ずぶ濡れで帰ったら置き手紙がありました

ファッションショー

ノノ先輩とバーに行った日私はノノ先輩に水族館に誘われた。

なんでもチケットが当たったけど一緒に行く人がいないとか言っていた。

私も家にいても何もないので快く行くことにした。

が、その日が明日に迫った今日。

未だに着て行く服が決まらない。

クローゼットをひっくり返してファッションショーを繰り広げてみるがどれもピンとこないのだ。

そういえば男の人と出掛けるのにこんなに着るものに迷ったのはいつ以来だろう？

敦春と付き合って一年くらいまでだったか…？

ちっ！

また奴のことを思い出してしまった。

それなりに付き合って別れるとこうなるのは仕方ないができれば思い出したくない。

さっきまで上がっていたテンションが下がりそうだ。

……ん？

上がっていたテンション？

え？

私テンション上がってたの？

ノノ先輩との水族館に？

ここでふと疑問が湧く。

ノノ先輩と出掛けるのに何故こんなにファッションショーをしてるのか？

彼氏でもないのに。

そう思うとなんだか気が抜けて手に持った洋服を放り投げようとしてふいにノノ先輩の笑顔が脳裏を過ぎる。

また心臓がドキンと音を立てて思わず洋服を握りしめてしまった。

そして気付く。

これが気のせいではないことに。

ノノ先輩と再会してノノ先輩の笑顔を見るとドキンと音を立てる心臓。

間違いない。

どうやらノノ先輩の笑顔に恋をしたようだ。

そう思うとソワソワ落ち着かない。

結局私はその日遅くまでファッションショーをしたのだった。