浮気相手とデートだと⁉

ヘロディア

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浮気相手とデートだと⁉

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僕には恋人がいる。滅茶苦茶かわいい。
仕草が誘っているとしか思えない。「はぁ……」
僕はため息をついて、頭を掻く。
今日もまた、彼女からの連絡はなかった。
いつもなら、『今日のデート楽しみだね』ってメッセージが届くはずなのに。……まあ、別にいいんだけどさ。
ちょっとだけ、心配だ。
今日はちょっと久しぶりのデートだ。昨日も一昨日も彼女と会えなかったからな……。
そんなことを思いながら、待ち合わせ場所に着くと、彼女はすでにそこにいた。
彼女の顔を見た瞬間に、僕の心臓は高鳴る。
今日の服装も最高だった。肩を出した黒のワンピースに、白のレースが付いたカーディガン。そして髪には赤いリボンで結んだポニーテール。
シンプルだけど、とてもかわいらしい服装だった。
「お待たせ」
僕は彼女に声を掛けた。すると、彼女は僕に向かって微笑む。
「おはよう!」
そう言って、僕は彼女の手を握る。
「えへへ……」
彼女は嬉しそうな表情を浮かべて、手を握り返してきた。
かわいいなぁ……。
僕はその笑顔を見て思う。この笑顔を見るだけで、幸せな気持ちになれる。
「今日は何する?」
僕は尋ねた。すると、彼女は少し考えて言う。
「映画見たい!最近公開されたやつ!!」
彼女が言ったのは、有名な恋愛映画の最新作のことだった。「わかったよ」
僕はそう答えて、映画館に向かうことにした。
映画館について、チケットを買うと、僕らはすぐに席に着いた。
しばらくすると、上映開始時刻になり、照明が消えていく。
そして、スクリーンに映像が流れ始めた。
正直に言おう。僕はこの映画を全然知らなかった。そもそも恋愛映画に興味がないのだ。
でも、彼女はきっと好きなんだろうと思って、付き合うことにしたのだが……。
僕は隣に座っている彼女をチラッと見る。
彼女は目を輝かせていた。本当に楽しんでいるようだ。……良かった。それならそれで、楽しまないと損だよね?僕はそう思って、スクリーンに集中することにした。……………… それからしばらくして、映画が終わった。
「面白かったね~!」
彼女が満面の笑みで言う。どうやら満足してくれたみたいだ。
「そうだね」僕は答える。確かにおもしろい内容ではあったと思うけど、僕はあんまり興味がなかったかな。
まあ、彼女が楽しかったのなら良いか。僕はそう思った。
「じゃあ、次はどこに行こうか?」
僕が尋ねると、彼女は腕を組んできた。そして上目遣いで僕を見つめてくる。
「どこでもいいよ?」
彼女はそう言いながら、体を密着させてきた。胸を押し当てられてドキッとする。……これって誘われているのか? 僕は彼女の意図に気づいて、顔を赤くした。こんな人前で……。でも、うれしいな。
僕は彼女の腰に手を回して抱き寄せる。そして耳元で囁いた。
「ホテルに行くかい?」
彼女はビクッとして、「ばか……」と言って赤くなった。かわいいなぁ……。
僕はそんなことを考えながら、彼女の唇を奪った。
しかし、五分後に事件は起こる。
「おいお前、俺の彼女に何してんだ⁉」
突然知らない男子から声を掛けられたのだ。驚いて振り向くと、そこにはガラの悪い男が立っていた。……誰だよこいつは?邪魔しないでほしいんだけど……。僕は不機嫌になった。
「ちょっと、離してくれる?」
僕は彼に言う。彼は「ふざけんな!」と言われた。
「そいつは俺の恋人なんだよ!」
「え?」
僕の彼女は唖然としている。……どういうことだろう?僕には状況がよくわからなかった。
「ねえ君、彼氏がいるのに他の男と遊んでいたわけ?」
僕は彼女に尋ねた。すると、彼女は首を横に振る。
「違うよ。私が付き合っているのはあなただけ…い、行きましょ!きゃぁっ!」彼女が逃げようとした時、彼の仲間らしき奴らが彼女を取り押さえた。
「待って!話を聞いて!」
彼女は叫ぶように言ったが、彼らは無視して、彼女をどこかに連れて行った。
「ま、待て!」僕は彼女を追いかけようとするが、彼らが立ちふさがる。
「どけよ!」
「うるせぇ!」
「じゃあ事情を説明してくれ!」
「あの女子はあいつの恋人のはずだ。デートの写真だってあるぞ。つまり、お前の状況は略奪だ。」
「そんなばかなことあるか!」
彼女が浮気している?しかも僕は浮気相手の方?ふざけんな!僕は彼らの言っていることが信じられなかった。信じたくもなかった。
「とにかく帰れ!」
僕は彼らに言われて仕方なく帰ることにした。
次の日、僕は彼女の家に向かった。昨日のことについて問い詰めるためだ。
彼女の家のインターホンを鳴らすと、彼女が出てきた。「こんにちは」
僕は挨拶をするが返事はない。彼女はうつむいていた。明らかに様子がおかしい。
「どうしたの?」
僕は恐る恐る聞いた。すると、彼女は涙目で言った。
「ごめんなさい……。私、騙していたんです……」「え?」
彼女の言葉の意味がわからず、僕は困惑する。騙されていた?
「私は、あなたのことを好だけど、浮気だったんです!」……え?僕は一瞬思考が停止した。そして理解する。僕は利用されたってことか!
「どういうことだ?」
僕は低い声で言った。すると、彼女は怯えた様子で言う。
「昨日、あいつらが言ってたこと、本当なの。私、悪い女よね…」「……ああ、そうだな」
僕は彼女を睨みつけて言った。……ふざっけんな!!なんだこいつ!人の彼女を騙しやがって!許せない!僕は心の中で怒り狂った。
「じゃあもう別れようか。」僕は冷めた口調で言う。すると、彼女は泣き出した。
「や、やめて!お願い!なんでも言うこと聞くから!だから……」
「嫌だね」
僕は即答した。当然だろ?そんな都合の良い話が通じると思っているのか?「うわあぁぁん!!」
彼女は子供のように泣いた。僕はそれを冷たい眼差しで見つめていた。……そして、彼女と別れた。
それから数日後の放課後、僕は彼女の教室を訪れた。
「ねえ」
僕は彼女に話しかける。彼女は驚いた表情をして、僕を見た。
「な、なによ?」
「君に聞きたいことがあるんだ。」
そう言いながら、僕は彼女の席に近づいていく。
「……なんのこと?」
彼女は警戒しながら言う。僕は笑顔で答えた。
「もう、浮気とかしてないよね~」
「し、してるわけないじゃない!」
途端に涙目になり、明らかに動悸が早くなった。……わかりやすいな。
「あなたのこと、まだ、忘れられないのに…」
急に泣きながら抱きついてきた。
「い、いやみんな見て…」
「お願いもうしないから復縁して…」
柔らかいものの感触と、鼓動が伝わってくる。……やっぱり胸大きいよな。僕は彼女の胸の柔らかさにドキドキした。でも、今はそれどころではない。
「ダメだよ。もう君のこと、信じてないから。」
「い、嫌ァァァァ!」
泣き崩れる彼女を置いて、僕は去った。
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