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第247話〈理解する関係性〉
しおりを挟むジルヴァン付きの女官より、事前に連絡を受けたルシオンは、扉の前で第6王子の到着を待っていた。薄く笑みを浮かべ、『ようこそ』と云って軽く頭をさげる。ジルヴァンのほうが身位が高いものの、くだけた口調で迎え入れた。
『ジルよ。アルミナ自治領〔第49話参照〕より、上等な果実を取り寄せてある。女官に切り分けて運ばせる故、中で話をしながら待とうではないか。』
『そう、いただこうかな。邪魔するよ、シオン。』
ジルヴァンも負けないぞとばかり、ルシオンの名前をきっぱり呼び捨てた。とはいえ、義兄弟の間柄につき、個人的な交流時に敬語を使う必要はなく、自由な発言が許されている。身分に配慮する場面は、主に公式行事にかぎられた。正妻と側室から生まれた男士とはいえ、王族の家系に変わりなく、極端な差別は国王が嫌った。コスモポリテスでは、歴代の国王の性格が思慮深く温和な傾向にあるため、政権争いが勃発することは稀だった。
〈君影堂〉は、柱を朱色に上塗りしたり、華やかな壁紙や家具が配置されており、ルシオンの趣味なのか、派手な空間が演出されていた。現時点で、ジルヴァンとよく似た顔つきの全裸画は飾られていないが、のちに、恭介が運び込まれた寝間は、この君影堂の一部を改築したものである。〔第118話参照〕
『シオン。わかってるよね? われが来た理由は、カイルの件について相談があるからだよ。』
いつの間にか、幼いジルヴァンの一人称は変化していた。短い言葉の中で王子の成長ぶりを察したルシオンは、満足そうに「フッ」と息を洩らした。庭園の薔薇の花びらを乾燥させて作った茶を淹れると、美しい紋様の茶碗を差し出す。
『あの武官ならば、追放刑に処されたようだな。……なにも、悲しむことではないぞ。王族を警護する武人など、数百、あるいは数千と訓練されている。年齢と共に、王位継承権を保有するジルの存在は、大きな役割と意味をもつ。これからは、より優秀な者を配置すべきだろう。』
ルシオンは、もっともらしい理由を述べたが、ジルヴァンとしては、これからもずっとカイルと一緒に過ごすものだと思い込んでいた。ルシオンの言い分は、一方的かつ意図的に聞こえるため、ジルヴァンは口唇を、キュッと結んだ。さきほどまで格子の隙間からさし込んでいた陽が、薄暮のように翳っている。昼間だというのに君影堂のあたりは静かで、物音ひとつせず、ルシオンの息づかいだけが耳に届いた。
まもなくして、女官が皿に盛り付けられた果物を運んできた。赤みを帯びた紫色の実は、甘いようで酸味があり、ひと粒だけで遠慮すると、ルシオンは向かいの席から立ってきて、ジルヴァンの肩を引き寄せた。
『シ、シオン? なにを……、』
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