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閑話

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 「ねえ、新山さん。萌が打ち上げのこと知らなかったんだけど、ちゃんと知らせてくれた?」

萌が帰った後、星華が明菜に尋ねる。

こういう時、男子が関わらないほうがいいと知っている春希は、一緒に聞きに行こうとした潤を慌てて止めめた。

「え? ――あっ! ごめんなさい、どうしよう、工藤さんに言うの忘れてた!」

明菜がさも今気づいたかのように言う。
忘れたということにした方が自分に有利だと瞬時に判断するあたりはさすがだ。

そう言われてしまえば、星華が明菜を責めるかとはできない。
忘れる事なんて誰にでもあるし、それを責めるほうが悪者だ。

「そっか、萌が自分だけ知らされなかったの気にしてたから、次からは気を付けてね」
それだけ言うと、怒りをこらえて自分の席に戻る。



「忘れてたって、ほんとかよ」
さっそく春希が不審げに首をかしげる。

潤も納得がいってない顔だ。

「絶対嘘よ。男子たちが話してたんだけど、体育祭中、女子が萌の悪口言ってたらしいの。その中に新山さんもいたらしいから」
星華が強い調子で言う。


「マジで? 萌、あんないい子なのに。女子怖すぎ」

「ま、なんかあったら私たちが守ればいいだけだし。それより二人は打ち上げ参加するの?」

「いや、俺らは参加しないよ。星華は?」

「私もパス。萌がいないなら楽しくないし」

「それな。じゃあ途中まで一緒に帰ろうぜ」

三人で席を立つ。
教室を出ようとすると、

「春希君、潤君もう帰るの? 打ち上げは行くよねっ!?」

明菜や他の女子たちが潤と春希の周りに集まってくる。

「いや、俺らは行かないよ」

普段は女子たちに笑顔を絶やさない春希が冷静に答える。

「えっ、なんで? 潤君と春希君がいなきゃつまんないよ」
真顔の春希に戸惑う明菜。


「俺らも、萌がいなきゃつまらないから」
潤がそう言い、春希と連れ立って教室から出た。




「春希が女子に冷たいなんて珍しいじゃん」
星華がからかう。

「そういう気分じゃないんだよ」

どうやら明菜への怒りは無くなっていないようだ。




「じゃあまた月曜日!」

「おう!」
「またな!」


星華は潤たちと駅で別れる。







 一つ確かなことは、星華も潤も春希も萌が大切だということ。
あと、潤の萌への接し方は明らかに他の女子への対応とは違うということ。



 星華は一人ムフフッと笑った。 
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