異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

文字の大きさ
138 / 529
第10章 それぞれの修行篇

第110話 魔器

しおりを挟む
 クリアのランクを上げながら、階層を進む。クリアを再び進化させたい。

 「リュート?私のために必死になってくれるのは嬉しいんだけど、リュートは一つ見落としがあるよ?」

 「えっ?」

 「私、変身出来るんだよ?」

 ビシャーン!体に雷が落ちたような衝撃が走る。完全に忘れていた。変身が使えるクリアは、その気になれば一時的にだが、大人の姿に戻れるのだ。

 「あ、あー。そうだったね…完全に忘れてた…」

 一時的なものだが、宝が戻って来て大歓喜だ。嬉しさから、あっという間に30階層に到達してしまった。

 「今度は私が行く」

 ローザが名乗りをあげる。正直、ローザのスキルはボス戦用のスキルがあまりない。と言うより、無い。ローザは大多数戦で輝く能力をしている。苦戦は必須だろう。だが、ローザが名乗りを上げているんだ、無下にはできない。

 「ローザ。危なくなったら逃げるんだぞ?」

 「わかってるよ」

 ローザがボス部屋に入って行く。俺とクリアも後に続いて、部屋に入る。

 そこに居たのは、

 名前 スフィンクス
 種族 砂漠獅子・始種(スフィンクス・ビギニング)
 rank  617
 称号 王墓の守護者
 
 技能 魔法(火・風・雷) 魔法耐性 浮遊

 こ、こいつは!よりにもよって、人型以外のモンスターに当たるとは…。ローザの魔法は魅了系なので、愚直な相手にはあまり相性が良くない。ランクも200以上離れている。

 ローザの足元に魔法陣が現れる。

 「危ないわね!」

 ローザが回避すると共に魔法陣から火柱が上がる。

 「いくわよ!」

 棍を取り出し、突撃する。

 スフィンクスは飛行して回避する。そのまま大量の魔方陣を展開する。

 「くっ!」

 フィールド中に雷、炎、風が放出される。ローザは避けるので精一杯だ。

 「どうすれば…」

 ローザの反撃の手が止まる。

 「ローザ!」

 クリアが叫んだ時には、既にスフィンクスはローザの近くまで接近していた。

 「しまった!」

 ローザはスフィンクスに激しく体をぶつけられ、吹き飛ぶ。

 「あぁぁぁ!」

 何とか空中で、体勢を整える。

 「こんな所で、負けられない!」

 その瞬間、持っていた白色の棍が、黒く変色していく。

 「これは?」

 「あれは!魔器か!」

 俺はその禍々しい感覚に覚えがあった。ブランが装備した、グローブだ。ローザは土壇場で魔器の覚醒に成功したようだ。
 どうやら魔器は、所有者が普段使用している武器が、変化して魔器に成るらしい。魔法武器を利用している魔族などローザだけだ。魔法武器が魔器に変化するとどうなるのだろうか。

 「これなら行ける!いくわよ!形なき魔器ノーデモンズ!」

 先程まで棍だった武器が弓に変化している。
 
 「堕落の矢クラッシュ・アロー!」

 ローザの魔力がこもった矢が放たれる。
矢がスフィンクスに当たると、スフィンクスはローザに洗脳された。スフィンクスはローザの眷属になった。

 「やった!」

 ローザは眷属を手に入れたのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

処理中です...