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058 美術セットは悪魔の祭壇③
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「おはよう、けいちゃん。顔色良くないけど大丈夫? 今日は無理しない方がいいよ」
「ありがとうございます、山森さん。夏風邪か夏バテなのかもしれません。山森さんもお気をつけ下さいね」
「私達何だかんだでよくマスクしてるから、風邪ってあんまり引かないじゃない? 逆に久々にかかると辛いよね。お大事に」
「日比野ちゃんおはよう。ほんとだ、まだしんどそうだねえ。良かったら文字校正頼めない? 次のニューズレターの原稿なんだけど」
「はい。赤で入れていいですか?」
「一番目だから赤でいいよ。今日は収蔵庫に行くのも俺がやるから、なるべく席で作業していなよ」
「助かります。ありがとうございます」
黙々と文字校正を進め、他の人の校正も回してもらって作業しているとお昼になった。
サクサクとサンドイッチを食べ、図書室に行こうとすると池上に呼び止められる。
「もう食べたの? もしかして具合悪い?」
「そういうわけじゃないですけど、サンドイッチだったので、すぐ終わったんです。それでちょっと調べ物で図書室に行こうかと思って」
「調べ物?」
「はい。池上さんって『夜を殺めた姉妹』はご覧になったことありますか? あれをちょっと知りたくて」
「ああ、『黄昏を纏いし姉妹』の続編の。観たいと思ってるけど未見だな。じゃあ俺も手伝うよ」
井ノ口が休憩しながらお弁当を食べていたので、彼に断りを入れてから『冨樫甲児 作品全集』を引き出した。
ページをめくり、該当の作品を見つける。いくつかのスチルとともに作品のあらすじと解説が書かれている。
数枚載っているスチルにも祭壇の写真はなく、やはりストーリーもラストにかかる話までは載っていなかった。
「こっちも詳しくは載ってないねえ。映画を観るのが早いかもね」
池上も当時の雑誌に当たってくれたが、簡単な紹介文しか出ていなかったらしい。内容的に大っぴらに宣伝できなかったというのは本当らしい。
「何を調べたいの?」
井ノ口がランチを終えて聞いてきてくれた。
「えっと『夜を殺めた姉妹』について、美術セットのこととか、ストーリーのこととか知りたくて。『黄昏を纏いし姉妹』とは全然雰囲気が違う続編だと聞いたので気になるんです」
「僕は観てるよ。結末まで話してもいいけど、ネタパレになるとつまらなくないかな? そうだ、美術セットについてなら沢本清彦の『わが映画美術理論』に載ってたと思うよ」
「あ、それ見たいです」
「井ノ口さすかだな······」
「まあね。······ほら、これだよ」
「ありがとうございます、山森さん。夏風邪か夏バテなのかもしれません。山森さんもお気をつけ下さいね」
「私達何だかんだでよくマスクしてるから、風邪ってあんまり引かないじゃない? 逆に久々にかかると辛いよね。お大事に」
「日比野ちゃんおはよう。ほんとだ、まだしんどそうだねえ。良かったら文字校正頼めない? 次のニューズレターの原稿なんだけど」
「はい。赤で入れていいですか?」
「一番目だから赤でいいよ。今日は収蔵庫に行くのも俺がやるから、なるべく席で作業していなよ」
「助かります。ありがとうございます」
黙々と文字校正を進め、他の人の校正も回してもらって作業しているとお昼になった。
サクサクとサンドイッチを食べ、図書室に行こうとすると池上に呼び止められる。
「もう食べたの? もしかして具合悪い?」
「そういうわけじゃないですけど、サンドイッチだったので、すぐ終わったんです。それでちょっと調べ物で図書室に行こうかと思って」
「調べ物?」
「はい。池上さんって『夜を殺めた姉妹』はご覧になったことありますか? あれをちょっと知りたくて」
「ああ、『黄昏を纏いし姉妹』の続編の。観たいと思ってるけど未見だな。じゃあ俺も手伝うよ」
井ノ口が休憩しながらお弁当を食べていたので、彼に断りを入れてから『冨樫甲児 作品全集』を引き出した。
ページをめくり、該当の作品を見つける。いくつかのスチルとともに作品のあらすじと解説が書かれている。
数枚載っているスチルにも祭壇の写真はなく、やはりストーリーもラストにかかる話までは載っていなかった。
「こっちも詳しくは載ってないねえ。映画を観るのが早いかもね」
池上も当時の雑誌に当たってくれたが、簡単な紹介文しか出ていなかったらしい。内容的に大っぴらに宣伝できなかったというのは本当らしい。
「何を調べたいの?」
井ノ口がランチを終えて聞いてきてくれた。
「えっと『夜を殺めた姉妹』について、美術セットのこととか、ストーリーのこととか知りたくて。『黄昏を纏いし姉妹』とは全然雰囲気が違う続編だと聞いたので気になるんです」
「僕は観てるよ。結末まで話してもいいけど、ネタパレになるとつまらなくないかな? そうだ、美術セットについてなら沢本清彦の『わが映画美術理論』に載ってたと思うよ」
「あ、それ見たいです」
「井ノ口さすかだな······」
「まあね。······ほら、これだよ」
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