸べた私の手に擦り寄った。ぴたりと張り付いて、何度も鳴く。細い鳴き声に、放置できなくなった。
「拾ってもいい?」
「責任を持てますか? 姫様」
コレットが少し厳しめに尋ねる。真剣に考えた。この子はまだ幼くて、一匹では生きていけない。でも母猫は見当たらないし、箱に入ってたから誰かが捨てたのよね。私が拾わなければ死んでしまう。
それも自然の摂理かもしれないけれど、助けられるなら助けたかった。でも一度人が飼ってしまったら、この猫は野生に戻れないわ。だって餌を取れないもの。だから尋ねられたのは、最期まで看取る覚悟よね。
「覚悟はあるわ」
私はまだ十二歳。結婚してもこの地に住むし、猫が一匹いても生活に困らない。エル様の許可は取らないといけないけれど、置いていくのは無理だった。
夜に涙で枕を濡らすし、悪夢をみるわ。もう可愛いと思っているんだから、諦めたら後悔する。きゅっと唇を引き結んで、子猫を抱き上げた。
「私がこの子の母になります」
「承知いたしました」
「精一杯お手伝いさせていただきます」
コレットもクロエも、否定しなかった。嬉しくて、小さな毛玉を胸元に抱き締める。でも気に入らないのか、子猫はもぞもぞと動き続ける。すると、コレットが抱き方を教えてくれた。
ようやく落ち着いたようで、私の腕で子猫はうとうとと微睡んでいた。あまり揺らさないようにしながら、散歩を早めに切り上げる。池の脇を抜けて、最短距離で屋敷へ帰った。
途中で木箱を抱えた集団に出会う。クロエが声を上げた。
「あれは、姫様の荷物でございますね」
言われて、木箱の印に気づいた。本当だわ、アルドワン王室の紋章が入っている。最初に持ってきた荷物は台無しにされたけれど、こちらはお母様やお姉様が詰めてくれた箱だ。大切にしなくては!
今度こそ守る、その気持ちで木箱の群れを見送った。にぃ……か細い鳴き声に、私は腕の子猫が起きたと知る。ぺろぺろと舌で腕を舐めるのは、お腹が空いたのかも。
「服は後でも逃げないわ。先にこの子のミルクをもらわなくちゃ!」
コレットが厨房へ向かい、その間に部屋へ猫を連れ込む。見つけた竹籠に柔らかな布を敷いて、上に下ろした。白い毛並みに、うっすらと灰色の模様だ。子猫の目は塞がっていた。
「ミルク飲ませたら、洗わないとダメね」
自分でお世話の順番を決めて、侍女達に指示を出す。なんだか大人になった気分だわ。
森は人の手が入っていない自然だけれど、林は整備された場所だ。きちんとした道が整備され、歩きやすかった。一周するとお昼に戻れそうだ。毎日歩いてもいいかな、そう思いながらゆっくりと足を進めた。
ところどころで兎やリスなどの小動物をみかける。鳥の数も多くて、さまざまな声が聞こえた。
「すごいわね」
「はい、気持ちが落ち着きます」
クロエ達と雑談をしながら、円を描くような道を歩く。途中で、妙な箱を発見した。
「あれ、何かしら」
木箱だ。服を入れるには小さく、気になって中を覗いた。これは子猫? みぃと声を上げる毛玉は、差し伸べた私の手に擦り寄った。ぴたりと張り付いて、何度も鳴く。細い鳴き声に、放置できなくなった。
「拾ってもいい?」
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それも自然の摂理かもしれないけれど、助けられるなら助けたかった。でも一度人が飼ってしまったら、この猫は野生に戻れないわ。だって餌を取れないもの。だから尋ねられたのは、最期まで看取る覚悟よね。
「覚悟はあるわ」
私はまだ十二歳。結婚してもこの地に住むし、猫が一匹いても生活に困らない。エル様の許可は取らないといけないけれど、置いていくのは無理だった。
夜に涙で枕を濡らすし、悪夢をみるわ。もう可愛いと思っているんだから、諦めたら後悔する。きゅっと唇を引き結んで、子猫を抱き上げた。
「私がこの子の母になります」
「承知いたしました」
「精一杯お手伝いさせていただきます」
コレットもクロエも、否定しなかった。嬉しくて、小さな毛玉を胸元に抱き締める。でも気に入らないのか、子猫はもぞもぞと動き続ける。すると、コレットが抱き方を教えてくれた。
ようやく落ち着いたようで、私の腕で子猫はうとうとと微睡んでいた。あまり揺らさないようにしながら、散歩を早めに切り上げる。池の脇を抜けて、最短距離で屋敷へ帰った。
途中で木箱を抱えた集団に出会う。クロエが声を上げた。
「あれは、姫様の荷物でございますね」
言われて、木箱の印に気づいた。本当だわ、アルドワン王室の紋章が入っている。最初に持ってきた荷物は台無しにされたけれど、こちらはお母様やお姉様が詰めてくれた箱だ。大切にしなくては!
今度こそ守る、その気持ちで木箱の群れを見送った。にぃ……か細い鳴き声に、私は腕の子猫が起きたと知る。ぺろぺろと舌で腕を舐めるのは、お腹が空いたのかも。
「服は後でも逃げないわ。先にこの子のミルクをもらわなくちゃ!」
コレットが厨房へ向かい、その間に部屋へ猫を連れ込む。見つけた竹籠に柔らかな布を敷いて、上に下ろした。白い毛並みに、うっすらと灰色の模様だ。子猫の目は塞がっていた。
「ミルク飲ませたら、洗わないとダメね」
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