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旅立ち
闇の魔法
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目が覚めると私は自分のベッドの上で眠っていた。ウィズがベッドの袖で寝ているので彼女がここまで運んでくれたのだろう。
私はもともと魔力が少ないので一度の魔法で全魔力を消費したらしい。それくらいは勉強嫌いな私でも知っている。
ウィズがそれについては何度も
「サクラさん、
特に気をつけてくださいね?
調子に乗ってポンポン魔法使わないでくださいよ?」
とろくに魔法を使えなかった私に言い聞かせてくれていた。
たった一度使っただけで倒れてしまうのは流石に予想していなかったが、
あの魔法は道化師アズルも驚いていた様子だったから特別なのかもしれない。
なぜか少し魔法について勉強がしたくなってきた。
私はウィズを起こさないようにベッドを出て、まだ朝日も昇っていない薄暗い時間に図書館へと向かうことにした。
そういえば ウィズは転移魔法が使えると言っていた。
今回も使ったのだろうが、
洞穴の中で、いや、図書館から帰るときにでも使ってくれればよかったのになんて思ってしまっている。
だが今回に関しては私が言い出したことでああいうことになってしまったので見逃してあげることにした。
私はなんて優しいんだろう。
いつものことだが、人がいなく、静まりかえっている図書館に到着した私は両手の握りこぶし分くらいある分厚い魔法書を手に取った。この魔法書には基礎からあまり知られていないことまで、幅広く丁寧に書き記されている。椅子に腰掛け、魔法書を開け読み始めた。
まず魔法は大きく
2つの種類に分けられ、
その中でさらに3つに分けられる。
まず、光の魔法か闇の魔法かだ。
そしてそれぞれ、初級魔法、中級魔法、上級魔法に分類されている。
上級魔法より強力な魔法として、
調律魔法や、極大魔法
なども書いてあるが、このレベルの魔法は例外であり、私には関係のない話だ。
そうであると願いたい。昨日の有様だと
まず闇の魔法であることに間違いはないだろう。魔王アズルが驚くとなると、
もしかすると調律魔法とかの可能性もあるのだが、もし、そうだとして、王国の人などに見られでもしたら魔王退治に連れ出されることだろう。
それだけは避けたい。厄介ごとに首を突っ込んでいいことがあるとは思えないからだ。ただ面倒くさいとかというわけでは決してない。決して。
しかしずいぶん長いこと分厚い本を読み進めたのにもかかわらず、闇の魔法について書かれているのはほんのわずかなことだけだった。それに本来闇の魔法は相手にとって不利となる効果を与えるものらしい。例えば、相手の苦手な属性の魔法耐性を下げたり、素早さ、ちから、守りなどのステータスを低下させるといった感じだ。この闇の魔法がウィズにかけられた呪いを解いたのなら少し意味合いが違う気がするのだ。そういえばウィズが読んでいた本には、全てを飲み込むことがあると書いていた気がする。といってもウィズが読んでいるのを聞いただけだが。
もしかすると闇の魔法には別の効果や使い方があるのではないかと推測をする。
例えば、ウィズの足にかかった呪いの効果を闇の魔法が消滅させた。または、私の闇の魔法がただ、呪いよりも強力で効果が上書きされただけということもありえる。そうだとすれば私の魔法が目に見えない形で今もウィズに発動していることになる。たとえ自分の魔法だとしても解除する方法とかはわからない。
闇の魔法は強力なのは確かだ。しかし、強力ゆえに反動が大きかったり、コントロールができないようでは使おうという気にはなれない。光の魔法は私には使えないのだろうか。
また魔法書をめくり出す。
光の魔法と闇の魔法は相反するものであり、光は闇を。闇は光を。それぞれを飲み込もうとする。その勝敗は魔法を放った者の魔力量や力量によって変化する。
光の魔法を使う者に闇の魔法は使えるということはまずありえない。その逆も同じである。もし2つの相反する魔法を使おうとすれば、精神を蝕まれ、平生を保つことは不可能だろう。長い歴史においてそれを覆した者は数えられるほどしか存在していない。しかし彼らは皆、最終的に魔力の暴発によってその命を落としている。
なるほど、むりだ。
となると頑張って闇の魔法を使いこなせるようにならないといけないみたいだ。
やはりここで大きな決断をしなければならない。
ふと外を見てみると、あたりはすっかり明るくなっていた。
私は読みかけの魔法書を閉じ、大きく深呼吸をした。椅子から立ち上がり、本を元の場所に戻してからウィズが寝ているであろう私の家に帰ることにした。
家への帰り道はこの私の考えている大きな決断が頭を離れなかった。なんたって私一人で決めていいようなことではないからだ。
家に着いた頃には ウィズは起きていた。とても心配していたのか、私が帰ってきたらすぐ飛びついてきた。どうしてそこまで心配しているのかと聞くと
ウィズは驚いた顔で「何言ってるんですかサクラさん!丸3日もおきなかったんですよ!!??」
ん?なんだと。丸3日だと?ということはあの日から3日間も眠っていたのか。
1日だけだと思っていた私はとても驚いていた。「私が起きたらサクラさんがいないし、なかなか帰ってこないし!!」
ウィズが珍しく私の胸ぐらを掴んでゆさゆさと怒っている。こんなことを言うようなタイプではないのだが、ちょっと可愛かった。
「ウィズ、心配かけてごめん。あと、
すごい急なんだけど、今から冒険に出かけよう!」
ウィズに頰をひっぱたかれた。
私はもともと魔力が少ないので一度の魔法で全魔力を消費したらしい。それくらいは勉強嫌いな私でも知っている。
ウィズがそれについては何度も
「サクラさん、
特に気をつけてくださいね?
調子に乗ってポンポン魔法使わないでくださいよ?」
とろくに魔法を使えなかった私に言い聞かせてくれていた。
たった一度使っただけで倒れてしまうのは流石に予想していなかったが、
あの魔法は道化師アズルも驚いていた様子だったから特別なのかもしれない。
なぜか少し魔法について勉強がしたくなってきた。
私はウィズを起こさないようにベッドを出て、まだ朝日も昇っていない薄暗い時間に図書館へと向かうことにした。
そういえば ウィズは転移魔法が使えると言っていた。
今回も使ったのだろうが、
洞穴の中で、いや、図書館から帰るときにでも使ってくれればよかったのになんて思ってしまっている。
だが今回に関しては私が言い出したことでああいうことになってしまったので見逃してあげることにした。
私はなんて優しいんだろう。
いつものことだが、人がいなく、静まりかえっている図書館に到着した私は両手の握りこぶし分くらいある分厚い魔法書を手に取った。この魔法書には基礎からあまり知られていないことまで、幅広く丁寧に書き記されている。椅子に腰掛け、魔法書を開け読み始めた。
まず魔法は大きく
2つの種類に分けられ、
その中でさらに3つに分けられる。
まず、光の魔法か闇の魔法かだ。
そしてそれぞれ、初級魔法、中級魔法、上級魔法に分類されている。
上級魔法より強力な魔法として、
調律魔法や、極大魔法
なども書いてあるが、このレベルの魔法は例外であり、私には関係のない話だ。
そうであると願いたい。昨日の有様だと
まず闇の魔法であることに間違いはないだろう。魔王アズルが驚くとなると、
もしかすると調律魔法とかの可能性もあるのだが、もし、そうだとして、王国の人などに見られでもしたら魔王退治に連れ出されることだろう。
それだけは避けたい。厄介ごとに首を突っ込んでいいことがあるとは思えないからだ。ただ面倒くさいとかというわけでは決してない。決して。
しかしずいぶん長いこと分厚い本を読み進めたのにもかかわらず、闇の魔法について書かれているのはほんのわずかなことだけだった。それに本来闇の魔法は相手にとって不利となる効果を与えるものらしい。例えば、相手の苦手な属性の魔法耐性を下げたり、素早さ、ちから、守りなどのステータスを低下させるといった感じだ。この闇の魔法がウィズにかけられた呪いを解いたのなら少し意味合いが違う気がするのだ。そういえばウィズが読んでいた本には、全てを飲み込むことがあると書いていた気がする。といってもウィズが読んでいるのを聞いただけだが。
もしかすると闇の魔法には別の効果や使い方があるのではないかと推測をする。
例えば、ウィズの足にかかった呪いの効果を闇の魔法が消滅させた。または、私の闇の魔法がただ、呪いよりも強力で効果が上書きされただけということもありえる。そうだとすれば私の魔法が目に見えない形で今もウィズに発動していることになる。たとえ自分の魔法だとしても解除する方法とかはわからない。
闇の魔法は強力なのは確かだ。しかし、強力ゆえに反動が大きかったり、コントロールができないようでは使おうという気にはなれない。光の魔法は私には使えないのだろうか。
また魔法書をめくり出す。
光の魔法と闇の魔法は相反するものであり、光は闇を。闇は光を。それぞれを飲み込もうとする。その勝敗は魔法を放った者の魔力量や力量によって変化する。
光の魔法を使う者に闇の魔法は使えるということはまずありえない。その逆も同じである。もし2つの相反する魔法を使おうとすれば、精神を蝕まれ、平生を保つことは不可能だろう。長い歴史においてそれを覆した者は数えられるほどしか存在していない。しかし彼らは皆、最終的に魔力の暴発によってその命を落としている。
なるほど、むりだ。
となると頑張って闇の魔法を使いこなせるようにならないといけないみたいだ。
やはりここで大きな決断をしなければならない。
ふと外を見てみると、あたりはすっかり明るくなっていた。
私は読みかけの魔法書を閉じ、大きく深呼吸をした。椅子から立ち上がり、本を元の場所に戻してからウィズが寝ているであろう私の家に帰ることにした。
家への帰り道はこの私の考えている大きな決断が頭を離れなかった。なんたって私一人で決めていいようなことではないからだ。
家に着いた頃には ウィズは起きていた。とても心配していたのか、私が帰ってきたらすぐ飛びついてきた。どうしてそこまで心配しているのかと聞くと
ウィズは驚いた顔で「何言ってるんですかサクラさん!丸3日もおきなかったんですよ!!??」
ん?なんだと。丸3日だと?ということはあの日から3日間も眠っていたのか。
1日だけだと思っていた私はとても驚いていた。「私が起きたらサクラさんがいないし、なかなか帰ってこないし!!」
ウィズが珍しく私の胸ぐらを掴んでゆさゆさと怒っている。こんなことを言うようなタイプではないのだが、ちょっと可愛かった。
「ウィズ、心配かけてごめん。あと、
すごい急なんだけど、今から冒険に出かけよう!」
ウィズに頰をひっぱたかれた。
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