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初めての村「村人Aは面倒くさがりだった」
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「ここが僕の拠点、ノルテリア村って言って街道沿いの村で西に行けば王都『ウェイランド』、東に行けば魔法大国『ミルテアリア』にそれぞれ向かうのにちょうどいい場所にあるんだよ」
街道を一時間ほどいろいろと情報交換しながら一行がたどり着いたのは村というには少々大きめな集落だった。
轍がある砂利道の先には丸太を組んで作った柵に囲まれた村の入り口には90センチほどの剣を持った青年おり、胡乱気な目線をエキドナに向けながら門の柱にもたれかかっている。
「やあ、暇かい?」
「暇すぎて死にそうだ。いい事なんだけどな……そっちの3人は?」
エキドナのあいさつに答えるついでに一応聞いておく、そんなやる気のない口調で門番はエキドナに問いかけた。そんな態度にはすでに慣れているエキドナは適当に答える。
「そかそか、行き倒れた子供たちを保護したから自警団に顔出しておくね~」
「ああ、手間が省けてまた暇になった。面倒くせぇ」
「そのうち根っこが生えて動けなくなりそうだねぇ」
今日も村は平和だと表情を緩めながらエキドナは村の中に入る。
「エキドナさんあれ良いの?」
なんかこう……閉鎖的なものを思い浮かべていた弥生が小さく声をかけてきたがエキドナは「良いの良いの」と文香の手を取り進んでいく。真司も気になりほけーっと村の外に視線を向けている彼を盗み見るのだが暇そうにあくびをしていた。
「姉ちゃん……」
「あたし達が気にしすぎなのかも……」
実は弥生達の警戒心には理由がある。
日本で田舎の小さい村というのは案外移住者に厳しい、もちろん全部という訳ではないしたまたまだったが弥生達が岩手の村に引っ越して来た時は常に見られていたり、言葉には出されなかったが居心地の悪い場所も多かった。
「……とりあえず行こうか」
「そだね」
なんとなく真司の手を握った弥生。
思ったよりもしっかりとした手だなぁ、と感じたがすぐにぺいっと引っぺがされる。
「なんだよいきなり……」
「迷子にならないようにって」
「……文香じゃあるまいし。姉ちゃんに合わせて歩いてたらエキドナ姉を見失っちゃうから、僕先に行ってるよ?」
言うが早いか真司は小走りでエキドナと文香の後を追う。迷子というのは弥生の口実だ。
頬を若干染めた真司の顔を見てたら盛大にからかうつもりだった弥生は当てが外れて少しむくれてしまう。
「生意気なこと言うようになったわね……ま、頼もしいとこまではあと一歩かなぁ?」
エキドナと文香に追いついた真司が何やら挙動不審にしているが、後で聞けばいいか。
そう決めて弥生は村を観察しながら歩く。
人はそう多くない、昼過ぎだし……あと数時間もすれば日が傾いてくる頃合いなのに。
ということはどこかに畑があるのだろうかと何を育てているのか気になってきた。
ちなみに家畜を飼ってたりするのは少ないんじゃないかな、と。弥生は経験で導き出す。
一種の獣臭さというか、精肉する際の匂いは案外土地に根強く残るからだ。
弥生の鼻に届くのはどちらかというと土の匂いが強い、それに害獣が多いから村を柵で囲ってるのであれば肉や魚は狩ったほうが良い。集落に肉食動物が入ってくる事につながるから、と祖父から聞いた事があった。
村の家はレンガ造りと木造が半々程度で木造はログハウス風な家が多い。
それに……
「ガラス窓無いんだ……」
そう、窓は全部の家や建物が木の板をつっかえ棒で開閉しているタイプ。
家の隣にある井戸には青銅製のポンプが備え付けられていた。
「あたし達死んだの……よね? ここはなんなんだろう。死後の世界? にしては現実的だし」
弥生は足を止めて自分の服をつまむ……
「あの日に来ていた服よね」
スカートのポケットに穴が開いている高校の制服。
真司も文香も服はあの時と一緒だった。
――それに
「真司の首に……傷跡があった。刺された場所に」
たぶん自分の肩にもあるんだろうと弥生は確信していた。
じんわりと熱を帯びて違和感があったから。
「とにかく今は真司と文香が困らないように私がしっかりしなくちゃ。何にもわかんないしお金だって無い、エキドナさんは良い人だけど人型ロボットだってやっと作れるかどうかだってお父さん言ってたはずなのにまるでSFの世界だもん……」
文香はどうかわからないが真司はきっと疑問を持ちつつも、自分と同じようにまずは情報を得るのが先決だと決めていると弥生は予想している。
「それに魔物って言ってたよね……問答無用に死ぬ可能性も考慮しなくちゃいけない」
いつの間にか弥生の視線は足元に向いていた。
考えるときの癖で地面に頭の中の問題点をイメージでバーッと広げる。
「……まずは衣食住だけどね」
まずやる事が多すぎるが弥生のやることは決まっていた。
家族を守る。そのためにまずは考えるのだと。
街道を一時間ほどいろいろと情報交換しながら一行がたどり着いたのは村というには少々大きめな集落だった。
轍がある砂利道の先には丸太を組んで作った柵に囲まれた村の入り口には90センチほどの剣を持った青年おり、胡乱気な目線をエキドナに向けながら門の柱にもたれかかっている。
「やあ、暇かい?」
「暇すぎて死にそうだ。いい事なんだけどな……そっちの3人は?」
エキドナのあいさつに答えるついでに一応聞いておく、そんなやる気のない口調で門番はエキドナに問いかけた。そんな態度にはすでに慣れているエキドナは適当に答える。
「そかそか、行き倒れた子供たちを保護したから自警団に顔出しておくね~」
「ああ、手間が省けてまた暇になった。面倒くせぇ」
「そのうち根っこが生えて動けなくなりそうだねぇ」
今日も村は平和だと表情を緩めながらエキドナは村の中に入る。
「エキドナさんあれ良いの?」
なんかこう……閉鎖的なものを思い浮かべていた弥生が小さく声をかけてきたがエキドナは「良いの良いの」と文香の手を取り進んでいく。真司も気になりほけーっと村の外に視線を向けている彼を盗み見るのだが暇そうにあくびをしていた。
「姉ちゃん……」
「あたし達が気にしすぎなのかも……」
実は弥生達の警戒心には理由がある。
日本で田舎の小さい村というのは案外移住者に厳しい、もちろん全部という訳ではないしたまたまだったが弥生達が岩手の村に引っ越して来た時は常に見られていたり、言葉には出されなかったが居心地の悪い場所も多かった。
「……とりあえず行こうか」
「そだね」
なんとなく真司の手を握った弥生。
思ったよりもしっかりとした手だなぁ、と感じたがすぐにぺいっと引っぺがされる。
「なんだよいきなり……」
「迷子にならないようにって」
「……文香じゃあるまいし。姉ちゃんに合わせて歩いてたらエキドナ姉を見失っちゃうから、僕先に行ってるよ?」
言うが早いか真司は小走りでエキドナと文香の後を追う。迷子というのは弥生の口実だ。
頬を若干染めた真司の顔を見てたら盛大にからかうつもりだった弥生は当てが外れて少しむくれてしまう。
「生意気なこと言うようになったわね……ま、頼もしいとこまではあと一歩かなぁ?」
エキドナと文香に追いついた真司が何やら挙動不審にしているが、後で聞けばいいか。
そう決めて弥生は村を観察しながら歩く。
人はそう多くない、昼過ぎだし……あと数時間もすれば日が傾いてくる頃合いなのに。
ということはどこかに畑があるのだろうかと何を育てているのか気になってきた。
ちなみに家畜を飼ってたりするのは少ないんじゃないかな、と。弥生は経験で導き出す。
一種の獣臭さというか、精肉する際の匂いは案外土地に根強く残るからだ。
弥生の鼻に届くのはどちらかというと土の匂いが強い、それに害獣が多いから村を柵で囲ってるのであれば肉や魚は狩ったほうが良い。集落に肉食動物が入ってくる事につながるから、と祖父から聞いた事があった。
村の家はレンガ造りと木造が半々程度で木造はログハウス風な家が多い。
それに……
「ガラス窓無いんだ……」
そう、窓は全部の家や建物が木の板をつっかえ棒で開閉しているタイプ。
家の隣にある井戸には青銅製のポンプが備え付けられていた。
「あたし達死んだの……よね? ここはなんなんだろう。死後の世界? にしては現実的だし」
弥生は足を止めて自分の服をつまむ……
「あの日に来ていた服よね」
スカートのポケットに穴が開いている高校の制服。
真司も文香も服はあの時と一緒だった。
――それに
「真司の首に……傷跡があった。刺された場所に」
たぶん自分の肩にもあるんだろうと弥生は確信していた。
じんわりと熱を帯びて違和感があったから。
「とにかく今は真司と文香が困らないように私がしっかりしなくちゃ。何にもわかんないしお金だって無い、エキドナさんは良い人だけど人型ロボットだってやっと作れるかどうかだってお父さん言ってたはずなのにまるでSFの世界だもん……」
文香はどうかわからないが真司はきっと疑問を持ちつつも、自分と同じようにまずは情報を得るのが先決だと決めていると弥生は予想している。
「それに魔物って言ってたよね……問答無用に死ぬ可能性も考慮しなくちゃいけない」
いつの間にか弥生の視線は足元に向いていた。
考えるときの癖で地面に頭の中の問題点をイメージでバーッと広げる。
「……まずは衣食住だけどね」
まずやる事が多すぎるが弥生のやることは決まっていた。
家族を守る。そのためにまずは考えるのだと。
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