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模擬戦をする
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(あれま?そっち使うの?)
腰につけている鞘にヴェールさんが手を伸ばす。
そこから抜かれるのは、片手剣ーー
ではなく、なんとレイピアだった。
(え?レイピアなんて持ってたの?)
これは少し予想外である。
私は、ただヴェールさんがいるのを見て、混ざろうと思って、ついでに練習をしたことないレイピアを使ってみたかっただけなんだけど?
別に無理してレイピア使わなくてもいいんですよ、ヴェールさん?
ヴェールさんがそのレイピアを体の周りで回す。
ビュンビュンと、音を立てて光がキラキラと反射する。
(うわ~!かっこいいな~!)
前世では興味なかったことが今では趣味となっているのはなんとも言えない気分である。
嬉しいような、怖いような。
流石にはものだからね?
怖いという思いはあるわけですよ。
っていうか、あれ真剣じゃね?
今見ると、ヴェールさんが持っているレイピアは真剣だった。
子供相手に真剣だなんて………まあ、私も真剣だけど。
「お嬢さん、この剣を使いな」
「わ!?」
無造作にそのレイピアが私に向かって飛んでくる。
(これを使うの?)
「んで、そっちの方を貸してくれ」
私が先ほど生み出したレイピアを見てくる。
私はとりあえず、剣と剣を交換する。
これなんか意味あるの?
まあ、ヴェールさんがやっているんだからなんか意味があるのだろう。
「剣士ヴェール。いざ参る!」
これは私も挨拶したほうがいいのかな?
カッコつけたかったため、さっきのヴェールさんみたいに剣を回してみる。
「ベアトリス、お相手させていただきます!」
その声でヴェールさんの剣が私の目の前までやってくる。
「ーー!?」
いきなりだったため反応が遅れる。
さっきまで見ていた模擬戦の様子では比べ物にならないほどの速さだった。
(ちょっとまって!?)
下げていた剣を上段まで持ってくる。
ギリギリのところでレイピアが持ち上がり、金属音が鳴り響く。
(そもそも、なんでレイピアで刺突しないんだよ!)
まあ、文句を言うことはできないけどね。
刺突でくると思っていた私も悪いんだろうけど、さすがに考え付かなかった。
ヴェールさんは弾かれた衝撃で一回転し、ステップを踏んで後ろに下がったのち、刺突をする。
だが、刺突を警戒していた私にしてみれば、ありがたい攻撃だった。
体を曲げて、重心を下げる。
そして、足を狙い横なぎ。
もちろんそれが当たるわけもなく、レイピアに阻まれる。
「やっぱり強いですね」
「ふふふ、お嬢さんの方が異常なのに気付いた方がいいんじゃないか?」
失礼な。
私は異常なんかじゃないぞ?
ちょっと剣が扱えるからっていい気になるつもりはこちとらない。
慢心はダメって前世で学んだ。
調子に乗っていいことなんてほとんどなかった。
まあ、そこは察して欲しい。
「では、今度は私から行きますね?」
「こい!」
再び始まる模擬戦。
真剣を使っているからこれはもう模擬戦ではないかもしれないが………。
足に力を集める。
魔力は使わんけど、それなりに早いだろう。
ヴェールさんが魔力を使っていないから、私だけ使っても不公平というもの。
まあ、その代わり全力でやらせてもらうけどね!
右足で地面を蹴る。
それは、三歳の時に傭兵と戦った時よりも圧倒的に早かった。
だがーー
それでも反応してくるヴェールさん。
(嘘………これ私の全力なんだけど!?)
刺突の攻撃はヴェールさんのレイピアによっていなされる。
完全に軌道がばれていた。
「ふん!」
刺突攻撃のお返し。
弾かれた私のレイピアは動かない。
動体視力のみでそれを避ける。
バサッと音がし、私の髪の毛が数本抜け落ちる。
避けた反動で、体のバランスを崩し、後ろに倒れる。
(いや、頭狙うのやめーや!)
リアルに殺しにきてるでしょ!
それとも私のこと不死身とでも思ってるん?
「あああぁぁ!」
多少声は出たものの、バランスを崩した体をうまく利用し、私はレイピアを振り上げる。
下から上の攻撃はヴェールさんも予想してなかったのか、若干目を見開く。
しかし、バックステップでそれを避けられ、私はそれと同時に尻餅をつく。
体を後転でもって後ろに下げる。
再び硬直状態ーー
(いや、強すぎでしょ!)
私よりも強いんじゃないだろうか?
普段片手剣を使っているのに、レイピアの方が上手く扱えているのでは?
ほんと勘弁して欲しいものだ。
ため息が出そうになるが、私はそれを押し殺して、ヴェールさんの相手に戻る。
♦︎♢♦︎♢♦︎
やはり強かった。
なんとなく、私は相手の強さが見ればわかる。
優秀な冒険者になると、格上か格下かだけではなく、どれくらいの強さか、“ある指標“を使って表すことができるらしい。
私ができるのは格上かどうか見分けるのみだが………。
だけど、一つ思うのはーー
(最近の五歳児ってこんなに強いの?)
時代は進み、進化する。
だが、これは流石にあり得ない。
(私が鍛え上げた約十数年とは一体なんだったんだ?)
私が子供相手に本気になっていることは一部の見ている人には分かっていることだろう。
まあ、大半の人は目で追えていないようだが………。
しょうがないじゃないか!
こんだけ強いなんて思ってなかったんだ!
私はただ、戦うことで今現在持っている“悩み“が少しは解消されると思ってた。
まあ、実際解消はされているんだけど、新たに『私って弱いんじゃないか』問題が生まれ、結局なんの解決にもならなかった。
(慢心はいけないってことかな)
この戦いで得た教訓。
この子に常識は通用しない。
そう思っておくことにしよう。
そしてーー
それは突然やってきた。
「私の負けです」
「……………は?」
思わず声が漏れてしまった。
ベアトリスが黒い髪をなびかせながら答える。
「このままいけば私がジリ貧で負けると思ったからです」
『まあ、地力の差ですね』と笑いながら………。
いや、明らかに嘘でしょ?
だってーー
(汗一つかいてないじゃないか!)
その綺麗な黒髪は汗でベタついた様子はなく、いまだにサラッとしていた。
この分じゃ私の方が汗をかいている。
連戦であったこともあってか、私の髪はいつもよりもベタついていた。
「今回は私の負けですけど、次は負けませんからね!」
元気よく返事をするお嬢さん。
そしてーー
「あぁ!なんだか用事があったようなぁ~!じゃあ、そういうことで!」
と、私の剣その場に置いて、訓練場の入り口までかけていく。
「え?あ!このレイピア………は………どうしよう」
勢いよく飛び出して行ったベアトリスを止めることはできずに、何処かへ行ってしまった。
「なんだったんだ?」
まあ、用事があるのなら仕方ない。
だが、借りた剣を持っておくのは“決闘“のルール上よくない。
手袋などを交換したり、握手の時に………なんてものが一般的だが、剣の交換もこれに該当する。
まあ、剣を交換してくれたら決闘していいよという合図である。
とにかく!
この剣は早く返さなければ………。
私はベアトリスを追いかけようとするがーー
「あんた、凄かったよ!」
「ああ、ほんとだ!」
それを見ていた冒険者の仲間たちが私の剣技に驚いて、執拗に迫ってくる。
男性女性問わず、あの戦いはどうにも盛り上がる部分があったらしく、全員が全員興奮していた。
「あはは………あの、一回離れてくださいー!」
私の声は誰にも届かない。
その最中ーー
「?」
「ん?どうしたんだ、ヴェール?」
「いや、なんでもない」
きっと気のせいだろう。
何かおぞましい気配がこちらに向いていたような………。
だが、きっと勘違いだ。
その先にいた人物は私の知らない人物だった。
一つだけ印象に残っていたのは、小さい体の割に、瞳に光が宿っていなかったことぐらいか………。
(っと、それよりもこの剣………レイピアを返さなくては!)
腰につけている鞘にヴェールさんが手を伸ばす。
そこから抜かれるのは、片手剣ーー
ではなく、なんとレイピアだった。
(え?レイピアなんて持ってたの?)
これは少し予想外である。
私は、ただヴェールさんがいるのを見て、混ざろうと思って、ついでに練習をしたことないレイピアを使ってみたかっただけなんだけど?
別に無理してレイピア使わなくてもいいんですよ、ヴェールさん?
ヴェールさんがそのレイピアを体の周りで回す。
ビュンビュンと、音を立てて光がキラキラと反射する。
(うわ~!かっこいいな~!)
前世では興味なかったことが今では趣味となっているのはなんとも言えない気分である。
嬉しいような、怖いような。
流石にはものだからね?
怖いという思いはあるわけですよ。
っていうか、あれ真剣じゃね?
今見ると、ヴェールさんが持っているレイピアは真剣だった。
子供相手に真剣だなんて………まあ、私も真剣だけど。
「お嬢さん、この剣を使いな」
「わ!?」
無造作にそのレイピアが私に向かって飛んでくる。
(これを使うの?)
「んで、そっちの方を貸してくれ」
私が先ほど生み出したレイピアを見てくる。
私はとりあえず、剣と剣を交換する。
これなんか意味あるの?
まあ、ヴェールさんがやっているんだからなんか意味があるのだろう。
「剣士ヴェール。いざ参る!」
これは私も挨拶したほうがいいのかな?
カッコつけたかったため、さっきのヴェールさんみたいに剣を回してみる。
「ベアトリス、お相手させていただきます!」
その声でヴェールさんの剣が私の目の前までやってくる。
「ーー!?」
いきなりだったため反応が遅れる。
さっきまで見ていた模擬戦の様子では比べ物にならないほどの速さだった。
(ちょっとまって!?)
下げていた剣を上段まで持ってくる。
ギリギリのところでレイピアが持ち上がり、金属音が鳴り響く。
(そもそも、なんでレイピアで刺突しないんだよ!)
まあ、文句を言うことはできないけどね。
刺突でくると思っていた私も悪いんだろうけど、さすがに考え付かなかった。
ヴェールさんは弾かれた衝撃で一回転し、ステップを踏んで後ろに下がったのち、刺突をする。
だが、刺突を警戒していた私にしてみれば、ありがたい攻撃だった。
体を曲げて、重心を下げる。
そして、足を狙い横なぎ。
もちろんそれが当たるわけもなく、レイピアに阻まれる。
「やっぱり強いですね」
「ふふふ、お嬢さんの方が異常なのに気付いた方がいいんじゃないか?」
失礼な。
私は異常なんかじゃないぞ?
ちょっと剣が扱えるからっていい気になるつもりはこちとらない。
慢心はダメって前世で学んだ。
調子に乗っていいことなんてほとんどなかった。
まあ、そこは察して欲しい。
「では、今度は私から行きますね?」
「こい!」
再び始まる模擬戦。
真剣を使っているからこれはもう模擬戦ではないかもしれないが………。
足に力を集める。
魔力は使わんけど、それなりに早いだろう。
ヴェールさんが魔力を使っていないから、私だけ使っても不公平というもの。
まあ、その代わり全力でやらせてもらうけどね!
右足で地面を蹴る。
それは、三歳の時に傭兵と戦った時よりも圧倒的に早かった。
だがーー
それでも反応してくるヴェールさん。
(嘘………これ私の全力なんだけど!?)
刺突の攻撃はヴェールさんのレイピアによっていなされる。
完全に軌道がばれていた。
「ふん!」
刺突攻撃のお返し。
弾かれた私のレイピアは動かない。
動体視力のみでそれを避ける。
バサッと音がし、私の髪の毛が数本抜け落ちる。
避けた反動で、体のバランスを崩し、後ろに倒れる。
(いや、頭狙うのやめーや!)
リアルに殺しにきてるでしょ!
それとも私のこと不死身とでも思ってるん?
「あああぁぁ!」
多少声は出たものの、バランスを崩した体をうまく利用し、私はレイピアを振り上げる。
下から上の攻撃はヴェールさんも予想してなかったのか、若干目を見開く。
しかし、バックステップでそれを避けられ、私はそれと同時に尻餅をつく。
体を後転でもって後ろに下げる。
再び硬直状態ーー
(いや、強すぎでしょ!)
私よりも強いんじゃないだろうか?
普段片手剣を使っているのに、レイピアの方が上手く扱えているのでは?
ほんと勘弁して欲しいものだ。
ため息が出そうになるが、私はそれを押し殺して、ヴェールさんの相手に戻る。
♦︎♢♦︎♢♦︎
やはり強かった。
なんとなく、私は相手の強さが見ればわかる。
優秀な冒険者になると、格上か格下かだけではなく、どれくらいの強さか、“ある指標“を使って表すことができるらしい。
私ができるのは格上かどうか見分けるのみだが………。
だけど、一つ思うのはーー
(最近の五歳児ってこんなに強いの?)
時代は進み、進化する。
だが、これは流石にあり得ない。
(私が鍛え上げた約十数年とは一体なんだったんだ?)
私が子供相手に本気になっていることは一部の見ている人には分かっていることだろう。
まあ、大半の人は目で追えていないようだが………。
しょうがないじゃないか!
こんだけ強いなんて思ってなかったんだ!
私はただ、戦うことで今現在持っている“悩み“が少しは解消されると思ってた。
まあ、実際解消はされているんだけど、新たに『私って弱いんじゃないか』問題が生まれ、結局なんの解決にもならなかった。
(慢心はいけないってことかな)
この戦いで得た教訓。
この子に常識は通用しない。
そう思っておくことにしよう。
そしてーー
それは突然やってきた。
「私の負けです」
「……………は?」
思わず声が漏れてしまった。
ベアトリスが黒い髪をなびかせながら答える。
「このままいけば私がジリ貧で負けると思ったからです」
『まあ、地力の差ですね』と笑いながら………。
いや、明らかに嘘でしょ?
だってーー
(汗一つかいてないじゃないか!)
その綺麗な黒髪は汗でベタついた様子はなく、いまだにサラッとしていた。
この分じゃ私の方が汗をかいている。
連戦であったこともあってか、私の髪はいつもよりもベタついていた。
「今回は私の負けですけど、次は負けませんからね!」
元気よく返事をするお嬢さん。
そしてーー
「あぁ!なんだか用事があったようなぁ~!じゃあ、そういうことで!」
と、私の剣その場に置いて、訓練場の入り口までかけていく。
「え?あ!このレイピア………は………どうしよう」
勢いよく飛び出して行ったベアトリスを止めることはできずに、何処かへ行ってしまった。
「なんだったんだ?」
まあ、用事があるのなら仕方ない。
だが、借りた剣を持っておくのは“決闘“のルール上よくない。
手袋などを交換したり、握手の時に………なんてものが一般的だが、剣の交換もこれに該当する。
まあ、剣を交換してくれたら決闘していいよという合図である。
とにかく!
この剣は早く返さなければ………。
私はベアトリスを追いかけようとするがーー
「あんた、凄かったよ!」
「ああ、ほんとだ!」
それを見ていた冒険者の仲間たちが私の剣技に驚いて、執拗に迫ってくる。
男性女性問わず、あの戦いはどうにも盛り上がる部分があったらしく、全員が全員興奮していた。
「あはは………あの、一回離れてくださいー!」
私の声は誰にも届かない。
その最中ーー
「?」
「ん?どうしたんだ、ヴェール?」
「いや、なんでもない」
きっと気のせいだろう。
何かおぞましい気配がこちらに向いていたような………。
だが、きっと勘違いだ。
その先にいた人物は私の知らない人物だった。
一つだけ印象に残っていたのは、小さい体の割に、瞳に光が宿っていなかったことぐらいか………。
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