2 / 2
僕と幼妻が母さんの策略に乗せられた話
しおりを挟む
母さんの策略に乗せられて燃え上がってしまった翌日、僕を起こしたのはやはり母さんからの電話だった。
『裕彦、昨日は楽しめたかしら』
電話に出ての第一声がそのセリフなのは、正直親としてどうなのかとは思うがそれをこの実の母親に言ったところでどうにもならないのは分かっていた。
僕の母親はこういう人だ。
ちなちゃんとの仲も悪くない、寧ろ良い方だし、母さんもちなちゃんの事は相当気に入っていて、結婚の報告のためにちなちゃんを紹介した時の母さんの反応と言えば、ちなちゃんの見た目のせいか実年齢を疑う父さんを満面の笑みで黙らせて、「良いかい裕彦。ちなちゃん以外の女の子と結婚なんて許さないからね」と言ったのだ。
もちろんそのつもりで自分の両親に恋人を紹介していたのに、なんて言い方なんだと当時は思った。
僕はそんなに女性関係に対して優柔不断だっ覚えはない!と思ったが、口に出せば確実に父さんと同じようにあの満面の笑みでだんまりを強要されるに決まっていたから言えなかった。
が、実際の所、母さんの思惑は僕が考えていた事とは違ったのだ。
単に母さんがちなちゃんを気に入っただけで、他の女を嫁に迎えるなんて姑として考えられない!というものだった。
そのためか、結婚して以来、母さんは僕よりもちなちゃんに対して気にかけている様で、実の娘の様に可愛がっているのだ。
僕の家には姉や妹が居なかったから、もしかしたら実の娘が居たとしたらそれ以上にちなちゃんを気にかけていたかもしれない。
それぐらい母さんはちなちゃんを気に入っていて、こうして時々変なプレゼントをちなちゃんにしては、その度に僕はその策略に乗せられてしまうのだ。
僕の隣ですやりと眠るちなちゃんは、昨日と同じく黒のレースのネグリジェを着ていて、ついつい昨日のあの燃え上がるような瞬間を思い出してしまう。
いけないいけない、朝から一体僕は何を考えているんだろうか。
朝からこんな煩悩まみれの思考回路は、いくら今日が休みだからってあまりにも危険すぎるし、僕はそう、そんなに変態じゃないはずだ。
というか、どうかそうであってくれ僕よ。
特殊な性癖を持っている様な人間じゃないはずだ。
妻が幼い容姿をしていたって中身はちゃんと大人だし、僕はそう、ちなちゃんの容姿ではなく性格に惚れたのだ。
例えちなちゃんが超絶色っぽいグラビアアイドルの様な容姿をしていたって惚れていたに決まってる!
「裕彦さん…?」
僕の必死の抵抗を止めたのは、とろんとしたちなちゃんの声だった。
まだ眠たいのか、やや呂律が回っていない様に聞こえた声の方に向けば、これまた目もとろんとしていて、何度かしぱしぱと瞬きを繰り返していた。
けれど僕と目が合うとちなちゃんは、
「おはよう、裕彦さん」
ふにゃりと笑った。
あ、これクラっと来た。
僕の心臓を鷲掴みして放さないその無防備な笑顔に、僕の頭の中の、煩悩と必死に戦っている自分は瞬時に吹き飛ばされてしまった。
「ちなちゃんおはよう」
その笑顔は反則だぞと思いながら、ベッドの中で寝返りを打ってそのままちなちゃんの上に覆いかぶさった。
「裕彦さん?」
眠たくてまだ頭が働いていないちなちゃんをこれからたべようとしている僕は、獲物を狩る狼ってこんな気持ちなんだろうなと思った。
何もわかっていない相手に行動するこの感情は、興奮と少しの罪悪感と、それから幸福感がまじりあった、実にカオスなものだった。
こんな狼を生んで、母さんは育てたんだ。
そりゃあ笑顔一つで家族を黙らせるだけの事はあるなと、頭の隅でそんな事を考えながらちなちゃんの首筋に噛みついたのだった。
今日はまだまだ長いのである。
『裕彦、昨日は楽しめたかしら』
電話に出ての第一声がそのセリフなのは、正直親としてどうなのかとは思うがそれをこの実の母親に言ったところでどうにもならないのは分かっていた。
僕の母親はこういう人だ。
ちなちゃんとの仲も悪くない、寧ろ良い方だし、母さんもちなちゃんの事は相当気に入っていて、結婚の報告のためにちなちゃんを紹介した時の母さんの反応と言えば、ちなちゃんの見た目のせいか実年齢を疑う父さんを満面の笑みで黙らせて、「良いかい裕彦。ちなちゃん以外の女の子と結婚なんて許さないからね」と言ったのだ。
もちろんそのつもりで自分の両親に恋人を紹介していたのに、なんて言い方なんだと当時は思った。
僕はそんなに女性関係に対して優柔不断だっ覚えはない!と思ったが、口に出せば確実に父さんと同じようにあの満面の笑みでだんまりを強要されるに決まっていたから言えなかった。
が、実際の所、母さんの思惑は僕が考えていた事とは違ったのだ。
単に母さんがちなちゃんを気に入っただけで、他の女を嫁に迎えるなんて姑として考えられない!というものだった。
そのためか、結婚して以来、母さんは僕よりもちなちゃんに対して気にかけている様で、実の娘の様に可愛がっているのだ。
僕の家には姉や妹が居なかったから、もしかしたら実の娘が居たとしたらそれ以上にちなちゃんを気にかけていたかもしれない。
それぐらい母さんはちなちゃんを気に入っていて、こうして時々変なプレゼントをちなちゃんにしては、その度に僕はその策略に乗せられてしまうのだ。
僕の隣ですやりと眠るちなちゃんは、昨日と同じく黒のレースのネグリジェを着ていて、ついつい昨日のあの燃え上がるような瞬間を思い出してしまう。
いけないいけない、朝から一体僕は何を考えているんだろうか。
朝からこんな煩悩まみれの思考回路は、いくら今日が休みだからってあまりにも危険すぎるし、僕はそう、そんなに変態じゃないはずだ。
というか、どうかそうであってくれ僕よ。
特殊な性癖を持っている様な人間じゃないはずだ。
妻が幼い容姿をしていたって中身はちゃんと大人だし、僕はそう、ちなちゃんの容姿ではなく性格に惚れたのだ。
例えちなちゃんが超絶色っぽいグラビアアイドルの様な容姿をしていたって惚れていたに決まってる!
「裕彦さん…?」
僕の必死の抵抗を止めたのは、とろんとしたちなちゃんの声だった。
まだ眠たいのか、やや呂律が回っていない様に聞こえた声の方に向けば、これまた目もとろんとしていて、何度かしぱしぱと瞬きを繰り返していた。
けれど僕と目が合うとちなちゃんは、
「おはよう、裕彦さん」
ふにゃりと笑った。
あ、これクラっと来た。
僕の心臓を鷲掴みして放さないその無防備な笑顔に、僕の頭の中の、煩悩と必死に戦っている自分は瞬時に吹き飛ばされてしまった。
「ちなちゃんおはよう」
その笑顔は反則だぞと思いながら、ベッドの中で寝返りを打ってそのままちなちゃんの上に覆いかぶさった。
「裕彦さん?」
眠たくてまだ頭が働いていないちなちゃんをこれからたべようとしている僕は、獲物を狩る狼ってこんな気持ちなんだろうなと思った。
何もわかっていない相手に行動するこの感情は、興奮と少しの罪悪感と、それから幸福感がまじりあった、実にカオスなものだった。
こんな狼を生んで、母さんは育てたんだ。
そりゃあ笑顔一つで家族を黙らせるだけの事はあるなと、頭の隅でそんな事を考えながらちなちゃんの首筋に噛みついたのだった。
今日はまだまだ長いのである。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
この作品は感想を受け付けておりません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる