僕と吸血鬼猫。

チョコレートパフェ

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僕と吸血猫。

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5月6日、今日は土砂降りで、公園の屋根があるベンチの方で雨宿りをしていた。
 
偶然、箱を見つけた、ボロボロのダンボール。紙が貼り付けてあり、そこには『拾ってください』と書かれていた。
 
(初めて見た、ホントにあるんだな)
 
と思いながら開けてみると、中には漫画にでも出てくるような感じの薄ピンク色できれない毛並みの子猫がいた。

ダンボールの端に亡霊のようにいたので見つけるのに時間がかかった。
 
抱き上げてみると、ゆっくりと目を開けた。透き通るような水色で、ちょっと見惚れた。少しするとその猫は「にゃあ」と可愛らしい声で鳴いた。しばらくすると…
 
「ちをください‥にゃあ」
 
「はっ!?」
 
びっくりして変な声が出てしまった。
 
「ちをくださいにゃあ」 
 
猫が喋ったぁー!?なんて驚いている間もなく猫が続けていった
 
「だから‥ちをくださいってば」

「えっ‥と」
 
「えっ‥とじゃないです。ちをよこせっていってるんですよ」 
 
「えっ、ちょっと待って(汗)」
 
「まてないです。はやくちをよこせ」
 
 
はじめは敬語だった猫だが、どんどん言葉遣いが酷くなっている、猫の身体がブルブルと震えている、余裕がないのだろう。
 
しかし余裕がないのは僕も一緒なのだ。
 
猫「どんだけはらぺこだとおもっているんですか、しかもけっこうさむいんですよ、だからはやくちをよこせ」
 
「ヤダ(´ー∀ー`)」 
 
「ふざけるなです」
 
「えー……(*´・д・)エェェ~」

なんて、猫(?)との会話を楽しんでいる僕がいた。
 
「ふざけるな!、ぼくいま、わりとやばいんだ!!やばいんだよ!!」
 
そう叫ぶと、猫の身体がより一層震えだした。
どうやら本当にやばいようだ。
 
空腹で死にそうって感じだろう、
  
僕もふざけるのはやめて真面目に考えた。
 
さて、どうしようか、まぁこう言うしかないかな

「僕の言うこと何でも聞くって誓ってくれるんだったら、血をあげるよ」 
 
見捨てるのも可愛そうだし、なんと言ってもこんな面白いものを逃がすってのもってのほかだ
 
よくわからない生き物に血をあげるんだし、これくらいの誓い
は必要だろう
 
「……そうきましたか……」
 
猫は僕との口論の際 いっさい表情を変えなかったそのポーカーフェイスを崩し、呟いた
 
猫は顔をポーカーフェイスに戻し、
 
「わかりました‥……そのちかい、しょうだくします
 ですから……はやく……ちを、ください」
 
「……あぁ、いいよ」
 
僕は、猫を首の付け根に持って行った

「ここらへんでいいかな?」

猫は、はいとかすかに返事をしたかと思うと、勢い良くがぶりと噛みついた
                 トウスイカン
じゅるじゅると血を吸われ、僕は軽い陶酔感を味わう。 

少しの間、猫は夢中で僕の血を飲んでいたが、ごくん、と飲み干す音が聞こえたと同時に、その口が僕の首から離れた。  

「もう、いいのか?」  

そう尋ねると、猫は少し尻尾を振ってこたえた。  

「ええ、ありがとうございます」 

もう充分です、と猫は言った。 

その直後、猫の体が、カッと強い光を発し、僕は思わず目を瞑った。 
  

「ああ・・・この姿になるのも、久しぶりです・・・」  


そんな、あの猫の声が聞こえ、僕はゆっくりと目を開けた。 

すると、そこには。 

薄桃の髪、水色の瞳を持った、僕と同じ年頃の少女が、僕に覆いかぶさる形になっていた。  

ということは、つまり、この少女は。 

っていや、それよりも。 

この状況、なんかヤバくないか。 


「えっ、ちょっお、お前っ・・・」 

「お腹いっぱい、美味しい君の血のおかげで力も取り戻しましたから、ちょっと変化してみました。」 

「・・・っ、元の姿に早く戻れ、バカ猫!全裸で誇らしげにするな!!」  

「?……あっ」  


そう、彼女は全裸で、僕に覆いかぶさっていたのである。 

いくら人の来ない公園とはいえ、この状況は困る。  

この異常な状況に混乱する頭を抱えていると、いつの間にか猫に戻った彼女は、僕の横にちょこんと座ると、 


「今更ですが、僕の名前は桃野魅衣華と言います。君の名前は?」 
  

と言った。 


「相坂裕翔だ」 

「そうですか、では、相坂君、僕はどうすればいいですか?」 

「そうだな、とりあえず」  


なんだかこの先いろいろとありそうだけれど・・・まぁ、面白そうだからいいだろう。  


「僕は一人暮らしで寂しいんだけど、一緒に暮らしてくれるかい?」 

「・・・は?」 


僕の言葉にキョトンとする彼女に、僕は言葉を続けた。 


「異論は認めないぜ?誓っただろ?」  


そう言うと、猫はビクッと体を震わせて、  


「・・・わかりました。君の血は美味しいですしね」  


一緒に暮らすかわりにちゃんと血をくださいよ、条件をつけつつ、猫はそう答えた。  

こうして、僕は彼女と一緒に暮らすことになったわけだが。 

そもそも彼女は一体なんなのだろうと今更ながら疑問に思う。 


「そういえば魅衣華」 

「なんですか相坂君」 

「結局君はなんなんだい?」 

「秘密です」 

「血は食事みたいなものなのか」 

「まぁ、そんなところです」 

聞いてみたものの、ろくに答える気がないらしい。  

秘密を暴くのも、今後の楽しみの一つにでもしておくか。 

自分の体は、今のところ異変はないようだし、謎さえ解ければ何かしらわかるだろう。 

こうして、僕と吸血猫の魅衣華、不思議な共同生活が始まった。 

 

 
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