“元“悪役令嬢は二度目の人生で無双します(“元“悪役令嬢は自由な生活を夢見てます)

翡翠由

文字の大きさ
52 / 504

ドワーフは見た(とあるドワーフ視点)

しおりを挟む
度々の前書き失礼します。感想くださる方、すごく励みになります……本当にありがとうございます!

そして、基本的な投稿頻度ですが、一日6本以上12本以下の割合で投稿していく予定です。書き溜めがなくなるまでこの頻度です。まだまだ先は長いので、どうかゆったり読み進めてください♪




















「またか……」

 いつも通り魔物が出没した。
 それはいいんだが。

「最近数が増えてきたな」

 元々魔物の出現が少ない場所を選んで住んでいるというのに、これじゃ意味がなくなってしまう。

 何十年も住んでいるので、今更感は否めないが。

 俺はドワーフだ。
 ドワーフに戦う術なんてものは持ち合わせてない。

 なぜなら、服や防具を作ることしか取り柄がないからだ。
 それならばどうやって戦うか……。

「この剣を使うかな」

 自らが作り上げた最高の剣。
 文字通り、この世界の中でも良い品質の剣に分類されるとは思う。

 そんな剣を使えば、自ずと体もそれに近づく。
 剣を持った瞬間体が軽くなる。

 付与剣だ。
 この剣は魔法を付与された剣。

 名前の通りだが、効果は絶大だった。

「共同制作ってのは、いいもんだな」

 いまではもう散っていった、仲間たち。
 そのうちの一人と共同で作ったこの剣は思い出の品とも言えるだろう。

「だが、悪いが命のためなんでな。折れても文句を言うなよな」

 剣に言い聞かせる。
 そう、これは生きるか死ぬかだ。

 魔物の発生地帯までたどり着く。

「サンドワーム?なんでこんなところにいるんだ?」

 砂の中に潜って、奇襲を仕掛ける戦い方をするサンドワーム。
 それの攻略難度はBランク。

 冒険者組合が定めている基準値では、Aランクにも変動することがある。
 それだけ、強いと言うことだ。

 だが、かつての仲間に比べれば雑魚も同然だった。

「まあ、仲間の中では最弱だったがな」

 自分が弱いから守られてきた。
 しかし、自分だって男だ。

 やるときはやる。

 雄叫びなどは一切あげずに、サンドワームに斬りかかる。

 直撃した斬撃の後から嫌な匂いがしてくる。
 そんなものにも慣れてしまった自分がいるのが、なんとも恐ろしい。

「二撃目!」

 手にする剣を上段に構え、振り下ろす。
 装甲が硬い敵ほどめんどくさいものはいない。

 重撃でしか、傷がつけられないのだから。

「Bランクはこんなものだな」

 ドワーフの中で言ったら自分は最強なのかもしれない。
 ドワーフで戦える人材がいないと言うのもあるがな。

「とどめだ!」

 巨大なサンドワームの攻撃を剣一本で防ぐには限界がある。
 ここでさっさと仕留めて——

「!?」

 再び、地面がきしめく音がした。
 地面の中から現れたのはサンドワームだった。

「二体目かよ……!」

 これじゃあ、サンドワームじゃなくて、アースワームの方が正しいんじゃないか?

 そんなくだらないことを考えている間に、一体目の方に攻撃できず、逆に反撃をくらってしまう。

「グッ!」

 重たい一撃だ。
 軽装とは言え、鎧を着てなかったら、死んでいたかもしれない。

 飛び退き、崖側で着地する。

「くそ!」

 二体のサンドワームがこちらに迫ってくる。

「もう無理か……」

 崖から降りて逃げるか?
 それが最も生き残る可能性があるが……。

 どっちにしろ変わらないか。

「ここで食い止めなくちゃ、領が危ねえんだよ!俺は逃げねえぞ!」

 そんな時だった。

「その思い、しかと受け止めました」

「?」

 誰かの声がする。
 若い女性……いや、子供の声だった。

 どことなく、威厳があって、芯が強くよく通る声だった。

 サンドワームが吹き飛ぶ。

 ……………。

 ん?
 サンドワームが吹き飛ぶ?

 自分で考えておいてなんだが、何が起こったんだ?
 吹き飛んだサンドワームは自分の頭上をこえ、反対の崖まで、吹き飛ばされていた。

 そこに叩き込まれたのは、手刀。

 ……………。

 ん?
 手刀?

 今、小さい体が高速移動して、手刀を叩き込まなかった?
 それに、なんなのあの威力は?

 サンドワームの首と胴体が泣き別れしてしまった。

「つ、強い……」

 だが、まだサンドワームは一体残っている。

 そして——

「おじさん、大丈夫?」

「え?あ、ああ」

 今度は少年の声がした。
 いつの間にか目の前に現れた、少年はサンドワームなんて気にしていないかのように、俺に手を差し伸ばしてくる。

「お、おい!後ろ後ろ!」

「?」

「サンドワームだよ!」

「ああ、それなら大丈夫」

 何が大丈夫なんだ!と、言おうとしたあたりでその言葉が正しかった意味を知る。

「『空気断裂エアスラッシュ』」

 後ろで声がしたかと思ったら、目の前にいたはずのサンドワームは真っ二つになってしまっていた。

「あ、あぁ」

「おじさん大丈夫?」

「もう、何が起こっておるのかさっぱりだ」

 再び、女児の声がする。

「サンドワーム、討伐完了よ。そこのドワーフさん。無事ですか?」

「ああ、全然平気だ」

 崖の反対側にいる少女がこちらまでジャンプしてくる。

 ……………。

 もうツッコムのはよしておこう。

「それで、子供たちがここまで何をしにいたのかな?」

 助けてもらった分際で、この質問は失礼だと思うが、相手は子供なのだ。
 いくら強かったとしても、子供二人で森の中に入るのは危険すぎる。

「えっと、ここで鍛治屋を探しているんですよぉ」

「鍛冶屋とな」

「うんうん、魔物の出現率が低いこの森なら、きっといるだろうと思ってきたんです。実際いましたし」

「!?」

 もうバレているか……。
 何も隠す必要もないので、俺は正直に答える。

「そうだな、俺が鍛冶屋なのは間違いない」

「やっと、見つけたの?」

「これで、なんとかなりそうね」

 少年の方はどことなく疲れ切った顔をしている。
 対して、少女は鋭い瞳をさらに鋭くさせている。

 一瞬睨まれているのかと思ったが、そこは助けてくれた方。
 そんなことをする必要がないだろうと思って、ついついやってしまう癖のようなものだ、と、捉えることにした。

「俺に依頼か?」

「ええ、強い剣が欲しくて」

「素材にもよるんだが、どんな素材がいいんだ?」

「う~ん、できれば強度重視で。威力が乗せやすいものがいいですね」

「お主たちは俺を助けてくれた。もちろんお代はタダにしてやるが……」

 素材はどうしようもない。
 鍛治をしていて、素材が足りないことはよくある。

 ついつい没頭してしまい、入手するのを忘れていたりなどが原因だ。
 だが、それ以前に、強度がとても高いものとなると、入手すること自体が難しい。

 この二人の頼みとなれば、叶えてやりたいが、そんな素材があるかどうか……。

「それならご安心を」

「?」

 少女がニヤリと笑みを浮かべて言い放った。

「素材は私たちが準備しますので」
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン
ファンタジー
前世で重度の病人だった少年が、普人と変わらないくらい貧弱な身体に生まれた竜人族の少年ヤーウェルトとして転生する。ひたすらにマイペースに前世で諦めていたささやかな幸せを噛み締め、面倒くさい奴に絡まれたら鋼の精神力と図太い神経と植物の力を借りて圧倒し、面倒事に巻き込まれたら頼れる家族や仲間と植物の力を借りて撃破して、時に周囲を振り回しながら生きていく。 タイトルロゴは美風慶伍 様作で副題無し版です。 小説家になろうでも公開しています。 https://ncode.syosetu.com/n5715cb/ カクヨムでも公開してします。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887026500 ●現状あれこれ ・2021/02/21 完結 ・2020/12/16 累計1000000ポイント達成 ・2020/12/15 300話達成 ・2020/10/05 お気に入り700達成 ・2020/09/02 累計ポイント900000達成 ・2020/04/26 累計ポイント800000達成 ・2019/11/16 累計ポイント700000達成 ・2019/10/12 200話達成 ・2019/08/25 お気に入り登録者数600達成 ・2019/06/08 累計ポイント600000達成 ・2019/04/20 累計ポイント550000達成 ・2019/02/14 累計ポイント500000達成 ・2019/02/04 ブックマーク500達成

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

処理中です...