次代の聖女は終わりの世界で心を捧げる

堕落人間

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5.【過去】限られたソラを見上げて4

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 ローウェンに会うことはなくなった。
 彼はもうわたしの前に姿を現すことはないのだと、終わらない悲しみがわたしを襲った。

「あなたは器となる『人形』です。心なき道具です」
「……」
「感情を抱くことは許されていません。我々人間に従順でありなさい。理解できたなら『はい』と発言することを許します」
「はい」

 朝の『教え』を滞りなく終え、次の指示があるまで待機する。
 わたしはまた人形に戻った。

 もしかしたら、はじめて彼と出会ってからずっと夢を見ていたのかもしれない。
 そう信じてしまうほど、わたしの生活は何も変わらなかった。

 ――いや、ひとつだけ。
 ひとつだけ、変わったことがある。前までは遠く細く聞こえていた『声』が、最近はよく聞こえるようになった。
 壊せ、壊せと機械的な声。
 殺せ、殺せと怒りの声。
 目を瞑れば、過去に置き去りにした血塗れのあの子たちが、手招きする姿が浮かぶ。

 昏い昏い檻の中。
 ひとり、またひとりといなくなる、わたしの同類。
 毎日悲鳴を聞いていた。手や足につけられた枷が床を引き摺る、鎖の音が鳴り響いていた。
『……声が聞こえたら、もうだめなんだよ』
 真っ赤な血を吐きながら、その子はわたしに教えてくれた。
『ハズレの証拠なんだって』
 次の日には、その子は死んでいた。

『待ってるね』
 最期にそう言ったのを憶えている。

 昏い昏い檻の中で、最後まで生き残ったのはわたし一人だけ。
 聖女の管理者たちはわたしを『次代の聖女』と呼んだ。でもそれは間違い。次代の聖女なんて、本当はいない――だってわたしは『ハズレの一人』だもの。魔力が暴れだすのを抑えつけて、なにも異常なんてないと嘘ついて。ずっと『声』が聞こえることを秘密にして隠し続けて。
 偽りの次代の聖女。
 欺き、生き延びて、心を懸命に殺して、『声』を聞かないよう耳を塞いで息をし続けた。

 だから、純粋に嬉しかったのだと思う。
 わたしの名前ではないけれど、『チビ』という呼び方だけは偽りではないものだったから。
 彼と一緒に過ごした時間は、全部ほんとうのわたしだった。

「ケホ……ケホ、」

 口を抑えた手に、赤い血がつく。
 それを憂う瞳で見たわたしは、手をゆすぐために水場へと向かうことにした。

 誰もいない塔の中を、ひとり歩く。カツンカツンと靴音だけが響く。
(……あれ)
 慣れた通路なのに――おかしい。なんだか距離が遠く感じる。
 壁に寄りかかって、一歩踏み出す。ひどく、身体が重い。

「っ、ゴホ……」

 ―大地ニ不要ナ種族。神ニ仇ナス種族。主ノ命令ニ従イ、此等ヲ疾ク破壊セヨ―

 声が、頭の中で喚き散らす。重複して、同じ文言が幾つも幾つも浮かび上がる。

「ぁ――は、ぁ……」

 足が体重を支えられずに折れる。そのまま冷たい床へ倒れ込んでしまった。起き上がりたいのに、起き上がれない。
 視線だけを動かすと、『祈りの間』の前にいるのだと分かった。
 ここは嫌い。
 だって、今も大きく開いた窓の向こうから、魔神がわたしを見ているもの。
 怒りに滾った黒い瞳が、意思を持たない無機質な目が、静かにじっと見ている気がして。
 なるべく立ち寄らないようにしていたのに。

 ―大地ニ不要ナ種族。神ニ仇ナス種族。主ノ命令ニ従イ、此等ヲ疾ク破壊セヨ―

(――あ……もうだめなんだ)

 不意に、理解した。
 身体は動かないし、咳と吐血が止まらない。やっぱり、わたしはハズレのままだった。

 静かに目を閉じる。
 これで終わり。なんてあっけない最期。
 死に際に思い出す記憶なんてそうないけれど、最後にローウェンともう一度会いたかったなあ、なんて思う。
 そういえば、『ありがとう』って言ってなかった。ちゃんと伝えればよかった。
 キラキラした笑顔をもっと見たかったし、もっとたくさん頭を撫でてもらいたかった。
 ローウェンが幸せに生きる世界を、もっと見たかった。
 
 もっと、もっと――生きたかった。
 生きたい。このまま置き去りにされ、誰からも忘れられるなんていやだ。

 こんな、何も成し得ず、誰に気づかれることもなく、惨めに死ぬために息をしていたんじゃない。
 わたしが今まで多くを欺き、心を押し殺して生きてきたのは、こんな風に死ぬためでは決して無い。
 誰かの記憶に残りたい。ローウェンに忘れないでいてほしい。ローウェンの心にあり続けたい。
 無色の日々を鮮やかに彩ってくれた人。

 ああ――彼がすき。一番すき。大切な人。なによりも大切な人。
 置いていかないで、とあの時叫んだら、何か変われたのだろうか。

「ふ、……っ!」

 涙が溢れる。死にたくない、まだ死ねない。
 せめて、彼のために何かを遺したい。

 強い想いに、手が感覚を取り戻す。腕に力を入れ、必死に起き上がろうとする。
 それは足掻きだった。
 偽物だけど、ハズレでしかないけれど、それでも『次代の聖女』を冠する者として。そして一人の人間としての、足掻きだった。

「まだ……負けない……!」

 床を這いずり、力を振り絞って上半身を起こすと、窓から見える魔神を睨みつける。

「あなたの声なんかに、わたしは負けない……!」

 魔神は応えない。
 けれどソラから降り注ぐ太陽の光があたったせいか、黒い瞳が意思を宿したように見えた。
 やってみろ、そんな風に言われた気がした。

 魔神の頭上に浮かぶ青くて狭いソラ。

『――いつか、』

 限られたソラを見上げて、彼が独り言のように呟いていたことを思い出す。

『いつか、どこまでも広がる青いソラを見てみたいな』

 大事な記憶が、鮮明なソラの色と共に蘇る。
 もう片時も離さないように、拳ごと強く握りしめた。

 声はもう、聞こえなくなっていた。
 この日からわたしは、彼のための聖女になろうと決めたのだ。

***

 それからのわたしは、現状を打破するために必死になった。
 魔神の声が、なぜ聞こえるのか。聖女とはなんなのか。ソラを狭める厚い雲はどこから来るのか。わたしはあまりに無知だった。
 故に知ろうと思ったのだ。

 疑いの目を向けられないよう完璧な人形として振る舞いつつも、会う人間やかけられる言葉から少しでも多くの情報を得ようとした。
 とは言っても自由に動けるのは何もない塔の中だけで、得られるものも少ない。
 だからこそ定期検査はわたしにとって貴重な機会だった。

「ふむ……進行は遅いままだが、だいぶ安定してきたな」

 検査台に手足を固定されたわたしの上を、黄赤色の魔法陣がゆっくりと動いている。それを操作する緑髪の眼鏡をかけた男は、手元の書類に目を移した。
 気づかれないよう、横目で部屋を見渡す。壁には大小様々な紙が貼られており、小さな文字を目を細めて読み解く。

(『……の血……したが、……せず』……だめだ、難しい言葉ばかり)

 ローウェンから教えてもらった文字は簡単なものばかりで、この部屋にある紙一枚満足に読み取れない。
 だが言葉は分かる。靴音ひとつ、紙をめくる音一つ聞き漏らさないように耳を澄ませる。

「シド司教、こちら本日の聖女の日程表です。この予定の間に検査を実施しようかと」
「チッ、また四六時中猊下とべったりじゃないか。検査のときには離れるよう言っておいてくれよ、小言がうるさくてたまらん」

 緑髪の彼はシドというのか。
 彼は受け取った日程表を近くの机に置き、わたしの検査を継続する。

(『……の日、表……』、あの文字がきっと『聖女』……)

 忘れないよう、目に焼き付ける。
 毎日文字の読み方を見つけ、少しずつ周囲の文章を解読していく――そんな日々を9ヶ月過ごしたある日のことだった。

 何もしない、待機の時間。
 塔を調べ尽くしていたわたしは、その唯一の自由な時間を使って誰にもバレないよう、小窓から城内を見下ろすのが習慣となっていた。
 そこから見える景色はなにも変わらない。
 石造りで出来た建築物、塔を隠すように植えられた木々。誰の声も聞こえない静寂な中で、その日はいつもとは違うことが起きた。

「う、あああ――! あぁーっ!」

 子供の泣き声がする。
 必死に自分の存在を教えるように、声を張り上げて泣いている。

「え……っ、」

 戸惑いながらも、わたしは小窓から必死に声の主を探すけれど見当たらなくて。

(たぶん、きっと、もっと大きい窓からなら見えるはず――)

 ここよりも大きい窓は、祈りの間しかない。気が引けたが、子供の泣き声があまりに痛々しくて、わたしは意を決して駆け出した。

 祈りの間に入り、魔神の姿から目を逸らしながら窓に張り付く。

「あー! うあああー!」
(いた……!)

 大きな本を抱えた少年が、ひとりぼっちで泣きわめいていた。
 迷子になってしまったのだろうか。この塔の見張りの誰かが気づいてくれれば――祈る気持ちで見つめるが、少年の声に駆け寄る者はなかなか現れない。
 泣き声は更に大きくなり、思わずわたしは窓を開けバルコニーに足を踏み入れていた。そして声をかけようとしてはた、と気づく。

(……誰かに気づかれたら)

 胸によぎる一抹の不安が、口を閉じさせる。
 子供の泣き声に反応するのは、人形のすることではない。
 もし偽物の次代の聖女だとバレてしまったら、全部終わりだ。

 あの子に声をかけることなんて、できない。
 わたしはバルコニーの壁に身を隠すように蹲ると、少年の誰かを求める声を耳にしながらぎゅっと瞼を閉じた。

(何もしてあげられなくて、ごめんなさい……!)

 どれぐらい経っただろうか。
 遠くから女性の声がしたと思ったら、少年の泣き声がぴたりと止んで静けさが戻ってきた。

 バルコニーから顔を覗かせると、先程までいた少年がいなくなっていることにほっと胸を撫で下ろす。
 きっと誰かがあの子を助けてあげたのだろう。部屋に戻ろうと立ち上がったわたしは、少年がいた場所に1冊の本が落ちていることに気づいた。

(本……!)

 これまで一度も触れたことのないものに、高揚感を抱く。
 少年の忘れ物だろう。顔を上げて周囲を見渡したが、持ち主はもうどこかへ行ってしまったようだ。
 とても大事なものかもしれない――けれど、あれにはたくさんの文字と知識が詰め込まれている。手に入れたいと思った。

(あの子には悪いけれど……)

 ただ、手に入れるためには拾いに行かねばならない。
 塔から出ることはできない。バルコニーから飛び降りるにしても、高さがある。
 困り果てたわたしは、ふと聖女が使っていた魔法を思い出した。
 はじめて会ったあの夜、彼女は黒い鞭みたいなものを伸ばして地面を抉った。あれと同じようなことができれば、本に届くかもしれない。

 けれど魔法って、どうすれば使えるようになるのだろう。
 魔力を抑える方法は知っているけれど、自在に放出する方法は分からない。

「む……むむ……!」

 とりあえず力を込めてみたが、魔法が発動する気配はない。手をかざしてみる。だめだった。
 聖女やローウェン、シド司教は突発的に使えていたのだから、何かを用意する必要はないのだろう。たぶん必要なのは特別な手順。
 定期検査でシド司教は指で十字を切ってから手を広げて、魔法陣を浮かべていた。
 同じことをしてみるが、これもだめ。何かが違うんだろう。

 聖女は魔法を使うとき何をしていただろう。いや、彼女は何もしていない。魔法を発動する前に呟いただけだ。
 そうだ。確かこう言っていた。自分の手のひらを眺めながら、記憶をなぞる。

「”神よ どうか許したまえ”ーーひゃあっ!?」

 言い終えた途端、手のひらから白い発行体が現れ、それが鞭のように天へと伸び消える。
 慌てて口を抑え、誰にも聞かれていなかったか周囲の様子を伺う。変わらぬ静寂に、たぶん大丈夫だと息をついた。

「できた……わたし、魔法使えた……」

 手を握って開いてみるが、怪我や火傷の類は見受けられない。
 今度は地面に落ちたままの本へ手のひらを向け、鞭が本を掴んで手元に戻ってくるイメージを強く固める。
 そしてもう一度、先程と同じ言葉を口にした。

「”神よ どうか許したまえ”」

 今しがた発動したものと同じ発行体が、本に向かって瞬時に伸びていく。
 光の先端が本を包み込むと、重力など感じさせぬような速さで手に戻ってきた。あわあわと本を掴むと光は霧散し、手元には本だけが残される。

 本――本だ。
 たくさんの紙束が綴じられている。これが本。 

 急いで祈りの間から飛び出して、自分の部屋へ戻る。
 胸に抱えた本を取り出して、目を輝かせた。さっそく分厚い表紙をめくってみる。

「フリガナがある……!」

 これならたくさんの文字を一気に覚えられる。喜びに心が躍った。
 わたしは何度もその本を読み、文字を覚えた。



 そうして定期検査の度に読める文章を探し、自分の置かれている状況、なぜそう至ったのか、聖女とはなにか、魔神とはなにか、それを――あらゆることを知った。
 知ってしまった。
 どうすればいいのかも、どうするべきなのかも。
 迷う時間なんて、わたしにはもう残されていないと知った。

 情報をかき集めはじめてから、3年が経っていた。
 欲しいものを最善の状態で得るには、聖女と取引をする必要がある。

 彼女と秘密裏に会い、話をし、わたしは提示された条件を飲み込んだ。
 とても簡単で短い条件。それは『聖女の命令に従うこと』。
 そして最初に告げられた命令は、わたしの最も大切な人であるローウェンに抱かれることだった。
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