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第四章 旅路の始まり
村落
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ぱちぱちと音を立てて燃える焚き火が、唯一の光源だった。
目的の森まで、なんとか日没前には辿り着いた僕らだったけど、やはり野宿は避けられなかった。
別段、入ったら二度と出られないといったような、大層な森ではないらしいけど、おそらくは僕に気を遣ってくれたのだと思う。
こんな寒冷地でも逞しく群生している木々――たぶん、針葉樹林ってやつだ――から枝を拝借し、こうして夜が明けるのを待っている。
食料は、王城から持ち出した干し肉と飲み水だけ。
少量の木の実やハーブなんかはあるけど、これは空腹感を満たすためのものではないそうな。
こういうのって、こう・・・・・・キャンプみたいに何か焼いたりするのかな、と思っていたけどどうなんだろう。
「ねぇ、ターナ」
「はい、なんでしょうか、ユウスケ様」
僕と同じく、すぐ隣で暖を取っていたターナが、「なんでもお聞きください」という表情で僕を見る。
僕は、あくまでイメージということを伝えた上で、先ほどの疑問を投げかけてみる。
「ユウスケ様の世界では、野宿での食事をそういう風にとらえているのですね」
「いや、あくまで想像上というか・・・・・・こう、作り話の中ではね」
「なるほど。しかし、残念ですが・・・・・・あまり、そのご期待には添えられそうにございません。例外なく、旅は軽装が基本です。重荷を背負っていては、体力を消耗するだけでなく野盗などに目をつけられる可能性も高くなってしまいます。ですので、旅の商人などは護衛を雇ったり、自衛の手段を用意しておくのが定石と言われております」
「でも・・・・・・食べ物を調理するのと、どう関係があるの?」
「はい。まず、調理をする場合、調理器具が必要になります。それに加え、食材も必要です。水分を多く含む生の場合、腐敗への対処も必要となるでしょう。更に、多くの料理は調理過程でも臭いを発します。肉を焼けば、油脂の焼ける香りが立ちこめるように、これらは空腹の野生動物を誘引する危険の種となってしまいます。無論、鼻の利く悪意ある人間もまた、引き寄せてしまうでしょう」
つらつらと並べられる要因の数々に、僕はただ頷くしかできなかった。
それだけの危険を冒してまで、野宿の際に火を通さねばいけない食事をとりたいかどうか、が最後の争点となる・・・・・・のかな、きっと。
「申し訳ございません。大変説明じみてしまいました・・・・・・」
「ううん、そんなことないよ。勉強になったし、これからのことを考えれば、今知っておけてよかったよ」
つまり、旅の間は味気ない食事に慣れなければいけない、ということだ。
でも、それはそれで気が楽かもしれない。
視点を変えれば、求めさえしなければ調理器具を用意する必要もないし、食材もまた然り。
おまけに、調理をすることで発生する危険要因も、まとめて払拭できるという考え方もできるわけだ。
そしてトドメとして――。
「ですが、だからこそ、宿屋などで食べる食事は格別ですよ、ユウスケ様」
――こうくるわけで。
そりゃあ、毎日のように干し肉なんて囓ってれば、湯気の立った料理なんて垂涎ものだろう。
「確かにそうかも。あと、屋根のある寝床もね」
「はい。そのありがたみを知るためにも、旅は過酷であるべきだ、とする考え方を持つ人もいるくらいですので」
「なるほどねぇ・・・・・・あんまり厳しすぎるのもこわいけど、確かにそういうのは大切だよね。僕も、ターナやクロッキアさんに、感謝の気持ちだけはなくさないようにしないと」
子供の頃、母さんに口を酸っぱくして言われていたことを思い出す。
人への感謝をなくしたらいけない。
その通りだ。自分が受ける恩恵を、当たり前だと思ってしまったその時から、自分にはそれを受け取る資格はない。
ついつい楽な方へ流されがちだからこそ、月並みなその言葉は至言となる。
「あ、そうだ」
思い出し、僕は革製の背負い袋から分厚い本を一冊、取り出す。
異人達へ、と題されたその本は、高杉博人という異人によって書かれたもので、僕にとってはまだまだ必要な指南書である。
「まだ調べてる途中のことがあって、気になってたんだった」
「気になること、ですか?」
「うん。僕自身というか・・・・・・異人の特性、かな? ほら、僕らって自分の状態とか確認できたり、習得速度が異常に早いとかあるでしょ? そのあたりの仕組みというか、色々と僕が勝手に持ってるイメージと違いがあるから、早いうちに修正しておきたいなって思って」
なんせ分厚いだけに、ゆっくりと読んでいこうなんて考えていたけれど、こうなってはあまり悠長に構えているのもよくない。
クロッキアさんが僕たちを守ってくれるとはいえ、いつまでもこのままというわけにもいかないだろう。
そのためにも、僕は僕自身をもっと知らなければいけないと思った。
自分の状態を確認できるのは分かっているけれど、一体全体どこからどこまでが情報として得られるのか。
(能力値はもう何度も確認してるけど・・・・・・そうだな、例えば・・・・・・魔法とか特技とか、かな?)
着想の入り口は、どうしても僕の既存の知識が足がかりとなってしまう。
小説であれ漫画、ゲームであれ、ステータスと聞いて思い浮かぶのは、先ほどのようなもの――つまり、スキルだ。
まぁ、この世界でもスキルと呼ぶのかどうかは分からないけれど、まずは触れてみるのが一番早い。
目を閉じ、意識を集中させる。
未だ謎の多い異人特有のこれを使いこなすには、百聞は一見にしかず、である。
すると、特定の情報を抜き取るという点は、能力値の確認で散々練習した甲斐もあり、脳内に目的のものが流れ込んでくる。
(・・・・・・うーん、これって・・・・・・)
僕は、「スキルの確認」を意識してみたわけなのだけれど。
それに僕自身が返してきた答えは、あまりにざっくりとしていた。
項目らしきものは、戦闘、魔法、精神の三つ。
そして、それらの下位項目が続けて意識の中に表示される。
(まぁ・・・・・・自分でも優秀な人間ではないっていうのはさ・・・・・・分かっていたけど・・・・・・)
戦闘、魔法ともに該当のスキルはなし。
唯一あるものは、精神の項目にある「慈悲」だけ。
未熟であることは自覚しているとはいえ、さすがに現実を突きつけられるとちょっぴり悲しい。
その悲しさのまま、せめて今の僕が唯一、スキルと呼べる領域に達しているのであろう「慈悲」とやらを、詳しく見てみる。
(えーっと・・・・・・慈悲。練度は1かぁ。これ、普通に考えたら初期値ってことだよね。んで、説明は――)
――慈悲とは、精神に関連するスキルの一つ。
他者を想う心。淀みない優しさ。そして、それを相手に伝える所作。
あるいは、特定の対象を理解しようとする心の動き。
これらを、利害ではなく自身の在り方という次元で行えることの証明。
と、あった。
(証明、かぁ・・・・・・そもそも、このスキルってどうやって習得したんだろう?)
分厚い本から目次を頼りに、目的のページを探す。
少しばかり手間取ったが、欲しい情報は思ったよりもすぐに見つかった。
曰く、スキルあるいは技能とは、実用レベルに至った自身の能力の内、特に固有したものを指している、のだとか。
そこに付随して、注意事項みたいに書かれた一文に注目する。
『誤解する異人が多いため、記しておく。このスキル、技能とは習得するから効果を発揮するのではない。その逆であり、自身が行えるから習得と見なされるのである。このことから、状態の確認とはすなわち、自身を情報体として可視化したもの、と断定できる』
堅苦しい文章での説明だが、なんとなーく意味は伝わってくる。
つまり、よくあるスキルポイントとかで、ポイントをふったからスキルを使えるようになるのではない、ということだ。
あくまで、実用に耐えうる能力がスキルとして表示される、という風に僕は受け取った。
剣術を練習していても、僕にはそれに関連するスキルがないのは、そこが原因だろう。
僕の剣術は、スキルとして固有に表示される域に達していない、というわけだ。実力、理解ともに半人前ということだろう。
『よくスキルが少ない、と落胆する者が多いが、基本的に得手不得手があるだけで、異人も変わらぬ人間である。ゲームのような、情報の中に生きる存在ではない。スキルがあろうがなかろうが、武器を振り回すことはできるし、未熟であろうと魔法に触れることも可能だ。それによって何らかの成果をあげることもできるし、ふとした瞬間にコツを掴んで急成長することもあろう。つまり、スキルとは資格のようなものであり、個人の能力を制限したり、その可能性を阻害するものではない』
続く文章を目で追い、ヘコみかけていた僕は少しだけ立ち直った。
どうやら、お先真っ暗、というほどのことではないようだ。
まぁ、このスキルに関しては、あまり見ないようにしておこう、と僕は一人心中で決める。
あくまで自分のできること、できないことを他者に伝える手段にはなるけれど、それ以上の恩恵はなさそうだし。
慈悲にしたって、説明欄を見ても見なくても使えていたってことは、そこが重要な部分ではないってことだと思う。
そこまで思考を巡らせて、当然だよなぁ、と納得する。
意識的にしろ、無意識的にしろ、重要なのは「実際に行えるのか」だ。
そういった視点で見れば、僕は意図せずして「慈悲」に相応しい行動を取れていたのだろう。
(うん、やっぱりあんまり見ないようにしよう。・・・・・・なんだか、変に意識しちゃって逆にだめだ)
それさえ、今の僕には大事な収穫だった。
これでひとまず、状態確認とスキルの問題は区切りをつけよう。
焚き火という明かりがあるとはいえ、やはり目や脳にかかる負担は大きいらしい。
多分、一時間も経ってないと思うけど、頭が重く感じた。
「難しい顔をしているな」
「あ、ちょっとこういう場所での読書は慣れていないらしくて・・・・・・」
「なら、目を閉じて身体を休ませるといい。寝ずの番なら、私に任せておけ」
明かりを間に挟み、向こう側で木の幹を背にしたクロッキアさんが、そう言ってくれる。
「ユウスケ様、よろしければ横になりますか?」
踏み固めた雪の上に、防水性のあるなめし革を敷いているのだが、勿の論で広くはない。
座ってようやく二人分、といったところだ。
つまり、僕が横になるには、必然的にターナと位置が被るというわけで。
ターナは小綺麗な布を取り出すと、自分の膝上に畳んで置き、笑顔で僕を見る。
その日輪の如し笑顔が、「さぁ、遠慮せずにどうぞ」と膝枕を勧めてきていた。
「・・・・・・っ」
即答はできない。いや、正確にはできなかった。
急速に身体を巡る血流を感じながら、視線をクロッキアさんへ向ける。
目が合った。
助けて! 助け船を出して!
「私のことは気にするな。元騎士として、男女の安息を邪魔するような野暮はしない」
(ちがーう! そうじゃないってば!)
湯浴みでさえ、こちとら毎回のように動悸がするっていうのに、膝枕なんて正気の沙汰ではない。
そりゃね、裸体をさらすわけでもないって言えばそうだけど、距離的には膝枕の方が上なのだ。
が、そんな抵抗も虚しく、僕は改めてターナを見やる。
笑顔が眩しい。目がくらむようなそれは、思わず直視を避けてしまうほどだ。
「ほ、ほら・・・・・・でも、足とか痺れると大変だから・・・・・・」
「ご安心ください。その点は、心配に及びません」
瞬殺。
最後の砦は一手の内に崩され、残るは守りを失った僕だけだ。
「じゃ、じゃあ・・・・・・」
「はい」
ゆっくりと身体を横に倒し、ターナの膝に頭を乗せる。
柔らかい、というよりも、高さも角度も丁度良い上、ほんのりと温かさまで伝わってくるようだ。
当然、こちらを見下ろすターナを、真っ正面から見上げる勇気はない。
けど、それを気にした様子はなく、しばらくしてから頭を撫でる感触が僕を眠りに誘っていった。
意識がまどろみに沈んでしまえば、朝までは一瞬だった。
目覚めは身震い。
吹き抜ける風が顔にあたり、その冷たさで意識が驚いたように飛び上がる。
まぁ、飛び上がったのは意識であって、僕の身体はごく静かに目覚めたのだけど。
「おはようございます、ユウスケ様」
「うん・・・・・・おはよ、ターナ」
ふわぁ、と欠伸を一つ。
起き上がり、伸びをすることで全身の筋肉に覚醒を伝えていく。
寝ぼけ眼のまま周囲を見回すが、特に変化らしい変化はない。
夜は暗闇で一寸先さえ見えなかったような森が、今はその不気味さも嘘のように朝日を受けている。
寒空の下での野宿なんて、もっと凍えるような思いをするものかと想像していたけど、無事に乗り越えることができてよかった。
「ターナ、膝枕ありがとうね」
「いえ、お礼には及びません。私も、ユウスケ様のお役に立てて嬉しいです」
それはよかった。
というのも束の間、意識が通常運営に入った瞬間、そのふわふわした気持ちは一転する。
「って、そうじゃない! ごめん、ターナ! ちょっとだけ休むつもりが・・・・・・」
僕は慌てて謝った。
もしずっと膝枕をしていてくれたなら、ターナは全然休めていないということになる。
「い、いえ、大丈夫です、ユウスケ様。私も、ちゃんと睡眠はとりましたから」
「で、でも・・・・・・疲れ、取れなかったでしょ?」
「いいえ、そんなことはございません。・・・・・・まるで、疲れが吹き飛んでしまうようでした」
ユウスケ様のおかげですよ、とターナは顔をほころばす。
花の咲いたような笑顔だが、そこには僅かだけ、悪戯っぽい幼さが覗き込んでいるようだった。
「やれやれ・・・・・・恵まれたものだな」
「・・・・・・へ?」
「あ、クロッキア様――」
「――分かっている。なに、君の幸運を祝福したまでだ、ユウスケ」
そろそろ支度をしよう、と話を切り上げ、クロッキアさんは焚き火の処理に動き出す。
言葉の意味を理解していない僕がぽかん、としていると、ターナが瞬きほどの合間で。
――素敵な寝顔でした。
そう、蜃気楼みたいな声を残していった。
こういうのって反則だと思う。
顔が真っ赤になるのを感じながら、僕はただ黙って荷物をまとめることしかできなかった。
とはいえ、それも身支度を調え、森の中を歩いている間に薄れていく。
名もないその森は、雪深くこそあれど、そこまで危険な雰囲気は感じられなかった。
クロッキアさんにそのことを聞いてみると、ここは商用の経路にも使われる森で、危険な野性動物はほとんどいないらしい。
いたとしても、腹を空かせた野犬くらいが関の山で、それさえ運が悪ければ遭遇する程度とのこと。
「見えてきたぞ。あれだ」
言われて目をこらすと、木々の合間の先に、家屋が建ち並んでいるのが見えた。
村落と言っていただけあって、規模はそう大きくない。
森を抜ける頃には、その全貌が分かるほどひっそりと、人々の営みがそこにあった。
周囲を確認すると、どうやら森と森の切れ目に位置しているようだ。
「狩人から始まった村でな。旅人や商人にとっては、貴重な休憩場所だ。食料はもちろん、野生動物に由来する品々も取引に出している」
クロッキアさんの説明通り、僕らと村落との距離が縮まるごとに、細部まで確認できるようになってくる。
なんというか、建物の数に比べて、妙に馬車やら牛車やらが多く感じる。
「なんか・・・・・・村落っていうには、随分と人の気配があるような」
「あぁ、ここは賑わっている。言ったろう、貴重な休憩場所だと。北部では、雪深いがために農村が栄えるには難しい自然環境だ。だからこそ、通常では捨て値同然で叩き売られるような品物が、目も飛び出るような高値で売れる機会も少なくない。商人にとって、北部への商売は危険も伴うが見返りも大きい。補給が限られるここでは、ああいった村落は重要なんだ。だから、皆がああして集まってくる」
「はぁー、なるほどぉ」
「それにな、狩人連中は金銭ではなく物々交換を好む者が多い。つまり、狩人が使うような品物も積んでおけば、貨幣でなくとも商売が成り立つ。特にどこでも手に入るような矢束は、仕入れも安価で済み、狩人との交渉でも外れがない。まさに、商売人にとっては緊急避難場所のようなものだな」
最悪、お金がなくても物々交換で宿がとれたりすると考えれば、それは大変助かることだろう。
「クロッキア様は戦士でいらっしゃるのに、随分と経済に明るいのですね」
ターナが、クロッキアさんの博学ぶりに目を見開いていた。
「いや、旅が長かっただけだ。戦士といえど、路銀がなくては立ちゆかなくなる。否が応でも、知識を蓄えざるを得ないというわけだ」
そこには、世界の洗礼を受けていた頃の自分を思い返すような、複雑な心境が表情に浮かんでいた。
会話をしながらの徒歩は、時間を忘れさせる。
最初は距離があったように見えていたが、気づけばもう村落に到着している。
背の高い木製の柵にぶち当たると、今度はそれに沿って歩いて行く。
すぐ目の前に目的地があるのだが、さすがに乗り越えて行ったりするのはまずいらしい。
やがて、門のようなものが見えてき、そこには二人の男性が立っていた。
「ようこそ、旅の人。ここには何用か?」
こちらが歩み寄ると、二人の内の一人が抑揚のない口調で声をかけてくる。
それに対応したのは、僕とターナよりも一歩踏み出したクロッキアさんだった。
「見ての通り、旅の道中だ。旅支度を調えたくて、ここを目指した」
「なるほど」
頷くと、その男性は僕とターナをじろりと睨み付ける。
・・・・・・なんだろう。何か、気に障るようなことでもしたかな。
「すまない。あまり脅さないでやってくれ。危険な連れではない」
「・・・・・・そのようだ。許せ、旅の人。どうにも、不穏な噂が絶えないのでな」
そう言うと、ぎぃぃ、と立て付けの悪い音を立てて木製の門が開いていく。
「何かあったのか?」
「東の地で、獣憑きが再び噂になっていると聞いた。それに、仲間の狩人が・・・・・・北境の方角から、大きな遠吠えを聞いたとも。いずれにせよ、歓迎される話題ではない」
「・・・・・・なるほど。獣憑きは気になるな。こちらは、これから東側を通って行くつもりだ」
「まぁ、そうだろうな。だが、あくまで噂だ。事の真偽を確かめたわけではない。・・・・・・立ち話が過ぎたな、詳しくは中で聞くといい。歓迎しよう、旅の人らよ」
門は開かれ、僕ら三人は村落への立ち入りを許された。
目的の森まで、なんとか日没前には辿り着いた僕らだったけど、やはり野宿は避けられなかった。
別段、入ったら二度と出られないといったような、大層な森ではないらしいけど、おそらくは僕に気を遣ってくれたのだと思う。
こんな寒冷地でも逞しく群生している木々――たぶん、針葉樹林ってやつだ――から枝を拝借し、こうして夜が明けるのを待っている。
食料は、王城から持ち出した干し肉と飲み水だけ。
少量の木の実やハーブなんかはあるけど、これは空腹感を満たすためのものではないそうな。
こういうのって、こう・・・・・・キャンプみたいに何か焼いたりするのかな、と思っていたけどどうなんだろう。
「ねぇ、ターナ」
「はい、なんでしょうか、ユウスケ様」
僕と同じく、すぐ隣で暖を取っていたターナが、「なんでもお聞きください」という表情で僕を見る。
僕は、あくまでイメージということを伝えた上で、先ほどの疑問を投げかけてみる。
「ユウスケ様の世界では、野宿での食事をそういう風にとらえているのですね」
「いや、あくまで想像上というか・・・・・・こう、作り話の中ではね」
「なるほど。しかし、残念ですが・・・・・・あまり、そのご期待には添えられそうにございません。例外なく、旅は軽装が基本です。重荷を背負っていては、体力を消耗するだけでなく野盗などに目をつけられる可能性も高くなってしまいます。ですので、旅の商人などは護衛を雇ったり、自衛の手段を用意しておくのが定石と言われております」
「でも・・・・・・食べ物を調理するのと、どう関係があるの?」
「はい。まず、調理をする場合、調理器具が必要になります。それに加え、食材も必要です。水分を多く含む生の場合、腐敗への対処も必要となるでしょう。更に、多くの料理は調理過程でも臭いを発します。肉を焼けば、油脂の焼ける香りが立ちこめるように、これらは空腹の野生動物を誘引する危険の種となってしまいます。無論、鼻の利く悪意ある人間もまた、引き寄せてしまうでしょう」
つらつらと並べられる要因の数々に、僕はただ頷くしかできなかった。
それだけの危険を冒してまで、野宿の際に火を通さねばいけない食事をとりたいかどうか、が最後の争点となる・・・・・・のかな、きっと。
「申し訳ございません。大変説明じみてしまいました・・・・・・」
「ううん、そんなことないよ。勉強になったし、これからのことを考えれば、今知っておけてよかったよ」
つまり、旅の間は味気ない食事に慣れなければいけない、ということだ。
でも、それはそれで気が楽かもしれない。
視点を変えれば、求めさえしなければ調理器具を用意する必要もないし、食材もまた然り。
おまけに、調理をすることで発生する危険要因も、まとめて払拭できるという考え方もできるわけだ。
そしてトドメとして――。
「ですが、だからこそ、宿屋などで食べる食事は格別ですよ、ユウスケ様」
――こうくるわけで。
そりゃあ、毎日のように干し肉なんて囓ってれば、湯気の立った料理なんて垂涎ものだろう。
「確かにそうかも。あと、屋根のある寝床もね」
「はい。そのありがたみを知るためにも、旅は過酷であるべきだ、とする考え方を持つ人もいるくらいですので」
「なるほどねぇ・・・・・・あんまり厳しすぎるのもこわいけど、確かにそういうのは大切だよね。僕も、ターナやクロッキアさんに、感謝の気持ちだけはなくさないようにしないと」
子供の頃、母さんに口を酸っぱくして言われていたことを思い出す。
人への感謝をなくしたらいけない。
その通りだ。自分が受ける恩恵を、当たり前だと思ってしまったその時から、自分にはそれを受け取る資格はない。
ついつい楽な方へ流されがちだからこそ、月並みなその言葉は至言となる。
「あ、そうだ」
思い出し、僕は革製の背負い袋から分厚い本を一冊、取り出す。
異人達へ、と題されたその本は、高杉博人という異人によって書かれたもので、僕にとってはまだまだ必要な指南書である。
「まだ調べてる途中のことがあって、気になってたんだった」
「気になること、ですか?」
「うん。僕自身というか・・・・・・異人の特性、かな? ほら、僕らって自分の状態とか確認できたり、習得速度が異常に早いとかあるでしょ? そのあたりの仕組みというか、色々と僕が勝手に持ってるイメージと違いがあるから、早いうちに修正しておきたいなって思って」
なんせ分厚いだけに、ゆっくりと読んでいこうなんて考えていたけれど、こうなってはあまり悠長に構えているのもよくない。
クロッキアさんが僕たちを守ってくれるとはいえ、いつまでもこのままというわけにもいかないだろう。
そのためにも、僕は僕自身をもっと知らなければいけないと思った。
自分の状態を確認できるのは分かっているけれど、一体全体どこからどこまでが情報として得られるのか。
(能力値はもう何度も確認してるけど・・・・・・そうだな、例えば・・・・・・魔法とか特技とか、かな?)
着想の入り口は、どうしても僕の既存の知識が足がかりとなってしまう。
小説であれ漫画、ゲームであれ、ステータスと聞いて思い浮かぶのは、先ほどのようなもの――つまり、スキルだ。
まぁ、この世界でもスキルと呼ぶのかどうかは分からないけれど、まずは触れてみるのが一番早い。
目を閉じ、意識を集中させる。
未だ謎の多い異人特有のこれを使いこなすには、百聞は一見にしかず、である。
すると、特定の情報を抜き取るという点は、能力値の確認で散々練習した甲斐もあり、脳内に目的のものが流れ込んでくる。
(・・・・・・うーん、これって・・・・・・)
僕は、「スキルの確認」を意識してみたわけなのだけれど。
それに僕自身が返してきた答えは、あまりにざっくりとしていた。
項目らしきものは、戦闘、魔法、精神の三つ。
そして、それらの下位項目が続けて意識の中に表示される。
(まぁ・・・・・・自分でも優秀な人間ではないっていうのはさ・・・・・・分かっていたけど・・・・・・)
戦闘、魔法ともに該当のスキルはなし。
唯一あるものは、精神の項目にある「慈悲」だけ。
未熟であることは自覚しているとはいえ、さすがに現実を突きつけられるとちょっぴり悲しい。
その悲しさのまま、せめて今の僕が唯一、スキルと呼べる領域に達しているのであろう「慈悲」とやらを、詳しく見てみる。
(えーっと・・・・・・慈悲。練度は1かぁ。これ、普通に考えたら初期値ってことだよね。んで、説明は――)
――慈悲とは、精神に関連するスキルの一つ。
他者を想う心。淀みない優しさ。そして、それを相手に伝える所作。
あるいは、特定の対象を理解しようとする心の動き。
これらを、利害ではなく自身の在り方という次元で行えることの証明。
と、あった。
(証明、かぁ・・・・・・そもそも、このスキルってどうやって習得したんだろう?)
分厚い本から目次を頼りに、目的のページを探す。
少しばかり手間取ったが、欲しい情報は思ったよりもすぐに見つかった。
曰く、スキルあるいは技能とは、実用レベルに至った自身の能力の内、特に固有したものを指している、のだとか。
そこに付随して、注意事項みたいに書かれた一文に注目する。
『誤解する異人が多いため、記しておく。このスキル、技能とは習得するから効果を発揮するのではない。その逆であり、自身が行えるから習得と見なされるのである。このことから、状態の確認とはすなわち、自身を情報体として可視化したもの、と断定できる』
堅苦しい文章での説明だが、なんとなーく意味は伝わってくる。
つまり、よくあるスキルポイントとかで、ポイントをふったからスキルを使えるようになるのではない、ということだ。
あくまで、実用に耐えうる能力がスキルとして表示される、という風に僕は受け取った。
剣術を練習していても、僕にはそれに関連するスキルがないのは、そこが原因だろう。
僕の剣術は、スキルとして固有に表示される域に達していない、というわけだ。実力、理解ともに半人前ということだろう。
『よくスキルが少ない、と落胆する者が多いが、基本的に得手不得手があるだけで、異人も変わらぬ人間である。ゲームのような、情報の中に生きる存在ではない。スキルがあろうがなかろうが、武器を振り回すことはできるし、未熟であろうと魔法に触れることも可能だ。それによって何らかの成果をあげることもできるし、ふとした瞬間にコツを掴んで急成長することもあろう。つまり、スキルとは資格のようなものであり、個人の能力を制限したり、その可能性を阻害するものではない』
続く文章を目で追い、ヘコみかけていた僕は少しだけ立ち直った。
どうやら、お先真っ暗、というほどのことではないようだ。
まぁ、このスキルに関しては、あまり見ないようにしておこう、と僕は一人心中で決める。
あくまで自分のできること、できないことを他者に伝える手段にはなるけれど、それ以上の恩恵はなさそうだし。
慈悲にしたって、説明欄を見ても見なくても使えていたってことは、そこが重要な部分ではないってことだと思う。
そこまで思考を巡らせて、当然だよなぁ、と納得する。
意識的にしろ、無意識的にしろ、重要なのは「実際に行えるのか」だ。
そういった視点で見れば、僕は意図せずして「慈悲」に相応しい行動を取れていたのだろう。
(うん、やっぱりあんまり見ないようにしよう。・・・・・・なんだか、変に意識しちゃって逆にだめだ)
それさえ、今の僕には大事な収穫だった。
これでひとまず、状態確認とスキルの問題は区切りをつけよう。
焚き火という明かりがあるとはいえ、やはり目や脳にかかる負担は大きいらしい。
多分、一時間も経ってないと思うけど、頭が重く感じた。
「難しい顔をしているな」
「あ、ちょっとこういう場所での読書は慣れていないらしくて・・・・・・」
「なら、目を閉じて身体を休ませるといい。寝ずの番なら、私に任せておけ」
明かりを間に挟み、向こう側で木の幹を背にしたクロッキアさんが、そう言ってくれる。
「ユウスケ様、よろしければ横になりますか?」
踏み固めた雪の上に、防水性のあるなめし革を敷いているのだが、勿の論で広くはない。
座ってようやく二人分、といったところだ。
つまり、僕が横になるには、必然的にターナと位置が被るというわけで。
ターナは小綺麗な布を取り出すと、自分の膝上に畳んで置き、笑顔で僕を見る。
その日輪の如し笑顔が、「さぁ、遠慮せずにどうぞ」と膝枕を勧めてきていた。
「・・・・・・っ」
即答はできない。いや、正確にはできなかった。
急速に身体を巡る血流を感じながら、視線をクロッキアさんへ向ける。
目が合った。
助けて! 助け船を出して!
「私のことは気にするな。元騎士として、男女の安息を邪魔するような野暮はしない」
(ちがーう! そうじゃないってば!)
湯浴みでさえ、こちとら毎回のように動悸がするっていうのに、膝枕なんて正気の沙汰ではない。
そりゃね、裸体をさらすわけでもないって言えばそうだけど、距離的には膝枕の方が上なのだ。
が、そんな抵抗も虚しく、僕は改めてターナを見やる。
笑顔が眩しい。目がくらむようなそれは、思わず直視を避けてしまうほどだ。
「ほ、ほら・・・・・・でも、足とか痺れると大変だから・・・・・・」
「ご安心ください。その点は、心配に及びません」
瞬殺。
最後の砦は一手の内に崩され、残るは守りを失った僕だけだ。
「じゃ、じゃあ・・・・・・」
「はい」
ゆっくりと身体を横に倒し、ターナの膝に頭を乗せる。
柔らかい、というよりも、高さも角度も丁度良い上、ほんのりと温かさまで伝わってくるようだ。
当然、こちらを見下ろすターナを、真っ正面から見上げる勇気はない。
けど、それを気にした様子はなく、しばらくしてから頭を撫でる感触が僕を眠りに誘っていった。
意識がまどろみに沈んでしまえば、朝までは一瞬だった。
目覚めは身震い。
吹き抜ける風が顔にあたり、その冷たさで意識が驚いたように飛び上がる。
まぁ、飛び上がったのは意識であって、僕の身体はごく静かに目覚めたのだけど。
「おはようございます、ユウスケ様」
「うん・・・・・・おはよ、ターナ」
ふわぁ、と欠伸を一つ。
起き上がり、伸びをすることで全身の筋肉に覚醒を伝えていく。
寝ぼけ眼のまま周囲を見回すが、特に変化らしい変化はない。
夜は暗闇で一寸先さえ見えなかったような森が、今はその不気味さも嘘のように朝日を受けている。
寒空の下での野宿なんて、もっと凍えるような思いをするものかと想像していたけど、無事に乗り越えることができてよかった。
「ターナ、膝枕ありがとうね」
「いえ、お礼には及びません。私も、ユウスケ様のお役に立てて嬉しいです」
それはよかった。
というのも束の間、意識が通常運営に入った瞬間、そのふわふわした気持ちは一転する。
「って、そうじゃない! ごめん、ターナ! ちょっとだけ休むつもりが・・・・・・」
僕は慌てて謝った。
もしずっと膝枕をしていてくれたなら、ターナは全然休めていないということになる。
「い、いえ、大丈夫です、ユウスケ様。私も、ちゃんと睡眠はとりましたから」
「で、でも・・・・・・疲れ、取れなかったでしょ?」
「いいえ、そんなことはございません。・・・・・・まるで、疲れが吹き飛んでしまうようでした」
ユウスケ様のおかげですよ、とターナは顔をほころばす。
花の咲いたような笑顔だが、そこには僅かだけ、悪戯っぽい幼さが覗き込んでいるようだった。
「やれやれ・・・・・・恵まれたものだな」
「・・・・・・へ?」
「あ、クロッキア様――」
「――分かっている。なに、君の幸運を祝福したまでだ、ユウスケ」
そろそろ支度をしよう、と話を切り上げ、クロッキアさんは焚き火の処理に動き出す。
言葉の意味を理解していない僕がぽかん、としていると、ターナが瞬きほどの合間で。
――素敵な寝顔でした。
そう、蜃気楼みたいな声を残していった。
こういうのって反則だと思う。
顔が真っ赤になるのを感じながら、僕はただ黙って荷物をまとめることしかできなかった。
とはいえ、それも身支度を調え、森の中を歩いている間に薄れていく。
名もないその森は、雪深くこそあれど、そこまで危険な雰囲気は感じられなかった。
クロッキアさんにそのことを聞いてみると、ここは商用の経路にも使われる森で、危険な野性動物はほとんどいないらしい。
いたとしても、腹を空かせた野犬くらいが関の山で、それさえ運が悪ければ遭遇する程度とのこと。
「見えてきたぞ。あれだ」
言われて目をこらすと、木々の合間の先に、家屋が建ち並んでいるのが見えた。
村落と言っていただけあって、規模はそう大きくない。
森を抜ける頃には、その全貌が分かるほどひっそりと、人々の営みがそこにあった。
周囲を確認すると、どうやら森と森の切れ目に位置しているようだ。
「狩人から始まった村でな。旅人や商人にとっては、貴重な休憩場所だ。食料はもちろん、野生動物に由来する品々も取引に出している」
クロッキアさんの説明通り、僕らと村落との距離が縮まるごとに、細部まで確認できるようになってくる。
なんというか、建物の数に比べて、妙に馬車やら牛車やらが多く感じる。
「なんか・・・・・・村落っていうには、随分と人の気配があるような」
「あぁ、ここは賑わっている。言ったろう、貴重な休憩場所だと。北部では、雪深いがために農村が栄えるには難しい自然環境だ。だからこそ、通常では捨て値同然で叩き売られるような品物が、目も飛び出るような高値で売れる機会も少なくない。商人にとって、北部への商売は危険も伴うが見返りも大きい。補給が限られるここでは、ああいった村落は重要なんだ。だから、皆がああして集まってくる」
「はぁー、なるほどぉ」
「それにな、狩人連中は金銭ではなく物々交換を好む者が多い。つまり、狩人が使うような品物も積んでおけば、貨幣でなくとも商売が成り立つ。特にどこでも手に入るような矢束は、仕入れも安価で済み、狩人との交渉でも外れがない。まさに、商売人にとっては緊急避難場所のようなものだな」
最悪、お金がなくても物々交換で宿がとれたりすると考えれば、それは大変助かることだろう。
「クロッキア様は戦士でいらっしゃるのに、随分と経済に明るいのですね」
ターナが、クロッキアさんの博学ぶりに目を見開いていた。
「いや、旅が長かっただけだ。戦士といえど、路銀がなくては立ちゆかなくなる。否が応でも、知識を蓄えざるを得ないというわけだ」
そこには、世界の洗礼を受けていた頃の自分を思い返すような、複雑な心境が表情に浮かんでいた。
会話をしながらの徒歩は、時間を忘れさせる。
最初は距離があったように見えていたが、気づけばもう村落に到着している。
背の高い木製の柵にぶち当たると、今度はそれに沿って歩いて行く。
すぐ目の前に目的地があるのだが、さすがに乗り越えて行ったりするのはまずいらしい。
やがて、門のようなものが見えてき、そこには二人の男性が立っていた。
「ようこそ、旅の人。ここには何用か?」
こちらが歩み寄ると、二人の内の一人が抑揚のない口調で声をかけてくる。
それに対応したのは、僕とターナよりも一歩踏み出したクロッキアさんだった。
「見ての通り、旅の道中だ。旅支度を調えたくて、ここを目指した」
「なるほど」
頷くと、その男性は僕とターナをじろりと睨み付ける。
・・・・・・なんだろう。何か、気に障るようなことでもしたかな。
「すまない。あまり脅さないでやってくれ。危険な連れではない」
「・・・・・・そのようだ。許せ、旅の人。どうにも、不穏な噂が絶えないのでな」
そう言うと、ぎぃぃ、と立て付けの悪い音を立てて木製の門が開いていく。
「何かあったのか?」
「東の地で、獣憑きが再び噂になっていると聞いた。それに、仲間の狩人が・・・・・・北境の方角から、大きな遠吠えを聞いたとも。いずれにせよ、歓迎される話題ではない」
「・・・・・・なるほど。獣憑きは気になるな。こちらは、これから東側を通って行くつもりだ」
「まぁ、そうだろうな。だが、あくまで噂だ。事の真偽を確かめたわけではない。・・・・・・立ち話が過ぎたな、詳しくは中で聞くといい。歓迎しよう、旅の人らよ」
門は開かれ、僕ら三人は村落への立ち入りを許された。
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