青竜のたてがみ

み馬下諒

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第7話

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 プルプァによると、立入禁止の場所に洞窟があるかもしれないという。衣類の一部は手もとへ戻されたが、身分を証明できるものが返されないかぎり、ジェイクはロンファを捜して問い詰める必要があった。

「……ハァ、ハァッ」

 病院の便所で息を切らすジェイクは、自慰じい真最中まっさいちゅうである。ズボンをひざまでおろして便器に座り、男根に指をからめると、朝勃あさだちの生理現象を始末しまつした。そのさい脳裏のうりにロンファの姿が浮かび、白い肌に興奮をおぼえたジェイクは、妙な感情に捉われた。砂浜で見かけたロンファや、夢にあらわれた青年も、肩から太腿まで麻布のシャツで身を隠していた。つまり、じかに裸身を見たわけではない。そもそも、ファブロス島は裸族の集団だと勘違いしていたジェイクは、青年の恰好かっこうが不自然に思えた。おおい隠された部位が気になるジェイクは、至ってまともな疑問をいだく。

「……ロンファの性別は男なのか? ……あいつは、いったい何者なんだ」

 水道で手を洗い、せまい廊下を歩いていると、診察室から物音ものおとが聞こえた。扉をけると、白衣のクムザが書類を整理していた。

「おう、ジェイクか、おはようさん。早いのじゃな」
「おはようございます」
「朝飯なら、もうちょい待っとくれよ。そのうち、プルプァとリェータが手伝いにくるからの~」
「あの子らは、あなたのまごなのか」
「うんお? いやいや、それはちがうぞい。あのふたりは〈ヴィオレッタ〉の子じゃわい」
「ヴィオレッタ?」
「うむ、明日あすの夜、おまえさんを歓迎するまつりをやることになってな。まぁ、その時になれば、若い女衆おんなしゅうにも会えるよって。おまえさんは、さぞ、もてはやされるだろうの~。フォフォフォ!」

 いわれてみれば、ジェイクが行き合った長老とリェータ以外は男につき、男女比率が不均衡だった。クムザいわく、古来からの風習で、女衆は島の反対側に集まって生活する必要があるらしい。また、季節ごとに島民全員で宴会をひらき、年頃としごろの男女を結びつけ、見合いをさせるという。種族の血を絶やさないよう、子どもの出生や成長過程は、長老によって見まもられてきた。さらに、ちょっとした金属器きんぞくきの加工技術や、医学の知識をもつクムザのような人物がいるため、原始的な集団ではない。とはいえ、交通車両やガスといった便利な機械や燃料は存在せず、生活水準は帝国より下まわっていた。島民の暮らしぶりは、自給自足が基本である。島全体の規模きぼを把握しておきたいジェイクだが、男子禁制の場所があると判明し、行動が制限されてしまう。ひとまず、ロンファに会うため、東緯ひがしの海岸へ向かう予定を立てた。目的地は立入禁止の場所につき、漁師に見つからないよう、移動には注意が必要である。


✓つづく
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