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双子のイケメンに同じ日に告られた結果

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双子でイケメンな男子が学年にいるのだ。
今年、私は兄の方と同じクラスになった。
相変わらず女子人気凄い。
「……私には関係ない話だ」
そう思っている。
帰り道、友達の奈々と一緒に帰る。高校生の放課後は短い。
「莉紗は本当にあの子興味ないわけ?」
「ないない?」
「あなた本当に女子?」
「固定概念ヤバすぎ。」
私の名前は足木莉紗。そして目の前に居る女友達の奈々は、私の事を「男に興味がない奴」と思っているらしい。
「だってさー、あんなにモテてるんだよ? 少しくらい気になるでしょ!」
「全然。」
この子は、私の事をモテる女子だと言う。でもそんなことはない。
告白された事ないし。
「……えぇー……」
奈々が呆れている。
そりゃあそうだよね。
「……あんたって、もしかして恋愛とかしたことないの?」
「あるよ」
「誰々!?」
「内緒」
「教えろし!!」
……とまぁこんな感じで、いつも通りの会話をしている。
ちなみに奈々は彼氏持ちだ。
羨ましい……。
そんなことを思いながら帰宅している途中だった。
「……ん?」
前方に見覚えのある顔があった。
先ほどまで話題だったクラスのイケメン男子じゃないか。
「あれ? どうしたの?」
奈々が不思議そうな顔をして聞いてきた。
「あれは…」
「お!話題のイケメンじゃん!話しかけて来いよ!」
「いやなんでだよ…」
向こうもこちらを視認したようで、歩み寄ってくる。
「足木さん…」
「え?私っ⁉」
唐突に言われてなんか声が裏返った。恥ずかしい。
「うん、ちょっと良いかな?」
彼は真剣な表情をしていた。
「あ、はい……」
「じゃあね奈々。また明日」
「うぃーす」
こうして私は彼に連れられ、人気のない場所に移動した。
「ここなら大丈夫か……」
「あの……何か用ですか?」
私がそう言うと、彼は申し訳なさそうな顔をする。
「ごめん急に連れてきて……」
「いえ、それは別にいいんですけど……」
「俺、君の事が好きなんだ!」
「……はい?」
……はい? 彼の口から出てきた言葉の意味を理解するのに数秒かかった。
「えっと……つまりどういうことでしょうか……」
「そのまんまだよ」
「わかんないです……」
「俺は君が好きなんだ。付き合って欲しい」
頭が真っ白になる。思考回路がショート寸前である。
「あの……えっと……考えさせて」「分かった。返事待ってるから」
「はい……」
そう言って彼は立ち去って行った。
残された私はというと、未だに混乱していた。
そして、さらに驚くことが起きた。
家の前に、もう一人のイケメン男子、さっき告白してきた彼の双子の弟がいた。
「……どゆこと?」
「足木さん、ちょっと、いい…?」
さっき似たような事を言われたせいだろうか、ひどく緊張する。
「はい……」
「僕も、あなたのことが好きになってしまいました。付き合ってください」
「え、ちょっ、待って……」
「ダメ……ですか?」
上目遣いでこちらを見つめてくる。イケメンの割には童顔なこの弟分は…可愛い。
「か、考えさせてください…」
「分かりました。」
こんなことあるだろうか。同じ日に、双子の男子二人から告白されるなんて。今日は色々とありすぎて疲れた。早く寝よう……。
「ふぅ……」
風呂から出て自室に戻り、ベッドの上に腰掛ける。
結局、どちらの告白にもOKは出さなかった。
どちらか片方とだけ付き合うのも嫌だし、両方と付き合う気もない。っていうかそれはルール違反だろう。
私って意外とモテるのかな…
なんて本心にないことを気にして、頭が回らない。
でも、告白されて初めて、彼らの両方が魅力的に見えてきたのだ。
どうしよう…どっちも振りたくないし、どちらとも付き合うなんて無理だし…
「あぁもう!! 私らしくない!!」
頭をガシガシと掻く。
「よし!決めた!!」
次の日。私は、二人の元へ向かうことにした。
二人は双子。朝も同じ時間に二人で出てきた。そして、いつものように一緒に登校している。
「ねぇ」
私は、いつもより低い声で話しかける。
「ん?」
「何?」
二人が同時に反応する。
「私と付き合いたいって言ったよね」
「ああ」
「うん」
「それ、撤回して」
「え?」
「どうして?」
「理由は言えない」
「理由が無いなら……」
「でも、このままだと私はあなた達と付き合えない」
「……」
「だから、昨日の事は忘れて」
そう言い残し、私は学校へ走った。
教室に入ると、奈々が駆け寄ってきた。
「おはよー莉紗。さっきあのイケメン二人とすれ違ったんだけど、なんかあった?」
「うぇ!?」
いきなり聞かれたので変な声が出てしまった。
「え?やっぱりあの後告られたの?」
「…実は。」
「まじかぁ~やったじゃん!美男美女カップル誕生…」
「違うの。」
「え?」
「その後弟からも告られた。」
「え?なにそれどうすんの?」
「どっちとも付き合わないことにした。」
「えぇ!?」
「だって一人に絞れないもん。」
「そう…するんだ。」
彼女は納得いったようでいってないようで、難しい反応をした。
彼氏を作ることはできなかった。まあ、こんなレアな事は武勇伝にはなるか。
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