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翌日の朝、ギノから貰った笛をフェリナに渡すと彼女は私の首に掛かってる笛を見るなり満面の笑みで「ローラとお揃い!」なんて言ってくるものだから私はそれに対して思わず吹き出しながら彼女の首にネックレスを掛けてやった。

途端に笛を握りしめてニコニコとする可愛いフェリナ。

けれど次の瞬間、彼女は何のためらいもなく笛に口を付けたところで私は慌てて彼女の手首を掴むと首を横に振る。

「フェリナ、この笛は本当に身の危険を感じた時以外に吹かないでちょうだい」

「え、どうして?」

分からないという表情で私の顔を見てくる妹。

私はそれに苦笑いを浮かべながら、笛に関しての説明をした。

「この笛を吹いたらとても強い男の子が来るの。で、貴女に何かあった時に彼が貴女を助けてくれるからその時になるまで吹いちゃダメ。基本的に彼は忙しい人だから何も無い時に吹くのは絶対に禁止。命に関わる様なことや、本当に身の危険を感じた時だけ吹くのよ。いいわね?」

「……なんかよく分からないけど危ない時だけ吹くってこと?」

「そうよ」

「分かった!」

私は元気よく利き手をあげて笑ったフェリナに安堵の吐息を一つ零すと、何処からかやってきたリリーの「レイン様がお越しになられてますよ!」の声にフェリナと顔を見合わせるとそのままレインがいるであろう部屋に向かって歩き出す。

しかし、向かった部屋の先にいたのはニコニコと笑い合うレインと私達双子の父と母。

父は私達が部屋にやってきたことに気付くなり私にとってはとんでもない事を述べた。

「今度のパーティーだかレインくんも行くことになったからローラ、二人のことを任せたよ」

「え、ちょ、お父様!?」

「ふふっ、フェリナとレインくん二人だと不安だけど貴女が来るならきっと安心ね。さて、ドレスの用意でもしましょうか」

途端にそれを言い終えるなり部屋から逃げるようにして去って行く父と母。

ぶっちゃけパーティー当日に仮病を使って行かない気満々だったのにパーティー誘拐イベントにいなかった筈のレインまで来るとなると笛を持っているフェリナはまだしも、なんの力もないキャメロット家の一人息子であるレインが誘拐されたらと思うととてつもなく恐ろしい。

どうしたものかどうしたものか、そう考えながら顎に手を添えていたところそんな私に声を掛けてきたのはレイン。

「……ローラ、どうしたの?」

私はそれに慌てて「なんでもないわ」と返事を返すと、フェリナの「色違いのドレスにしましょうね!」の発言に適当に相槌を返しながらパーティーに関して出席するかしないか考えながらもいつも通りに「庭に行こう!」の二人の言葉に頷いて外へ出た。
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