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「名前〈ナーメ〉」
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しおりを挟む目が覚めると、「私」は白い天井の部屋にいた。
少し首を動かすと、部屋全体が白いことがわかる。
白い壁、白い床、白い家具。
汚したら大変そうだ。
ここは、どこだっけ。
どうにもこうにも思い出せない。
………あれ、名前
「私」の名前すら思い出せない、よ?
Oh………記憶喪失………?
コンコン、
「は、はい!?」
「はいるよー?」
現れたのは、整った顔の少年。
すごく綺麗な瞳をしている。
色素が薄くて、青みがかっているような。
十二、三歳だろうか。
モテそう。
「だから、十五歳だってば。それに、地味に褒められると照れるんだけど」
「………え、えと…ごめんなさい、「私」の、友達ですか…?」
「……………………………………………………………………………………………………………………?」
「ご、ごめんなさい……記憶喪失、らしいんです。」
「……………………………えええええぇぇ……」
「えーと、あのぅ、今「私」、思ってたこと言っちゃってました、……か?」
「……いいや?ええとね、僕は心を読み取る能力を持っているんだ」
「そ、そうなんですか……? 」
「そうなんです…………」
申し訳ないなぁ……。(汗)
「………僕の名前は、レーゼン。君と僕は友達ではなかったよ。昨日出会ったばかりで、お互いに名前も名乗ってない。でもね、そこそこいっぱい話をしたんだ。昨日はね?」
「そ、そうなんですか。……すいません、覚えてなくて………一体、ここはどこで、僕は誰なんでしょうか?」
「それは、今は言えない。ここの一番偉い人のところに行こうね。僕らの、それと今日からは君の両親になる人の所に、ね」
(昨日のこの子とは全く違う喋り方だ。別の「私」が能力を護ってると考えた方がいい。多分、昨日ミス・エルターンが記憶を変えようとした時、咄嗟に元の「私」がこの子の身を護ろうとしたんだろう。でも、護りきれずに記憶喪失、か………それに、名前を与えられてないのも気になるな……)
コンコン、
「お入りなさい」
キィィィ、と軋んだ音を立てる。
中にいたのは、真っ白い服を着た美しい女性、黒い服に白衣を着た眼鏡の男性、そして(多分)双子の少年二人。
「失礼します、レーゼンです。新しい入居者を連れてきました。」
「ご苦労様。さがっていいですよ。」
軽く会釈して、レーゼンがドアに向かおうとする。
待って、(汗)
(……レーゼン、行っちゃうの……?)
……きっと、心を読んだのだろう。
少し微笑んで、大丈夫だよ、というような目線を向けてきた。
「ようこそ、フェーイヒ・カイト子ども院へ。」
「は、はい!」
「そんなに硬くならなくて結構です。私達があなたに危害を加えることは一切ありませんから。……まずは、そうですね。お名前を聞いてもよろしいですか?」
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