異世界を統べるのは人ではなく竜だ

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第5章 竜王の暮らし篇

第56話 女たちの闘い

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 さて、やはり美女と海に来たのならあれをやらなくてどうする。

 そう。「ビーチバレー」だ。もちろん俺は参加しない。男は見る方が楽しいだろう。

 みんなを集めて企画を伝える。こっちの世界にはあまりない文化だろう。ルールをきちんと説明する。

 「面白そう!」

 「わかりましたわ」 

 「楽しそうだな」

 「私にも出来るでしょうか」

 みんな乗り気なようだ。こういった闘いには戦利品があった方が盛り上がるだろう。そうだな…。

 「勝ったチームには俺を一日自由にできる権利を与えよう」

 俺のその言葉を聞いて、みんなの目の色が変わる。

 「リュートと一日中ずっと…」

 「リュート様を自由に…」

 「二人きりで…」 

 「あぁ私とリュートさんで…」

 全員やる気が桁違いに上がる。あまり白熱して怪我をしないようにして欲しい。まぁ俺の力で直せることには直せるから問題は無いのだが。

 チーム分けを行う。チームはクリアとミラのチームと、サレナとルージュのチームになった。

 フィールドやボールを創成で作り出す。俺は審判に徹することにしよう。

 「1ポイント先取で勝ちだ。それでは、始め!」

 サレナのサーブから始まる。

 「ルージュ様、この闘いまけられませんわ。必ず勝ちましょう!」

 「はい!頑張りましょうサレナさん!」

 ボールが空中に浮かび上がる。初めてビーチバレーをやったとは感じさせない強烈なサーブが飛んでいく。

 「ミラ!私たちも負けられないよ!」

 「あぁ!リュートは私たちのものだ!」

 ミラが綺麗にトスをする。そこにクリアがすかさずスマッシュを決める。ルージュがブロックする。

 なんて闘いだ。プロも顔負けの白熱した試合が行われている。

 それにしても弾む。クリアたちは水着で飛んだり跳ねたりしているので、巨大な胸が揺れ弾む。まるで、ボールが沢山あるように見える。ルージュは弾むほどないが、それもまた乙だろう。

 そればかりを気にしている場合では無い。お互いに一歩もひかぬ激戦が繰り広げられている。みんな身体能力が高いからか、ボールの威力やスピードが常人とは桁外れだ。

 「ここは!私が!」

 サレナの移動が一気に速くなる。スキル縮地を利用し、コートの端から端へ一瞬で移動する。ミラたち側のコートにボールが行く。

 「私も行くぞ!」

 ミラは誘導を使い球の軌道を曲げる。ボールはルージュの前に落ちそうになる。

 「させません!先生!」

 魔力で障壁を展開し、球を弾く。はるか上空に浮き上がった球に、サレナが超跳躍で追いつき、スマッシュをする。

 「これで!決まりですわ!」

 物凄い豪速球が放たれる。恐ろしく速いボール。俺じゃなきゃ見逃していたね。ミラが気づいた時には既に顔の横を通過していた。

 「しまっ…」

 その時、ボールは空中で止まった。

 「重力操作・固定フリーズ

 クリアが魔法を発動させ、防いだ。

 「ミラ!」

 「あぁ任せろ」

 綺麗にミラがトスをする。

 「これで!」

 クリアが飛び上がりボールを打つ。

 「重力操作・加速アクセラレーション!」

 全員が気づいた時にはサレナの足元にボールが埋まっていた。

 「やったあ!ミラ!」

 「あぁ!勝ったぞ!」

 「悔しいですわ」

 「二人とも強かったです」

 こうして、ビーチバレー対決はクリア、ミラチームの勝利で幕を閉じるのだった。
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