異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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外伝 新米転移者の異世界生活 2

その10 エストのレベルも上げてみた件

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 ダール王国に向かって歩いているのだが、なかなか着かない。やはり歩くような距離ではなかったのでは?まぁ隣には美少女が付いているのだ。二人の時間が長く続くのも一興だろう。

 「そう言えば、今のエストのレベルはどれくらいなんだ?」

 「私のレベルですか?20くらいです…」

 20だと…。いくらなんでも低すぎる。俺が最初にレベルアップした時のレベルより低い。これはエストのレベルも上げなくては。

 「エストこれを付けてくれ」

 俺は指輪と首飾りをエストに渡す。

 「えっ?これってカナトさんのですよね?どうしてですか?」

 「エスト。君のためを思って正直にいうけど、レベルが低すぎる」

 「うっ…」

 「このままではその辺の盗賊も撃退できないよ?」

 「ごめんなさい。カナトさん」

 「謝らないで。これを装備すればすぐに上がるから。ほら、あそこに居るモンスターを倒してみよう」

 「わ、わかりました」

 そこには前に見た白銀のゴブリンが居た。またまた希少種なのだが、エストは緊張で相手を気にしている暇は無いようだ。

 エストは懐からナックルを取り出す。顔に似合わず、エストはまさかの格闘使いだったようだ。
 両腕にはめ込んで、構える。が、しかし、緊張からか、素人の俺から見ても明らかに構えがなってない。

 「大丈夫だよエストさん!俺が一緒に居る。安心して冷静に対処するんだ!」

 「はい!カナトさん!」

 俺の言葉で落ち着きを取り戻してくれたみたいだ。今度はしっかりと構える。

 「ふぅー」

 エストが深く息を吐く。

 「行きます!」

 ゴブリンに一気に距離を詰める。

 「真っ直ぐな猫拳ストレート・ナックル!」

 ドゴォ!いいパンチがゴブリンの胸元に入る。あれ?エストなんだか強くない?

 「グギャ!」

 ゴブリンはパンチの勢いで吹き飛ぶ。

 「今だ!エスト!」

 「はい!」

 エストが高く飛び上がる。

 「落ちる猫拳フォール・ナックル!」

 吹き飛んだゴブリンが、エストのパンチによって地面に叩き付けられた。そして、ゴブリンは力尽きた。俺が想像していた以上にエストはやるようだ。

 「やった…やりましたよ!カナトさん!」

 「よくやったな。偉いぞ」

 頭を撫でてあげると、エストは恥ずかしそうにしながらもしっぽを振って喜んでいる。

 ゴブリンがいた場所に宝箱が現れる。

 「ほら、エスト。君が倒したんだ。君の報酬だよ」

 「はい。開けますね」

 宝箱を開けると、かなりの量の金貨が入っていた。

 「わぁ!すごい量ですね。これだけあれば、一年は余裕で過ごせますよ」

 「良かった。これで暫くは金には困らないな」

 こうして、俺達はダール王国への旅の途中で金持ちになったのだった。

 
 
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