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二年ぶり
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「二年?二年じゃないでしょ、二か月とかの間違いじゃない?」
「え?」
「え?」
見つめあう私と理事長……。
「冗談じゃないんですか?」
「襲撃事件を出してまで冗談言うほど、私は卑劣じゃないよ~」
「ですよね……」
「って、もしかしてだけど……二年たってたって知らなかったの?」
後ろを振り向けば顔を見合わせた後、首を縦に振る二人の姿が目に入る。
「はい、知りませんでした……」
「そうなのね、まあそういうわけだから」
「はぁ……」
ため息をつきながら、部屋から出る。
残る二人も部屋から出て、ドアが閉まったのを確認してからお互いの顔を再度見合わせる。
「二人も知らなかったの?」
「知らなかったよ……」
と、レオ君。
「知ってらすぐ教えるよ」
「まあ、そうだよね……」
じゃあなんで、理事長と私たちの間で認識の齟齬があったのだろうか?
普通に考えて、何年たったか……つまり、何日たったか忘れるなんてあまりないと思うのだが……。
ましてや三人全員が間違えるなんてありえることだろうか?
いや、ありえない。
つまり……
「うーん……」
わからん!
「ひとまず、私たちの部屋に行ってみない?」
「賛成!」
「うん」
全員の意見が揃ったところで、私たちは理事長に支給された部屋に向かうのだった。
♦♢♦♢♦
「ここかぁ……」
「ご主人様?少しがっかりしてる?」
「いや、だって生徒としてここにいた時と、何ら変わらないんだもん」
生徒としてここに滞在していた時と、同じ部屋。
特に代わり映えもないので、見慣れた光景としか思えない。
しかも、ここって私が生徒時代使ってた部屋じゃない?
(まさかの完全一致)
開いた窓から見える景色が全く一緒だ。
今ではもう一緒に暮らしていた二人ももういないと思うと、なんだか悲しいな……。
「僕、一番上がいい!」
そう言ってユーリが飛び上がる。
キツネのくせして布団に入ると、すぐに寝てしまった。
(キツネって夜行性じゃ……)
まあ、キツネと言っても元は魔族か。
どうも、この『愛玩動物』が魔族とは思えないのよね……。
そんなことを考えていると、扉がノックされる。
「ん?どちら様だろ」
一応今では先生用の寝床として使われている部屋だから、生徒が間違って入ってくるなんてことはないと思うが……。
「失礼します」
「!?」
待って、今の声どっかで聞いたことあるような……。
開いた扉から入ってくるのは茶髪の長い髪の毛がきれいにまとまっている少女であった。
「オリビア!?」
「久しぶりですね、ベアトリスさん!」
入ってきたのはオリビアであった。
服装は生徒用の制服であり、それはオリビアがここの生徒であることを示している。
「オリビア、もしかして飛び級した?」
仮に二年たっていたとしても、学年的にオリビアが大学院に行くことはできないはず……なのにこの場にこうして姿を現したということは。
「その通りです、一応首席でしたから」
そう、いい笑顔で笑いかけるオリビアであった。
「それにしても、二年ぶりですね。公爵領はその……大変でしたね」
ねぎらいの言葉をかけてくれる辺り、やっぱり『聖女』なんだなと実感する。
それにしても、
「やっぱり二年たってるのかぁ……」
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもないよ。あ、そういえばオリビアは聖女になったの?」
初めて会った時のオリビアは聖女候補であり、決して聖女ではなかった。でも、飛び級できる実力があると学院側が判断したのであれば、その答えは一つだろう。
「はい!」
「それはおめでとう!」
「ありがとうございます!それもこれも、ベアトリスさんのおかげですね!」
「私のおかげ?」
うーむ、なにか手助けをした記憶はないのだが……。
「私が何者かに体を乗っ取られていた時、助けてくれたじゃないですか!」
「あー!あのときね、ほんとにどうしようかと思ったよ!」
そう昔の雑談に花が咲き始めたところ、ふとオリビアが隣にいたレオ君の存在に気づく。
「あ!失礼しました。その……」
名前を知らないオリビアが口籠るのは当然。
というわけで、レオ君は自己紹介する。
「レオと言います。よろしく」
「はい!よろしくお願いしますね!」
オリビアが手を差し出し、レオ君も手を握り握手をする。
だが、オリビアはレオ君の手を中々放そうとしなかった。
「あのー……」
レオ君の困ったような声で、ようやく我に返ったのかオリビアは後ろにはねのく。
「す、すみません!獣人というものおを見たのが、初めてだったもので……」
「そ、そうなの?」
「はい、とてもモフモフしてますね!」
「あ、どうも……」
困ったような顔をしているレオ君。
(いやぁ、なんだか青春してるね~)
前世を含めた合計年齢がおばさんの私にとっては少年少女の恋愛なんて、恋愛小説の中だけのお話だからなー。
「いいわぁ……」
そう感想を漏らす。
「何がです?」
「何でもないよ。あ、忘れてた。上で寝てるあの子、ユーリって子なんだ」
「ユーリさんですね!寝ているようですので、また今度ご挨拶させてもらいますね」
獣人組の自己紹介が終わったところで、私は聞きたかったことを聞く。
「そういえば、私がいなかった二年間で、何かあったりした?」
それを聞いた理由は、私の知り合いだからとオリビアやレイが狙われてないか気になったためである。
オリビアはこの場にいるため、無事なのはわかるが、レイは一体……。
「わかりました、色々とお話ししますので、今夜は覚悟しておいてくださいね!」
「おお!まっかせろ!」
そうして、レオ君置いてけぼりの談議で盛り上がるのだった。
「え?」
「え?」
見つめあう私と理事長……。
「冗談じゃないんですか?」
「襲撃事件を出してまで冗談言うほど、私は卑劣じゃないよ~」
「ですよね……」
「って、もしかしてだけど……二年たってたって知らなかったの?」
後ろを振り向けば顔を見合わせた後、首を縦に振る二人の姿が目に入る。
「はい、知りませんでした……」
「そうなのね、まあそういうわけだから」
「はぁ……」
ため息をつきながら、部屋から出る。
残る二人も部屋から出て、ドアが閉まったのを確認してからお互いの顔を再度見合わせる。
「二人も知らなかったの?」
「知らなかったよ……」
と、レオ君。
「知ってらすぐ教えるよ」
「まあ、そうだよね……」
じゃあなんで、理事長と私たちの間で認識の齟齬があったのだろうか?
普通に考えて、何年たったか……つまり、何日たったか忘れるなんてあまりないと思うのだが……。
ましてや三人全員が間違えるなんてありえることだろうか?
いや、ありえない。
つまり……
「うーん……」
わからん!
「ひとまず、私たちの部屋に行ってみない?」
「賛成!」
「うん」
全員の意見が揃ったところで、私たちは理事長に支給された部屋に向かうのだった。
♦♢♦♢♦
「ここかぁ……」
「ご主人様?少しがっかりしてる?」
「いや、だって生徒としてここにいた時と、何ら変わらないんだもん」
生徒としてここに滞在していた時と、同じ部屋。
特に代わり映えもないので、見慣れた光景としか思えない。
しかも、ここって私が生徒時代使ってた部屋じゃない?
(まさかの完全一致)
開いた窓から見える景色が全く一緒だ。
今ではもう一緒に暮らしていた二人ももういないと思うと、なんだか悲しいな……。
「僕、一番上がいい!」
そう言ってユーリが飛び上がる。
キツネのくせして布団に入ると、すぐに寝てしまった。
(キツネって夜行性じゃ……)
まあ、キツネと言っても元は魔族か。
どうも、この『愛玩動物』が魔族とは思えないのよね……。
そんなことを考えていると、扉がノックされる。
「ん?どちら様だろ」
一応今では先生用の寝床として使われている部屋だから、生徒が間違って入ってくるなんてことはないと思うが……。
「失礼します」
「!?」
待って、今の声どっかで聞いたことあるような……。
開いた扉から入ってくるのは茶髪の長い髪の毛がきれいにまとまっている少女であった。
「オリビア!?」
「久しぶりですね、ベアトリスさん!」
入ってきたのはオリビアであった。
服装は生徒用の制服であり、それはオリビアがここの生徒であることを示している。
「オリビア、もしかして飛び級した?」
仮に二年たっていたとしても、学年的にオリビアが大学院に行くことはできないはず……なのにこの場にこうして姿を現したということは。
「その通りです、一応首席でしたから」
そう、いい笑顔で笑いかけるオリビアであった。
「それにしても、二年ぶりですね。公爵領はその……大変でしたね」
ねぎらいの言葉をかけてくれる辺り、やっぱり『聖女』なんだなと実感する。
それにしても、
「やっぱり二年たってるのかぁ……」
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもないよ。あ、そういえばオリビアは聖女になったの?」
初めて会った時のオリビアは聖女候補であり、決して聖女ではなかった。でも、飛び級できる実力があると学院側が判断したのであれば、その答えは一つだろう。
「はい!」
「それはおめでとう!」
「ありがとうございます!それもこれも、ベアトリスさんのおかげですね!」
「私のおかげ?」
うーむ、なにか手助けをした記憶はないのだが……。
「私が何者かに体を乗っ取られていた時、助けてくれたじゃないですか!」
「あー!あのときね、ほんとにどうしようかと思ったよ!」
そう昔の雑談に花が咲き始めたところ、ふとオリビアが隣にいたレオ君の存在に気づく。
「あ!失礼しました。その……」
名前を知らないオリビアが口籠るのは当然。
というわけで、レオ君は自己紹介する。
「レオと言います。よろしく」
「はい!よろしくお願いしますね!」
オリビアが手を差し出し、レオ君も手を握り握手をする。
だが、オリビアはレオ君の手を中々放そうとしなかった。
「あのー……」
レオ君の困ったような声で、ようやく我に返ったのかオリビアは後ろにはねのく。
「す、すみません!獣人というものおを見たのが、初めてだったもので……」
「そ、そうなの?」
「はい、とてもモフモフしてますね!」
「あ、どうも……」
困ったような顔をしているレオ君。
(いやぁ、なんだか青春してるね~)
前世を含めた合計年齢がおばさんの私にとっては少年少女の恋愛なんて、恋愛小説の中だけのお話だからなー。
「いいわぁ……」
そう感想を漏らす。
「何がです?」
「何でもないよ。あ、忘れてた。上で寝てるあの子、ユーリって子なんだ」
「ユーリさんですね!寝ているようですので、また今度ご挨拶させてもらいますね」
獣人組の自己紹介が終わったところで、私は聞きたかったことを聞く。
「そういえば、私がいなかった二年間で、何かあったりした?」
それを聞いた理由は、私の知り合いだからとオリビアやレイが狙われてないか気になったためである。
オリビアはこの場にいるため、無事なのはわかるが、レイは一体……。
「わかりました、色々とお話ししますので、今夜は覚悟しておいてくださいね!」
「おお!まっかせろ!」
そうして、レオ君置いてけぼりの談議で盛り上がるのだった。
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