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079 厄介な依頼
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「ヒンメル伯爵と共に王都に向かったのは?」
「ご家族と側近の護衛に魔法使いですが」
側近ねぇ
「何時もそうなの」
「はい、主が旅をするときには必ず同行する者達です」
そう言いながらも小狡い表情が浮かび素直に喋ってくれそうもないので、差し向かいでじっくりと尋ねた方が良さそうだ。
階段を上がり執務室に向かおうとすると、聞き慣れた弓弦の音が響いた。
即座にフードを被り伏せると、矢が肉に突き立つ鈍い音と〈ウッ・・・なぜ〉
直ぐにフラッグがシールドで守ってくれたので攻撃者を観察する。
建物内で弓を使うって事は、俺達の事を知っている奴に違いない。
《ランディ、やっつける?》
《殺さずに捕まえたいのでお願い》
《あい、任せて》
返事と共に〈ウオー〉〈ギャアー〉〈後ろに居るぞ!〉と色々聞こえてくる。
攻撃が止んだので射たれた執事を見ると、胸と腹に七本も矢が突き刺さっていてぐったりとしている。
急いで首に手を当てて脈を確認するが、反応が無い。
糞っ、執事が死んだら誰から伯爵の事を聞き出せば良いんだよ!
《ランディス、全部捕まえたよ》
グレイが捕らえた奴等から聞くしかないので、急いでグレイの所へ行くと、全員股間か尻に雷撃を喰らって悶絶していた。
安らかに眠る男達を蹴り上げて強制的に起こしたが、股間や尻の痛みで呻くばかり。
それでも何とか聞き出したが、攻撃命令を出したのは執事で既に死んでいて話にならない。
それに死んだ執事は内政、領地の運営や使用人達の監督が主任務で、他家との交渉などは別な男が担っていたと判った。
そして伯爵は、家族と共に姿が消えている。
面倒な事になったが放置する訳にもいかず、捕らえた騎士達の中から高位の者を選び出す事から始めた。
ヒンメル伯爵家騎士団の副団長ノイマン、彼が今のところ最上位者と判り身分証を突きつけて従わせる。
まぁ最初は少し愚図ったが、残された意味を教えてやりグレイに手伝ってもらうと直ぐに素直になった。
半泣きのノイマンを連れてアッシュの所へ行くと、股間を押さえたり鼻が焦げて失神している警備兵達が転がっている。
アッシュ達も連れて伯爵の執務室に陣取り、ヒューヘン宰相宛てに書状を認めるが、ヒンメル伯爵は家族や側近と共に行方が知れず、王都に来ていないかとの間抜けな文面になってしまった。
ノイマンに命じて王城へ届けろと命じたが、早馬でも3、4日は掛かると言われてしまう。
返事が届くまで八日は動けない事になるので、ツアイス伯爵にも逃げられる恐れがある。
というか、既に逃げ出した後かも知れない。
逃げたのなら逃げたでも良い、奴の屋敷を瓦礫に変えてやる。
* * * * * * *
ランディスがヒンメル伯爵の酒蔵を探訪し、戦利品の酒の味見を楽しんでいた頃、王城に早馬が駆け込んで来た。
門衛に、ランディス殿よりヒューヘン宰相閣下への急報だと告げて書状を差し出すと、即座に係の者に手渡し駆け込んで来た男を待機室にて休ませる。
宰相補佐官のボリスは、またも届いた急報の差出人を確認してうんざりしたが、即座にヒューヘン宰相に届けた。
読み進む宰相の顔が歪み「ボリス、ヒンメル伯爵邸に使者を出して伯爵に即刻出頭しろと命じろ」
「即刻ですか?」
「そうだ、その際に伯爵が不在で王都にいないのなら、伯爵邸を制圧する準備をしておけ。私は陛下に報告してくる」
* * * * * * *
「今度は、ヒンメル伯爵が家族共々消えたと申すのか」
「只今ヒンメル伯爵邸に使者を差し向けていますが、王都到着の連絡を受けていませんので恐らくは・・・」
「逐電か・・・そうなるとツアイス伯爵の動向が気になるな」
「はい、ランディスはツアイス伯爵の執事に聞きたい事があると話したそうですが、金貨200枚でアッシュとグレイ二頭の抹殺を冒険者に命じたのなら、伯爵が知らぬはずがありません。それはランディスもツアイス伯爵も判っているでしょうから、ランディスが向かえば逃げる恐れがあります。バテスト街道沿いの主要三家が崩れますと」
「クラウディオが動くか」
「その場合国境の要である、ブリスト伯爵がどの程度耐えられるかが問題です。ブリスト伯爵とツアイス伯爵の領地の間は、子爵領が二つですが」
「誰だった?」
「フレンディス子爵とマルケル子爵です」
「何方に転ぶと思う」
「強い方に、タイラントに尻尾を振ってはいましたが、ヒンメルやツアイスほどにはのめり込んではいませんでした」
「嬉しい話だな」
「昔の領地をそのまま受け継いでいますので、簡単に領地替えが出来なかったのが祟りました」
「こうなるとランディスだけが頼りか。ホールデンス公爵は未だ王都にいるのか?」
「いえ、領地に戻っていて、嫡男のヘイラートが王都に来ています。公爵殿の言葉では、ランディスへの依頼は彼を通して行っているとの事ですので」
「ではヘイラートを呼べ」
* * * * * * *
ヒンメル伯爵邸の酒蔵探訪で、お宝をゲップが出るほど手に入れた。
日々のんべんだらりんと過ごすのも飽きたので、グレイをお供にブラビアの街を散策する。
伯爵不在が漏れたのか街が何となくざわついていて、警備の者達も落ち着かない様子だ。
俺とグレイを見ると、目を逸らして横道に逃げて行くのには閉口した。
テイムされた野獣がいないかと冒険者ギルドの近くまで行くと、ギルドの職員とギルマスらしきおっさんが俺達を睨んでいる。
バネッサで、冒険者達を率いたギルマスを追い返した事が知られている様だ。
* * * * * * *
王城に呼び出されたヘイラートは、国王陛下より直々にランディスへの依頼内容を伝えられて、書状を手渡す様に命じられた。
ヒューヘン宰相から手渡された分厚い書状を懐に、王国騎士団の護衛と共にヒンメル伯爵の領都キャランザス領ブラビアに向けて駆け出した。
王都カンタスからブラビアまで馬車で八日の距離を、馬で駆けに駆けて三日半で到着したが、護衛の騎士もヘイラートも疲れ切っていた。
街の入場門で警備兵に「国王陛下の使者である。ヒンメル伯爵の屋敷に案内しろ!」と怒鳴りつけて道案内をさせた。
* * * * * * *
「ランディス殿、国王陛下の使者が参っております。ランディス殿を指名しておられますので、玄関ホールまでお越し下さい」
すっかり俺を上位者として扱うノイマンさんが、顔色を変えてやって来た。
やれやれ、これでツアイス伯爵に会いに行けると安堵して玄関ホールに向かえば、王国騎士団を引き連れたヘイラート様が立っていた。
疲れ切った顔で身体が揺れ立っているのがやっとといった状態で、俺の顔を見ると「国王陛下よりランディス殿への書状です」と言って書状を差し出した。
おいおい、以前公爵様や宰相が言っていた事が起きたんじゃないよな。
急ぎ封を切り読めば、ヒンメル伯爵は逐電の疑いありときた。
やはりなと思うが、その後がいただけない。
タイラント公爵を王城に呼び出して取り調べた結果、重用されるホールデンス公爵を妬み、その座を狙い画策していた事。
その為にヒンメル及びツアイス伯爵を使い、クラウディオ王国を利用していたと白状した。
ただ王国の乗っ取り等の証拠はなく自白のみなので、タイラント公爵を処刑すれば国内の動揺を招き、クラウディオ王国だけでなく他国につけ込まれる恐れがある。
その為、タイラント公爵は降格隠居させる事にした。
しかし、ヒンメル伯爵が消えたとなれば行き先はクラウディオ王国に違いなく、ツアイス伯爵も姿を消す恐れがある。
ヒンメル伯爵がクラウディオ王国に逃れたのなら、バテスト街道に領地を持つ三家の力の空白を早々に知られる事になり、クラウディオ王国から侵攻を受ける恐れがあると書かれている。
此処からはホールデンス王国の依頼として、クラウディオ王国からの侵攻を防ぐために、ロンベルト領スザンヌの街に行き、ブリスト伯爵と協力して侵攻を食い止めて欲しいと書かれていた。
依頼料金貨10,000枚とは、張り込んだね。
これって拒否すれば戦争が始まり多大な犠牲が出る事になり、その原因の一端は俺に・・・
攻撃されたので反撃しているだけなのだが、三家を潰したのはお前だと言われたら弁解のしようもない。
依頼を受ければ俺が多数の兵を殺す事になるが、どのみち犠牲が出るのなら少ない方がましか。
「ランディス殿、お返事を」
「仕方がないので引き受けるが、俺の好きにやらせてもらいますよ」
「有り難う御座います。国王陛下より此を預かっております」
ヘイラート様が差し出したのは綺麗な布に包まれたもので、中から出来たのは王国の紋章入り身分証で、星が五つの物だ。
「ヒューヘン宰相閣下と同格として、ブリスト伯爵に対する指揮権を有します。私はランディス殿の補佐としての役を賜っておりますので、ご不審な事があれば何なりとお尋ねください」
ヘイラート様が見せてくれたのは同じ王国の紋章入り身分証で、星が四つ。
クラウディオ王国から攻撃の恐れがなくなるまで有効との事だった。
ふらふらのヘイラート様と護衛の騎士達をサロンで休ませる事にして、俺の世話係をしている執事見習いの男に酒の用意をさせる。
「ランディス殿、今はそんな時では」
「その状態ではまともに動けないでしょうから今日は休んで下さい。俺は馬に乗れないので馬車で行く事になる。出発は明日だ」
無理矢理食事を取らせて酒を飲ませる。
一息ついた所で魔力を込めたリフレッシュを全員に施したが、相当疲れていたのだろう全員一瞬で寝落ちしてしまった。
* * * * * * *
翌朝ノイマンに命じて用意させた馬車にヘイラート様と共に乗り、ロンベルト領スザンヌの街に向けて出発した。
護衛はヒンメル伯爵の騎士達20騎で、王国騎士団の者は此処で休養させて後続と合流しろと命じておいた。
主不在の領地は王家が後任を寄越すはずなので、そちらにお任せだ。
「ご家族と側近の護衛に魔法使いですが」
側近ねぇ
「何時もそうなの」
「はい、主が旅をするときには必ず同行する者達です」
そう言いながらも小狡い表情が浮かび素直に喋ってくれそうもないので、差し向かいでじっくりと尋ねた方が良さそうだ。
階段を上がり執務室に向かおうとすると、聞き慣れた弓弦の音が響いた。
即座にフードを被り伏せると、矢が肉に突き立つ鈍い音と〈ウッ・・・なぜ〉
直ぐにフラッグがシールドで守ってくれたので攻撃者を観察する。
建物内で弓を使うって事は、俺達の事を知っている奴に違いない。
《ランディ、やっつける?》
《殺さずに捕まえたいのでお願い》
《あい、任せて》
返事と共に〈ウオー〉〈ギャアー〉〈後ろに居るぞ!〉と色々聞こえてくる。
攻撃が止んだので射たれた執事を見ると、胸と腹に七本も矢が突き刺さっていてぐったりとしている。
急いで首に手を当てて脈を確認するが、反応が無い。
糞っ、執事が死んだら誰から伯爵の事を聞き出せば良いんだよ!
《ランディス、全部捕まえたよ》
グレイが捕らえた奴等から聞くしかないので、急いでグレイの所へ行くと、全員股間か尻に雷撃を喰らって悶絶していた。
安らかに眠る男達を蹴り上げて強制的に起こしたが、股間や尻の痛みで呻くばかり。
それでも何とか聞き出したが、攻撃命令を出したのは執事で既に死んでいて話にならない。
それに死んだ執事は内政、領地の運営や使用人達の監督が主任務で、他家との交渉などは別な男が担っていたと判った。
そして伯爵は、家族と共に姿が消えている。
面倒な事になったが放置する訳にもいかず、捕らえた騎士達の中から高位の者を選び出す事から始めた。
ヒンメル伯爵家騎士団の副団長ノイマン、彼が今のところ最上位者と判り身分証を突きつけて従わせる。
まぁ最初は少し愚図ったが、残された意味を教えてやりグレイに手伝ってもらうと直ぐに素直になった。
半泣きのノイマンを連れてアッシュの所へ行くと、股間を押さえたり鼻が焦げて失神している警備兵達が転がっている。
アッシュ達も連れて伯爵の執務室に陣取り、ヒューヘン宰相宛てに書状を認めるが、ヒンメル伯爵は家族や側近と共に行方が知れず、王都に来ていないかとの間抜けな文面になってしまった。
ノイマンに命じて王城へ届けろと命じたが、早馬でも3、4日は掛かると言われてしまう。
返事が届くまで八日は動けない事になるので、ツアイス伯爵にも逃げられる恐れがある。
というか、既に逃げ出した後かも知れない。
逃げたのなら逃げたでも良い、奴の屋敷を瓦礫に変えてやる。
* * * * * * *
ランディスがヒンメル伯爵の酒蔵を探訪し、戦利品の酒の味見を楽しんでいた頃、王城に早馬が駆け込んで来た。
門衛に、ランディス殿よりヒューヘン宰相閣下への急報だと告げて書状を差し出すと、即座に係の者に手渡し駆け込んで来た男を待機室にて休ませる。
宰相補佐官のボリスは、またも届いた急報の差出人を確認してうんざりしたが、即座にヒューヘン宰相に届けた。
読み進む宰相の顔が歪み「ボリス、ヒンメル伯爵邸に使者を出して伯爵に即刻出頭しろと命じろ」
「即刻ですか?」
「そうだ、その際に伯爵が不在で王都にいないのなら、伯爵邸を制圧する準備をしておけ。私は陛下に報告してくる」
* * * * * * *
「今度は、ヒンメル伯爵が家族共々消えたと申すのか」
「只今ヒンメル伯爵邸に使者を差し向けていますが、王都到着の連絡を受けていませんので恐らくは・・・」
「逐電か・・・そうなるとツアイス伯爵の動向が気になるな」
「はい、ランディスはツアイス伯爵の執事に聞きたい事があると話したそうですが、金貨200枚でアッシュとグレイ二頭の抹殺を冒険者に命じたのなら、伯爵が知らぬはずがありません。それはランディスもツアイス伯爵も判っているでしょうから、ランディスが向かえば逃げる恐れがあります。バテスト街道沿いの主要三家が崩れますと」
「クラウディオが動くか」
「その場合国境の要である、ブリスト伯爵がどの程度耐えられるかが問題です。ブリスト伯爵とツアイス伯爵の領地の間は、子爵領が二つですが」
「誰だった?」
「フレンディス子爵とマルケル子爵です」
「何方に転ぶと思う」
「強い方に、タイラントに尻尾を振ってはいましたが、ヒンメルやツアイスほどにはのめり込んではいませんでした」
「嬉しい話だな」
「昔の領地をそのまま受け継いでいますので、簡単に領地替えが出来なかったのが祟りました」
「こうなるとランディスだけが頼りか。ホールデンス公爵は未だ王都にいるのか?」
「いえ、領地に戻っていて、嫡男のヘイラートが王都に来ています。公爵殿の言葉では、ランディスへの依頼は彼を通して行っているとの事ですので」
「ではヘイラートを呼べ」
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ヒンメル伯爵邸の酒蔵探訪で、お宝をゲップが出るほど手に入れた。
日々のんべんだらりんと過ごすのも飽きたので、グレイをお供にブラビアの街を散策する。
伯爵不在が漏れたのか街が何となくざわついていて、警備の者達も落ち着かない様子だ。
俺とグレイを見ると、目を逸らして横道に逃げて行くのには閉口した。
テイムされた野獣がいないかと冒険者ギルドの近くまで行くと、ギルドの職員とギルマスらしきおっさんが俺達を睨んでいる。
バネッサで、冒険者達を率いたギルマスを追い返した事が知られている様だ。
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王城に呼び出されたヘイラートは、国王陛下より直々にランディスへの依頼内容を伝えられて、書状を手渡す様に命じられた。
ヒューヘン宰相から手渡された分厚い書状を懐に、王国騎士団の護衛と共にヒンメル伯爵の領都キャランザス領ブラビアに向けて駆け出した。
王都カンタスからブラビアまで馬車で八日の距離を、馬で駆けに駆けて三日半で到着したが、護衛の騎士もヘイラートも疲れ切っていた。
街の入場門で警備兵に「国王陛下の使者である。ヒンメル伯爵の屋敷に案内しろ!」と怒鳴りつけて道案内をさせた。
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「ランディス殿、国王陛下の使者が参っております。ランディス殿を指名しておられますので、玄関ホールまでお越し下さい」
すっかり俺を上位者として扱うノイマンさんが、顔色を変えてやって来た。
やれやれ、これでツアイス伯爵に会いに行けると安堵して玄関ホールに向かえば、王国騎士団を引き連れたヘイラート様が立っていた。
疲れ切った顔で身体が揺れ立っているのがやっとといった状態で、俺の顔を見ると「国王陛下よりランディス殿への書状です」と言って書状を差し出した。
おいおい、以前公爵様や宰相が言っていた事が起きたんじゃないよな。
急ぎ封を切り読めば、ヒンメル伯爵は逐電の疑いありときた。
やはりなと思うが、その後がいただけない。
タイラント公爵を王城に呼び出して取り調べた結果、重用されるホールデンス公爵を妬み、その座を狙い画策していた事。
その為にヒンメル及びツアイス伯爵を使い、クラウディオ王国を利用していたと白状した。
ただ王国の乗っ取り等の証拠はなく自白のみなので、タイラント公爵を処刑すれば国内の動揺を招き、クラウディオ王国だけでなく他国につけ込まれる恐れがある。
その為、タイラント公爵は降格隠居させる事にした。
しかし、ヒンメル伯爵が消えたとなれば行き先はクラウディオ王国に違いなく、ツアイス伯爵も姿を消す恐れがある。
ヒンメル伯爵がクラウディオ王国に逃れたのなら、バテスト街道に領地を持つ三家の力の空白を早々に知られる事になり、クラウディオ王国から侵攻を受ける恐れがあると書かれている。
此処からはホールデンス王国の依頼として、クラウディオ王国からの侵攻を防ぐために、ロンベルト領スザンヌの街に行き、ブリスト伯爵と協力して侵攻を食い止めて欲しいと書かれていた。
依頼料金貨10,000枚とは、張り込んだね。
これって拒否すれば戦争が始まり多大な犠牲が出る事になり、その原因の一端は俺に・・・
攻撃されたので反撃しているだけなのだが、三家を潰したのはお前だと言われたら弁解のしようもない。
依頼を受ければ俺が多数の兵を殺す事になるが、どのみち犠牲が出るのなら少ない方がましか。
「ランディス殿、お返事を」
「仕方がないので引き受けるが、俺の好きにやらせてもらいますよ」
「有り難う御座います。国王陛下より此を預かっております」
ヘイラート様が差し出したのは綺麗な布に包まれたもので、中から出来たのは王国の紋章入り身分証で、星が五つの物だ。
「ヒューヘン宰相閣下と同格として、ブリスト伯爵に対する指揮権を有します。私はランディス殿の補佐としての役を賜っておりますので、ご不審な事があれば何なりとお尋ねください」
ヘイラート様が見せてくれたのは同じ王国の紋章入り身分証で、星が四つ。
クラウディオ王国から攻撃の恐れがなくなるまで有効との事だった。
ふらふらのヘイラート様と護衛の騎士達をサロンで休ませる事にして、俺の世話係をしている執事見習いの男に酒の用意をさせる。
「ランディス殿、今はそんな時では」
「その状態ではまともに動けないでしょうから今日は休んで下さい。俺は馬に乗れないので馬車で行く事になる。出発は明日だ」
無理矢理食事を取らせて酒を飲ませる。
一息ついた所で魔力を込めたリフレッシュを全員に施したが、相当疲れていたのだろう全員一瞬で寝落ちしてしまった。
* * * * * * *
翌朝ノイマンに命じて用意させた馬車にヘイラート様と共に乗り、ロンベルト領スザンヌの街に向けて出発した。
護衛はヒンメル伯爵の騎士達20騎で、王国騎士団の者は此処で休養させて後続と合流しろと命じておいた。
主不在の領地は王家が後任を寄越すはずなので、そちらにお任せだ。
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