異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第5章 竜王の暮らし篇

第49話 感情的な色彩

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 俺たちはダール王国ではなくムガ王国の方へ来ていた。ダール王国にはしばらく滞在したので、こっちに来ようと思った。俺は海が好きだからこっちの国の方に住みたいと思ったのもある。

 この世界の税金制度は比較的に簡単だ。土地を所有するものがいたらそこに住む税として、一年に一回大金貨を5枚収めればいい。しかもこのムガ王国の国王ムガはこの大陸でも比較的に温厚な人物のようで、2年間は税金を払わなくても国に住んで良いという決まりを作った。かなり太っ腹だ。

 という事で、少し小さめの土地を買った。小さいといっても日本の平均的な一軒家くらいの大きさはある。俺は日本育ちだからか、家は大き過ぎない方がいいような気がしたので、あえて小さめにした。

 「家職人を紹介しようか?」

 土地を管理する役所の役人に聞かれた。

 「いや、大丈夫だ」

 「そうか、なんかあったら俺に聞いてくれ」

 優しくていい人だ。

 「ありがとう助かるよ。あなたも何か困ったことがあったら俺のところに来てくれ、モンスター退治なら得意だ」

 「あぁ分かったよ」

 役人と別れ、買った土地の場所に行く。見晴らしのいい場所で海が綺麗に見える。

 「うわぁ!あれが海かぁ!」

 海を初めて見たルージュはテンションが上がった。

 「良いところだな」

 「えぇ」

 ミラもサレナもこの場所が気に入ったようだ。 

 「リュート?どんな家を建てるの?」

 クリアが聞いてくる。

 「1階が事務所などで2階が居住スペースなどかな。みんなはなんか欲しい施設や家具はあるか?」

 「私はもちろんみんなで寝れるベッドかな」

 「お風呂は広いのがいいですわ」

 「私は弓を手入れする場所が欲しいかな」

 「うーん。私は…。今は思いつかないなぁ…」

 「了解。思いついたらすぐに言ってくれ」

 そして、建設する家を頭に思い浮かべて唱える。

 「創成・ハウス」 

 何も無かった土地に、景色感と調和した家が出来上がる。実はこう見えても、小さい頃に少しだけ建築を勉強してたことがあるので、結構自信がある。

 「うわぁ!いい家だね!」

 「素敵ですわ」

 「流石はリュートだ。センスがあるな」

 「なんでも出来るんですねリュートさんは」

 みんなからの評判も高いようでよかった。

 中に入ると、適当にあしらった内装と、いい感じに落ち着いたソファとテーブルがあり、ここで依頼等を受ける。階段を登ると、靴が脱げるようになっている。ここが実質的玄関だ。
 この世界には家の中で靴を脱ぐ文化はないが、やはり俺はそっちの方が落ち着くのでそうした。
 靴を脱いで中に入ると、みんなでくつろげるリビングがある。景色はもちろん最高だ。広めのテーブルに5つの椅子。あとは本棚や、ソファなどがある。リビングはキッチンと繋がっており、こっちの世界に合わせたものになっている。
 他の部屋はミラに頼まれた武器調整室兼作業場、寝室、風呂、トイレくらいだ。
 風呂はサレナの頼みでみんなが入れるくらいには広くしたので、ゆったりと浸かることが出来る。風呂の窓からも海を見ることが出来る。寝室は5人以上同時に寝れる巨大なベッドひとつ。あと、いい感じの照明に、大容量のクローゼット。それがあれば十分だろう。

 家の紹介はこんな所だろう。

 「よし、俺たちのチーム名を決めよう」

 「チーム名?なんで?」

 クリアが質問する。

 「活動するにあたって呼び名があった方が色々と便利だからだ」

 まぁ簡単に言うと、会社名みたいなものだろう。

 「なにかいい案はあるか?」

 「リュートの傭兵隊とかどう?」

 「いやいや、俺の名前を入れるのは辞めてくれ」 

 「あまりいい案は思いつきませんわ」

 「うーむ。私もなにか考えないとな」

 「紅蓮団…火炎団…うーん」

 ルージュよ何故、火にこだわる。

 実は俺が前々から考えていた名前がひとつある。

 「感情的な色彩エモーショナル・カラーズなんてどうだろうか」

 このメンバーは何かと色に関する名が多い。サレナは白、ミラは緑、ルージュは紅、クリアは透明だ。それに何故か全員、感情に関する称号を所持している。ぴったりな名前ではないだろうか。

 「それいいね!」

 「カッコイイですわ」

 「私も同意見だ」

 「いいと思います!」

 みんな賛成してくれた。

 こうして、俺たち「感情的な色彩」の活動が始まったのだった。
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