卒業記念パーティーに参加していた伯爵家の嫡男です。

剣伎 竜星

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前編

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「私、ルカス・アバロンはソフィア・アルビオン公爵令嬢との婚約を破棄するとともに、このカレン・バーバリアス男爵令嬢を新たな婚約者とすることをここに宣言する!」

母国アバロン王国の第1王子である金髪青目の美青年という容姿は優れているルカス殿下が取り巻きを引き連れ、その片腕に王立学園で悪い意味で有名なバーバリアス男爵令嬢を抱いていた。

そのルカス殿下は対峙している金髪灼眼で容姿端麗なアルビオン公爵令嬢との婚約破棄を大衆の面前で先程の宣言をした。

失礼、私の名はシリウス・リーブラス。アバロン王国建国以来続いているリーブラス伯爵家の嫡男だ。

本日は前述の王子達とアルビオン公爵令嬢、私の母校であるアバロン王立学園の卒業式があり、現在は無事に式が終わって、私を含めた卒業生達を労う卒業記念パーティーの最中だった。

パーティー参加者達の中には、卒業後の進路が分たれて今生の別れになる者達も少なくなく、別れを惜しむ空気と門出を祝う明るい空気があった。

だが、唐突に成績不振で卒業できなかったルカス殿下達が会場に乱入して、殿下は衆目の集まる中、アルビオン公爵令嬢に対して婚約破棄宣言した。

この場で盛り上がっているのはルカス殿下とバーバリアス男爵令嬢、殿下の取り巻き達だけなのは一目瞭然。私を含めた良識ある貴族の子弟達は皆、折角の卒業記念パーティーを台無しにした殿下達に冷ややかな目を向けている。

「殿下、先程の私との婚約破棄及びバーバリアス男爵令嬢との婚約は陛下の了承を得られていらっしゃいますか?」

冷静な落ち着いた口調で殿下達に不名誉な弾劾されているアルビオン公爵令嬢が独り、気丈に問いかけた。

アルビオン公爵家の寄子の貴族の子弟は何をしている? なぜ、アルビオン公爵令嬢を護るために、彼女の下に馳せ参じないのだ? 

弾劾されている主家の令嬢をこの場で守らないということは今後の家の存続にも関わることなのだが理解しているのだろうか?

私の疑問を他所に把握しているアルビオン公爵令嬢の寄子貴族の子弟達は数か所に固まって動かず、大半が事態を静観している。中には本来守るべきアルビオン公爵令嬢に向けて醜悪な笑みを浮かべている者もいた。

「父上にはまだ私に相応しくない貴様との婚約破棄とカレンとの婚約について話していないが、きっと私の意を汲んでくださるはずだ」

ルカス殿下の口からはある意味予想通りの言葉が出てきた。当然、その王族として、良識ある貴族としてありえない言葉に殿下達を除いて騒ついた。

無理もない。なぜなら、我がアバロン王国の侯爵位以上の貴族の婚約・婚姻に関しては国王陛下の承認が必須でこのことは貴族法に記載されている。

また、王族を含めた上級の貴族と婚約・婚姻を結べる爵位は伯爵家以上と貴族法に定められている。

そのため、バーバリアス男爵令嬢が平和なこの時世で現実的にルカス殿下と結ばれるためには彼女が伯爵家以上の貴族家の養子になるか、ルカス殿下が臣籍降下してバーバリアス男爵家に婿入りするしかない。

「ルカ「ルカス殿下、如何に貴方が高貴な王族の生まれと言えども、陛下より学園を預かる身として、殿下のこの暴挙は見過ごす訳にはいきません。陛下より殿下達の躾けの許可を得ておりますので、反省室で存分に反省してください! 連れて行け!!」」

アルビオン公爵令嬢が何か喋ろうとした言葉に被せて、警備兵を連れてきた初老のゴードン学園長はルカス殿下を叱責し、反省室という名の学園の地下独房へ殿下達を連行する様に兵達へ命じた。

ルカス殿下の取り巻きの1人である赤毛の近衛騎士団長の息子が連行しようとした警備兵に抵抗したが、警備兵達にボコボコにされて会場から連れ出された。

そして、ゴードン学園長の謝罪の言葉とともに、ルカス殿下達の乱入によって台無しにされた続行する空気には最早ならなくなってしまったため、卒業記念パーティーは閉会、解散となった。

会場にいた卒業生達、アルビオン公爵令嬢はもとより、私を含めた貴族子弟、平民達パーティー参加者は閉会すると大急ぎで馬車に乗り込み、王都内の屋敷に戻った。その理由はもちろん、実家の当主である親へ殿下達の蛮行を報告するためだ。

ルカス殿下達が卒業記念パーティーでやったことがアルビオン王国に多大な悪影響を及ぼすことがあの場にいた全員は王立学園卒業生故に誰もが理解していた。

少なくとも、ルカス殿下が立太子するための後ろ盾となっていたにも関わらず、その本人から後ろ足で砂をかけられた王国最大の穀倉地帯を領有しているアルビオン公爵家と王家、ルカス殿下の母方の貴族家であるガーネフ侯爵家の関係悪化は避けられない。

主要穀物の王都や天領、ガーネフ侯爵領での価格上昇が予想される。他にも起こりうる事象の推察は可能だが、思考を巡らす内にリーブラス伯爵邸に着いた私は報告のため、当主である父のいる執務室へ急いだ。
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