最強の竜種の中でも最弱の緑竜に転生したけど努力と根性で最終進化!いろいろあって朋友の墓守して幾星霜、久しぶりにまったり冒険者生活満喫したい。

剣伎 竜星

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第5話 翡翠竜は辺境伯にDOGEZAされる

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「待ってください! その者の無礼は私がお詫びしますから、どうかその手を止めてください!!」

立派な騎馬から下馬して謝罪してきた辺境伯と思しき優男はそのまま、身分に相応しい綺麗な衣服が汚れるのを気にせずに、その場で流れる水の様に、ごく自然な鮮やかな動きで、まさかのDOGEZAを俺に向けてした。

不意に、俺の脳裏に、記憶の奥底深くに眠っていた、とても懐かしく楽しかったが……悲しかった記憶の一部がフラッシュバックした。


『本当に、心の底から相手に悪いと思ったときは、どんな場所でも、すぐにDOGEZAをしろって、死んだ爺ちゃんに言われたんだ!』

俺に突っかかってきて、返り討ちにあったのに、屈託のない笑顔で、そう言い切る優男を若くした様な少年。

『先生! 俺に●■◆をください!!』

また違った場面で、俺に土下座をする少し成長して、少年から青年になった★×とその隣で、はにかんだ様子の俺と○■●▲の間にできた愛しい娘である●■◆。

『やっぱり、最期まで、先生には敵わなかったか……すまねぇ、先生。●■◆のいる所に…逝…き……』

目の前の光景が再度、大きく変わり、深い皺を刻んだが、青年の面影を残すその老人は、俺がそこに辿り着いたときには、既に、いくつもの数多の魔物の死体の山を築きあげ、最期の力を振り絞って、俺に言い残して、俺の腕の中で事切れた。


「分かった。君の顔を立てて、謝罪を受け入れよう。この男は、きちんと事情を調べてから、君達の中で決められている規則に従い、適正な処分を下してくれ。
もう、土下座はいいから、さあ、立ってくれ」

俺は手に持っていた大剣を地面に突き刺して、そう土下座していた男に言った。

「ありがとうございます。申し遅れました、私はこの地の守護を、皇帝陛下より、先祖代々任されておりますカーン辺境伯家の現当主、テオドール・カーンと言います。見たところ、貴方はかなり高名な魔術師であるとお見受けいたします。
よろしければ、お名前をお教えいただけませんでしょうか?」

カーン辺境伯と名乗った優男、テオドールは立ち上がり、ズボンに付いた土埃を軽く手で払って、俺の名前を訊いてきた。

「お……私の名はジェイド。家名はありません。この大森林の深層部分に居を構えて、魔術の研究を長年行っていました。一先ず、研究がひと段落したので、久しぶりに世界を巡るため、森を出ようとしていた所です。人と話すのは本当に久しぶりなので、無礼な発言があるかもしれませんが、ご容赦いただきたい」

俺は予め考えていた今後出会う人々に教えて問題のない自身の設定を告げた。

「世界を巡るですか、いいですね。そうだ。私の部下がご迷惑をおかけしたので、よろしければ、私の居城で休んでいかれませんか? いろいろと娘とうちの若手の騎士見習い達を助けていただいたお話も詳しく伺いたいので……それから、無理に敬語を使われなくて結構ですよ。ジェイド殿、貴方を私の賓客として、迎えます」

テオドールは笑みを浮かべて、そうこの場にいる全員に聞こえる様に宣言した。

「……そうか、ありがとう。しばらく厄介にならせてもらう」

テオドールの申し出は渡りに船だったので、正直、俺にとっては助かった。
あの場で俺を賓客として迎えることを宣言し、俺の味方になってくれたので、密かに俺に敵意を向けていた一部の見習い騎士達が俺に手を出せなくなった。

それに本当に久しぶりの人里の寝床と食事。辺境という人の栄えている中央からは外れた場所だから、あまり期待しない方がいいかもしれない。だが、期待せずにはいられない。

俺はテオドールに部下の馬を貸すと言われたが、やんわりとそれを固辞し、徒歩で彼等と一緒にテオドールの居城を目指すことにした。



※※※

壊れた馬車は治すための資材がないのと、治せる者がいないため、テオドール達はこの場に放棄しようとしていたが、壊れた馬車を収納しても余裕が有り余る俺の【空間収納】を付与した擬装用のアイテムバッグに壊れた馬車を俺が預かる形で、収納した。

テオドールの娘であった姫騎士、マリアは軍馬への騎乗はまだ勉強中らしく、森のここまでは壊れた馬車で来ていたため、帰りの足がなくなっていた。テオドールが自分の馬に同乗する様に言ったが、迷惑をかけた自身への罰として徒歩で帰ることを譲らなかった。

フォレストウルフとの戦闘中に非常事態ということで、確認した彼女のステータスから考えると、馬車が通れる整備をした道があるとはいえ、彼女が徒歩でテオドールの居城まで帰るのは現実的ではなかった。

先輩騎士達に相談せずに、先走って、姫騎士であるとはいえ、辺境伯令嬢でもあるマリアを諫めるどころか、連れ出した罰として、徒歩で居城まで帰ることが決まっている若手騎士達はご愁傷様だが、病気の母親を助けるためという理由で、今回の無茶をしたマリアも、同じ罰を与えるべきなのかと悩んだテオドール達に俺は相談された。

比較的弱い部類の魔物が出る浅層とはいえ、やはり夜の大森林にいるのは危険だ。俺はマリアの処分はテオドールの居城まで保留にして、少しでも安全なより人里に近い場所を目指して早々に移動を始めることを提案し、マリアと道中でダウンするだろう騎士見習いを乗せるための馬型ゴーレムが引く馬車を出した。

確認したところ、テオドール率いる辺境伯家の精鋭騎馬隊はマリア達が早朝に出立したのに気づいて、すぐに少数精鋭の6名を選抜、部隊を編成して、馬に【早駆け】をさせ続けて、ようやくこの場に追いついた。

多少休ませられたとはいえ、馬達に再び【早駆け】をする体力はなく、少なくとも森の中で一泊しなければならないことを覚悟して、マリア達も野営できる分の道具もテオドールが持つアイテムボックスに入れてきたらしい。

問答無用で、騎乗したまま俺に斬りかかってきた騎士ーー【ボディブロウ】をくらわせたキシの父親らしいーー名はオーランド。俺がキシを殺したと勘違いして、逆上したことを謝罪され、既に和解済み。彼は彼で不寝番をすると、テオドールに自己申告していた。

それを聞いて、俺は自重すべきか、否か思い悩んだ。マリア達は支援役皆無の10名全員が前衛職。対して、テオドール率いる騎馬隊6騎の構成は、野営を見越した前衛3、魔術師2、弓兵1。魔術師2名は攻撃系魔術だけでなく、使えると野営に便利な生活系魔術も使えるらしい。そして、弓兵はマリア達の分を含めた食糧3日分をアイテムボックスに入れているそうだ。

また、テオドールに準備してきた野営用のアイテムを見せてもらったのだが、完全にTHE天幕といった、前世の大人数用の雨と風を凌ぐだけのテントといった感じで、当然、地面はそのままで何も敷かない。今朝まで、俺が使っていた家電魔道具付きの持ち運び式住居と比べるまでもなく、不便なものだった。

この時代の魔導具職人はなにをやっているんだ?

そういう疑問が湧いてきたが、それは後で考えることにして、頭の中から追いやり、俺は【空間収納】内に冒険者時代に作った、この場にいる全員が寝泊りできる持ち運び式住居と遜色ないコテージの状態を確認して、テオドール達に話すことにした。
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