上 下
1 / 1

飲みに誘った後輩は、今僕のベッドの上にいる

しおりを挟む
会社の後輩の女子と飲みに行くことになった。
「先輩、ここの店にしましょう!」
そう言って後輩が指差したのは、駅から少し離れた雑居ビルの地下にある小さな居酒屋だった。
「うん」
僕は特に気にも留めず答えた。
僕と後輩は店内に入り、店員に案内されたテーブル席に向かい合って座った。
それから適当に注文し、酒やつまみが届くまでの間、僕たちは仕事の話などをしていた。
「先輩~! 聞いてくださいよ~!」
酒を飲み始めてから数分後、突然後輩が大きな声を上げた。
その顔は既に真っ赤に染まっていた。
どうやらもう酔っているらしい。
「ねえ先輩~」
発汗しているのか、肌がテカテカしだしてるし……
まあ可愛いから許すけどね。
「はいはい。今度は何?」
「今夜~先輩の家に泊めて下さいよぉ~」
「えっ!?」
突然の発言に驚いた。
「ダメですかぁ~? いいじゃないですかぁ~! 私と先輩の仲なんですからぁ~!」
「うーん……」
正直ちょっと面倒臭いなと思ったが、こんなに甘えた声で言われて断れる男がいるだろうか? 少なくとも僕は無理だった。
「だ、大丈夫なの!?」
「私、彼氏いないんで~」
そう言ってその豊満なモノをブルンッと揺らした。
「そ、そうなんだ……じゃあ今日だけなら……」
「やったぁ~!! ありがとうございますぅ~!!」
こうして僕は、この巨●の後輩をお持ち帰りしてしまったのだ。
「こ、ここだよ」
「うわぁ~いいお家~♡」
僕達は今、僕の家に居る。後輩ちゃんは僕のベッドの上で飛び跳ねている。
そして僕はというと……床に座っていた。
何故ならば……
「先輩~! 早く来てくださいよ~! 一緒に寝ましょ~よ~!」
「で、でもさ……」
「なんれすか~?もしかしてぇ~恥ずかしいんですかぁ~?」
「べ、別にそういう訳じゃないんだけどさ……」
「大丈夫ですよぉ~! ほらほらぁ~!」
そう言うと彼女は掛け布団を上げて、自分の隣にスペースを作った。そこには彼女の甘い香りが広がっていた。
ゴクリ……思わず喉が鳴る。
そんな様子を見ていた彼女がクスリと笑った。
「ふふっ、やっぱり先輩かわいいですねぇ~」
「か、かわっ!?」
いきなり言われた言葉にドキッとする。だが彼女は気にせず続けた。
「ほらほらぁ~! はやくきてくださいよぉ~! それともぉ~私が連れていってあげましょうかぁ~?」
ニヤリと意地悪な表情を浮かべながらこちらに向かって手を伸ばす彼女を見て、僕は覚悟を決めた。
「わかったよ……。行くよ……」
僕は立ち上がり、ゆっくりと彼女に近づいた。そしてついに彼女の横にたどり着いた時、不意打ち気味にギュッと抱き着かれた。
柔らかな感触と共に香ってくる匂いにクラっとする。
「せ~んぱい♪ あったかいですね~」
「う、うん……」
「あのぉ~、もっと近づいてもいいんですよ~?」
そう言ってさらに密着してくる。お互いの顔の距離はわずか10cm程しかないだろう。
「うっ……」
近い……近すぎる……
心臓が激しく鼓動し、身体中が熱くなる。
そんな僕の様子を楽しむように見つめてくる彼女と目が合うと、自然とその唇に引き寄せられていった。
二人の距離は0になる―――はずだった。
「あははっ、先輩顔真っ赤っかですよぉ~」
その瞬間、パッと離れてしまった。
「えっ!?」
僕は慌てて自分の顔を手で覆う。確かに熱い……とても……とても熱い……
「あれぇ~?どうしたんですかぁ~?」
「な、なんでもないよ……」
「そうですかぁ~?」
だんだん彼女は淫らな格好に近づいていく。スカートが捲り上がり、太腿が見え隠れしている。胸元は大きく開き、ちょっとチラ見えしている。
ゴクリ……また唾を飲み込む。すると突然、彼女は僕の耳元に口を寄せてきた。
「ねえ先輩、私のこと好きですか?」
「えっ!?」
突然の言葉に戸惑う。
「答えてくれないんですかぁ~?」
「す、好きだよ……」
言ってしまった。
「ははぁ~ん。なるほどぉ~」
何かを察したような表情を浮かべる。そして再び耳元まで口を近づけると、甘く囁くように言った。
「嬉しい♡」
その妖艶な表情に、僕はやられた。
「ねえ先輩……」
彼女は僕の首に腕を巻き付け、上目遣いで見つめてきた。
「私ね、ずっと前から先輩のことが好きだったんです。だから私と付き合ってください」
「う、うん……」
返事を聞いた彼女はニッコリと微笑むと、僕に潜り込んできた。そのままぎゅっと抱きしめられる。
僕はもう抵抗しなかった。むしろ自分から求めていく。
「あら、先輩、積極的~!あんっ♡」
それから僕らの愛が深まるのには、それほど時間はかからなかった。
「はぁんっ♡は、激しすぎぃ~!そ、そんなところ舐めちゃだめぇ~!」
「んちゅっ、んっ……ぷはぁ。美味しいよ」
「ああっ♡そ、そんなこと言われたら、私……私……!」
「そろそろいいか……」
「ちょ、ちょっと待って!」
「なに?」
「まだ心の準備ができてなくて……もう少しだけ時間を……」
「無理」
「きゃああああぁ~!!!!!」
彼女は酔った勢いできてしまったものだから、そのまま眠りついてしまった。
翌朝ー
「お、はようございます…先輩…」
顔を真っ赤にして挨拶をする彼女。
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
「はい……それはもうぐっすりと……!」
「そう。良かった」
「あの……先輩……」
「何?」
「責任……取ってくださいね……!」
数日後…
「せ、先輩!起きてください!朝ですよぉ~!」
いつものように起こされる。今日も元気いっぱいの後輩ちゃんだ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

創作って?

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

異世界モンスター図鑑

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:36

情弱

現代文学 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

通園バス園児置き去り防止装置

経済・企業 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...