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第5話 女尊男卑の世界
しおりを挟むこの世界に転生して約一年が経過した。
本当に色々大変な一年だった。
俺は初め、自分は中世くらいの農村に転生したんだろうと思っていた。
だから大人しく平和に農民として生活して、マシな女と普通に結婚して、前世の知識チートでチヤホヤされて、そんな生活を夢見ていた。
しかしこの世界はそんな甘くなかった。
この世界は、女尊男卑が根付いた世界だった。
どういうことかと言うと、まず男は女に比べて圧倒的に少ない。
え?それならむしろ逆で優遇されるんじゃ無いの?と思うかも知れないが、それは世界が戦争など無く平和な場合だ。この世界は普通に国同士の戦争があったりする。そのため国を守るのに必要な力を持った人物が偉い立場になりやすい。
そしてここで最大の誤算である、男女の能力の差違だ。
結論から言うと信じられないことに男は女よりも身体能力・頭脳の両方の面で劣っている。それも肉体の構造上。おそらく男でも鍛えれば女と対等に戦えるようにはなるかもしれないがそれは一般人相手であり、国を守る騎士団に所属する相手やトレーニングを積んだ女相手では非常に厳しいらしい。
更に悪いことに、女尊男卑だけではなく貞操観念も逆転していた。
これについてはよく分からなかったが、前世の貞操観念を持つ俺がおかしい話で、この事を疑問視する人は誰も居なかった。
これらの実情があれば、自然と女の方が立場は上になり男はその数の少なさから、店の受付や接客、風俗やソープなど異性という点を活かして生存してきた。
これが1年過ごしてわかった事だった。
神様が俺を虐めるために作った世界と言われても余裕で納得できる世界だった。
俺が調べた限りではこの村の人口は約3,000人であり面積的に言えば前世の”市”くらいの大きさなんだけど、本当に女ばっかりであり見つけた男もナヨナヨ然としていて覇気が無く、アンチフェミの俺にとっては女に勝つことを諦めているその態度は非常に情けなかった。
そしてこの世界で生きていく上で俺には夢が出来た。
それは――――――女が目指す職である騎士に男の俺がなることだ。
制度的に女限定な訳でも無い(男への侮辱として『騎士を目指さない軟弱者』があるので裏を返せば目指すことは出来る)らしい。
俺が騎士になれば、大多数の女は俺以下の存在という事になる。悔しがる女どもの表情を見るのが俺の生きがいだ。
俺はこの一年間でいろんな目に合ってきたが、どうしても女相手に負けるのは嫌だし偉そうにしているのがむかつく。この前なんか、村で俺が男達(おじさんやお兄さん)と話しているとわざわざ女達(年の近い)が来て、『誰を娶ろうかなー?タイチにしようかなー?』『私はタイチがいいな~!』『タイチっていい身体してるよね!』のようにねっとりとした目で見られた。おじさん達は『タイチはカッコいいから大変だね』と暗さを含んだ苦笑いをしていた。何か辛いことでもあったのかもしれない。
自分の顔を知らないと気付いた俺は、水を汲んで水面越しに顔を確認した。そしたら結構なイケメンだった。黒髪黒目なんだけど目がぱっちりで肌が白くて爽やか系な感じ。普通なら不細工よりもイケメンの方が嬉しいはずなのに、こんな気持ちは初めてだった。
唯でさえ娯楽が少ないんだ、あいつらは理性を制御できない獣と一緒なのでなるべく近づかないようにしている。
俺は女相手に媚びを売るつもりも無ければ見下されるのを許容するつもりもない。俺の方が上だ!
そろそろ村で年の近い子供達を集めて学校みたいなものが始まるが、とりあえず運動では……若干苦しいので(勝てないとは言っていない)算数とかで無双しようと思っている。
――女達の悔しがる姿が楽しみだ!
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