映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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021 佐山氏のご家族と事情聴取②

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「佐山さんは富樫監督の作品がお好きでしたから」

 苦し紛れのようにそう答える西村課長。それしか言えないと思う。

「それにしても、と思いますわ。もっと可愛らしい名前が良かったのに」
「本当よねえ」

 あっけらかんとした華子の感想に、美千代も同意する。それを聞き、こちらは密かに息をついた。佐山氏、何故そこから名前を取ったんだ。

 姉妹と私達の挨拶が終わってから、横に控えていた男性が頭を下げてくる。

「佐山義之氏の顧問弁護士の江藤えとうと申します。貴館の館長様にはお目にかかっておりますが、どうぞよろしくお願いいたします」

 江藤弁護士と挨拶を交わして話そうとしたところ、扉が再びノックされた。

「皆さん、ちょっといいですか?」

 全員が席に着いたところで辻堂刑事が入って来て、現状の説明と今後のスケジュールを話すという。

「奥様が倒れられてしまったので、奥様への聴取の方は後回しにいたしますが。
 まずこの家主ので家主の知人と思われる男性――比江島直哉さんが亡くなりました。状況から見て他殺。もしくは自然死の後に何者かによって遺体損壊された形跡があります。
 家主の佐山義之さんは本日一階のコタツで突然頭を押さえて苦しみ出し、鎮痛剤を飲んだけれど治まらないということで病院に行き、そのまま亡くなられた。それがお昼頃ですね。ご家族と、それに弁護士の方が病院に呼ばれたそうですが、本当でしょうか?」
「ええ、間違いありません。ただお分かりのように彼女達は大切な家族を亡くしショックを受けております。差し支えない範囲で私が答えたいと思います」

 辻堂刑事が娘さん達に話を向けたところ、すかさず江藤弁護士が差し止める。さすが弁護士さん。

「出来得る限りは御本人に確認したいですがね。ではええと、それから佐山氏の遺言に基づいて国立映画資料館の皆さんが映画資料の遺品整理に来られた、と。亡くなられてすぐにね」
「それは依頼人の強い要望に拠るものです」
「はい、分かりました。それで西村さん方五名がこの家にいらした······人目を避けて。これも故人の要望ですね。八時過ぎに着き、先に来ていた奥様と挨拶をし、奥様は一度帰られた。ここからは西村さん方しかこの邸には居なかった。それなのに警備会社のセキュリティは切ったままだった。その後手袋を嵌めつつ調査をしたが思ったものが見つからない。そうして偶然、二階の書斎デスクで、リビングに隠された地下室の鍵と西村さん方宛の手紙を見つける。西村さん方は手紙の指示に従ってリビングに戻って地下室に降りると、比江島氏が亡くなっていた。西村さん方は奥様と救急車に連絡し、奥様と娘さん方、弁護士の江藤さんがこちらに来た。というわけですね」
「ええ、概ねそうです」
「依頼人並びにご家族の行動に関しては、当職が把握している内容と一致します」

 
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