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再会と別れ
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だが、それもすぐに消え去る。いや、少し薄まった。
「お嬢様?」
「待たせて、ごめん……」
「お嬢様!」
いつものミサリーなら凄まじい速度で抱きついてきたりするのかとも思っていたのだが、そんなことはなかった。
しかし、その理由もすぐわかる。
「脚、怪我してるの?」
「私のことは大丈夫です!お嬢様、あぁ……」
脚には変色した部分があり、その部分から動きが鈍い。
代わりに、私が近寄って抱きしめる。
「ずっと……ずっと待っていました!」
「そうだね、本当にありがとう」
久しぶりに触れるミサリーの体はなんだかとても細々としている。まともにご飯を食べていないのだろう。
だが、なぜだか魔力的な……内側から溢れる力の量は増えている。その理由はおそらく、この二年間の間に悪魔を狩り続けたからだろう。
流石にずっと戦い続けたわけではないだろうけど、それでもやはり過酷な環境の中だったと思う。
「そうだ、私三日後の朝にここを去るんだけど、ミサリーは一緒に……」
「行きます!絶対についていきます!何がなんでも、もう一人でいるのは無理です」
より一層抱きしめられる力が強くなるが、それでも力が弱い。それほど弱っていたのだろう。
「そうだ、お嬢様に一つ言っておきたいことがあったんです」
言っておきたいこと?
「実は……」
と、語られたのはあの悪魔の少女についてだった。どうやら、悪魔の少女は私が消えた2年前にミサリーに接触していたらしい。
その時に意味深なことを言われたそうだ。
『あなたの主人と一緒』
その言葉の意味が指し示すのは一体なんなんだろうか?私と同じ。
一体何が同じ?
「まあ、そんなこと気にしないでいいわ」
「でも!」
「それより今はミサリーの体調の方が心配なんだけど?」
そういうと、はっ!とようやく自分の容体がわかったのか、いきなりぐ~、とお腹が鳴る音が響いた。
「あ、はは。すみません……」
と言いつつ、私の後ろにある気配に気付いたのかそちらの方向に視線を動かす。そこに立っていたのはユーリとレオ君だった。
あ、そういえば人間状態のユーリとミサリーは初対面だし、一体どんな反応を示したくれるのか……ユーリの美しさに女の子だと勘違いするのか、はたまた……。
そんなことを考えていたら、全く予想外な回答が返ってきた。
「ユーリちゃん!」
「え?」
「久しぶりー!」
嬉しそうに手を振るミサリー。それに困惑しつつ手を振り返すユーリ。
「きゃー!手を振ってもらっちゃった!」と推しに手を振ってもらったかのごとき乙女がそこにはいた。
「よ、よくユーリだって気づいたね。私が見たときは……」
「そりゃあ気付きますよ!その後ろから生えている尻尾!何度も何度も触らせてもらえないで、寝ているところをただただ眺めていたんですから!」
「ひっ……」
後ろから悲鳴のようなものが聞こえたが、おそらく気のせいだろう。
「それに……やっぱりの私の予想通りユーリちゃんは男の子だったんですね!」
なんでそれもわかったの!?
「だって、そんなの見ればわかるじゃないですか!」
「どこで!?」
もういいや。ミサリーはどうやら元気を取り戻したらしい。
「あのー、僕もいるんだけど?」
「あ、レオ君。元気そうで何よりです」
「あっはい」
なんだかやけにあっさりとした反応で少し寂しそうにしているレオ君。大丈夫、あなたには私がついてるから、そんな泣きそうな顔しないで頂戴。
「じゃあ、そろそろ下にいきましょう」
「だ、ダメです!下には変なツノが生えた人たちが大量にたむろしているんです!今の私では全員を殺し切るのはできないので、ここまで避難を……」
っと、なんでミサリーが悪魔の見つかりやすい高台にいたのか少しわかった気がする。
「大丈夫、その人たちは鬼人と言って、私の……友達の仲間よ」
「ってことは?」
「攻撃してきたりしないから安心して?」
ミサリーの手を持って立ち上がらせると、屋根裏を伝ってゆっくりと降りていく。
途中で、またあのカーペットが敷かれた場所までやってきたが、今度は表情を悟られないように、顔を硬らせてなんとか耐えた。
そして、丘を降りて街まで戻ってくると、自由に行動しているはずの生徒たちはなぜだか一か所に集まっていた。
「何してるの?」
「あ、いや……」
一人の生徒が声をあげた。
「何?」
生徒たちは何かを囲むように、広がっていた。
その中心には一体何があるのか、生徒たち自身も困惑した表情をしていたので、何があるのかは皆目見当もつかない。
生徒たちをどかして、その中心にある何かを私も覗き込む。そこにあったのは、豪華な装飾が施された小さな箱だった。
「これ何?」
「さあ……リョウヘイの鑑定でも内容がわからなかったらしいです」
鑑定!?それって超便利スキルじゃん!
羨ましいとは思いつつ、私は箱を手にとった。だが、触った瞬間私は異変に気付いた。
「先生!」
「何これ、手が黒くなったんだけど?」
痛みやら痒みやらは何一つとして感じていないが、箱に触った掌の部分から変色していた。
黒くなって、まるで何かの魔法陣のような幾何学的な紋様。リョウヘイに再び鑑定を頼んでみるが、何かはわからなかったようだ。
しょうがないので、これは放置しよう。
私の作った異空間にそれを放り込むと、
「ちょうどよくみんな集まってるようだし、一つ先生から大事な報告があります」
私は『あの件』について話すことにするのだった。
「お嬢様?」
「待たせて、ごめん……」
「お嬢様!」
いつものミサリーなら凄まじい速度で抱きついてきたりするのかとも思っていたのだが、そんなことはなかった。
しかし、その理由もすぐわかる。
「脚、怪我してるの?」
「私のことは大丈夫です!お嬢様、あぁ……」
脚には変色した部分があり、その部分から動きが鈍い。
代わりに、私が近寄って抱きしめる。
「ずっと……ずっと待っていました!」
「そうだね、本当にありがとう」
久しぶりに触れるミサリーの体はなんだかとても細々としている。まともにご飯を食べていないのだろう。
だが、なぜだか魔力的な……内側から溢れる力の量は増えている。その理由はおそらく、この二年間の間に悪魔を狩り続けたからだろう。
流石にずっと戦い続けたわけではないだろうけど、それでもやはり過酷な環境の中だったと思う。
「そうだ、私三日後の朝にここを去るんだけど、ミサリーは一緒に……」
「行きます!絶対についていきます!何がなんでも、もう一人でいるのは無理です」
より一層抱きしめられる力が強くなるが、それでも力が弱い。それほど弱っていたのだろう。
「そうだ、お嬢様に一つ言っておきたいことがあったんです」
言っておきたいこと?
「実は……」
と、語られたのはあの悪魔の少女についてだった。どうやら、悪魔の少女は私が消えた2年前にミサリーに接触していたらしい。
その時に意味深なことを言われたそうだ。
『あなたの主人と一緒』
その言葉の意味が指し示すのは一体なんなんだろうか?私と同じ。
一体何が同じ?
「まあ、そんなこと気にしないでいいわ」
「でも!」
「それより今はミサリーの体調の方が心配なんだけど?」
そういうと、はっ!とようやく自分の容体がわかったのか、いきなりぐ~、とお腹が鳴る音が響いた。
「あ、はは。すみません……」
と言いつつ、私の後ろにある気配に気付いたのかそちらの方向に視線を動かす。そこに立っていたのはユーリとレオ君だった。
あ、そういえば人間状態のユーリとミサリーは初対面だし、一体どんな反応を示したくれるのか……ユーリの美しさに女の子だと勘違いするのか、はたまた……。
そんなことを考えていたら、全く予想外な回答が返ってきた。
「ユーリちゃん!」
「え?」
「久しぶりー!」
嬉しそうに手を振るミサリー。それに困惑しつつ手を振り返すユーリ。
「きゃー!手を振ってもらっちゃった!」と推しに手を振ってもらったかのごとき乙女がそこにはいた。
「よ、よくユーリだって気づいたね。私が見たときは……」
「そりゃあ気付きますよ!その後ろから生えている尻尾!何度も何度も触らせてもらえないで、寝ているところをただただ眺めていたんですから!」
「ひっ……」
後ろから悲鳴のようなものが聞こえたが、おそらく気のせいだろう。
「それに……やっぱりの私の予想通りユーリちゃんは男の子だったんですね!」
なんでそれもわかったの!?
「だって、そんなの見ればわかるじゃないですか!」
「どこで!?」
もういいや。ミサリーはどうやら元気を取り戻したらしい。
「あのー、僕もいるんだけど?」
「あ、レオ君。元気そうで何よりです」
「あっはい」
なんだかやけにあっさりとした反応で少し寂しそうにしているレオ君。大丈夫、あなたには私がついてるから、そんな泣きそうな顔しないで頂戴。
「じゃあ、そろそろ下にいきましょう」
「だ、ダメです!下には変なツノが生えた人たちが大量にたむろしているんです!今の私では全員を殺し切るのはできないので、ここまで避難を……」
っと、なんでミサリーが悪魔の見つかりやすい高台にいたのか少しわかった気がする。
「大丈夫、その人たちは鬼人と言って、私の……友達の仲間よ」
「ってことは?」
「攻撃してきたりしないから安心して?」
ミサリーの手を持って立ち上がらせると、屋根裏を伝ってゆっくりと降りていく。
途中で、またあのカーペットが敷かれた場所までやってきたが、今度は表情を悟られないように、顔を硬らせてなんとか耐えた。
そして、丘を降りて街まで戻ってくると、自由に行動しているはずの生徒たちはなぜだか一か所に集まっていた。
「何してるの?」
「あ、いや……」
一人の生徒が声をあげた。
「何?」
生徒たちは何かを囲むように、広がっていた。
その中心には一体何があるのか、生徒たち自身も困惑した表情をしていたので、何があるのかは皆目見当もつかない。
生徒たちをどかして、その中心にある何かを私も覗き込む。そこにあったのは、豪華な装飾が施された小さな箱だった。
「これ何?」
「さあ……リョウヘイの鑑定でも内容がわからなかったらしいです」
鑑定!?それって超便利スキルじゃん!
羨ましいとは思いつつ、私は箱を手にとった。だが、触った瞬間私は異変に気付いた。
「先生!」
「何これ、手が黒くなったんだけど?」
痛みやら痒みやらは何一つとして感じていないが、箱に触った掌の部分から変色していた。
黒くなって、まるで何かの魔法陣のような幾何学的な紋様。リョウヘイに再び鑑定を頼んでみるが、何かはわからなかったようだ。
しょうがないので、これは放置しよう。
私の作った異空間にそれを放り込むと、
「ちょうどよくみんな集まってるようだし、一つ先生から大事な報告があります」
私は『あの件』について話すことにするのだった。
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