異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第4章 竜人の試練篇

第40話 危機

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 塔に入り、みんなを下ろして、変身を解く。

 「みんなちょっと待っててくれ」

 俺は神眼を利用して、ダンジョンの構造を把握する。

 この天空のダンジョンは30階層あり、10階層と20階層にそれぞれ中ボスが配置されているようだ。モンスターの平均ランクは200を超え、通常の冒険者にとってはかなりの強敵揃いだろう。だが、俺らの相手ではない。

 俺は神眼で見えたことを四人に話す。

 「リュートはダンジョンの構造を瞬時に把握することが出来るのか。便利だな」

 ミラが感心したように言う。

 「私は足でまといではないでしょうか…」

 「大丈夫だ。ルージュはまだまだ強くなれるさ」

 「はい!私、頑張ります」

 神圧を使うとみんなが強くなれないので、使わずに進む事にした。

 このダンジョンには、比較的にレアなモンスターが多く存在している。
 塔の中に住む精霊「タワーエレメント」はかなり強力な魔法を使う。しかも物理攻撃はすり抜けて効かないので、魔法でしか倒せない。ルージュの良い訓練相手になった。

 宝箱に擬態したモンスター「トラップボックス」は宝箱を開けさせ、そのまま冒険者を丸呑みにする。俺は神眼で見分け可能なので、何の敵にもならない。遠距離からミラが射抜き、破壊する。

 そして、「塔機兵(タワーゴーレム)」は、かなりの数が存在する。強さはたいしたことはないが、数が厄介である。みんなで手分けしてかなりの数を破壊した。

 敵を難なく蹴散らしながら進む。ルージュはレベルが低めなので、いくつかレベルが上がったことだろう。他のみんなも少しは上がっているのかもしれない。

 数時間で、10階層に到達した。この先は中ボスだ。

 「中ボス部屋は何があるかわからない。各自しっかり準備するように」

 全員が装備などをしっかり再調整する。ミラは矢の補充して、サレナは剣の手入れ、ルージュは杖の具合の確認した。あとはみんなで魔力や体力を回復した。

 「よし、突入しよう」

 部屋の扉が開く。全員が部屋の中に足を踏み入れる。

 しかしその時思わぬことが起こった。

 『異常ランクを検出』

 異常ランク?俺の事か?

 『強制的にパーティメンバーを転移します』

 「な!」

 超越感覚で未来が見えた時にはもう遅かった。ぐにゃりと空間が歪み動けなくなる。気が付くと、周りには誰もいない。俺たった一人がそこには立っていた。

 『転移したメンバーはそれぞれ別の空間に存在します』

 『各自が20階層のボスを撃破すると、こちらの空間への帰還が可能になります』

 一人一人が別の空間の同じ塔にいて、別々のルートで塔を攻略しなければならなくなってしまった。かなり不味い状況だ。だが、俺はみんなを信じるしかないだろう。

 『転移により、10階層のボスはスキップされました』

 どうやらボスは省略されたようだ。俺は猛スピードで20階に向かう。

 「無事でいてくれよ?みんな!」

 こうして、俺たちのパーティは最大の危機を迎えることとなった。
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